エルニーニョ現象とは?発生の仕組みや世界・日本におよぼす影響をわかりやすく解説

2024年07月31日

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の海水温が平年よりも高くなる現象で、世界中に異常気象や経済的な影響をもたらします。この記事では、エルニーニョ現象が発生する仕組みや、世界・日本におよぼす影響について分かりやすく解説します。近年注目される地球温暖化との関係や、家庭でできる温暖化対策もあわせてチェックしてみましょう。

エルニーニョ現象とは、太平洋の赤道付近で起こる海水温の変化のことです。

赤道域の日付変更線付近から南米沿岸(ペルー沖)にかけて、海面水温が平年より高い状態が1年ほど続きます。数年に1度の割合で、春から冬にかけて発生します。

エルニーニョ現象に世界共通の定義はありませんが、気象庁では次のように定義しています。

【気象庁が定めるエルニーニョ現象の定義】

  • 1.
    「エルニーニョ監視海域」と呼ばれる、日付変更線付近から南米沿岸にかけての太平洋赤道域(南緯5度−北緯5度、西経150度−西経90度)において、
  • 2.
    海面水温の5ヶ月移動平均値(※)が、その海域における過去30年間の平均値(基準値)より0.5℃以上高い状態が、
  • 3.
    6か月以上続いた場合

※5ヶ月移動平均値:当月および前後2ヶ月を含めた5ヶ月間の平均値

エルニーニョ現象は、ひとたび発生すれば地球規模の気候変動を引き起こす気象現象です。国連や各国の専門機関も注目し、監視・予測に力を入れています。

エルニーニョ現象は貿易風が弱まることで発生すると考えられています。貿易風とは、南米から太平洋に向かって吹く東風のことです。

普段は、貿易風によって太平洋西部(インドネシア付近)には暖かい海水がたまり、東部(南米沿岸)では冷たい海水が深海から湧き上がってきます。

このとき、海水温が暖かい太平洋西部では、そこから蒸発する水蒸気が増えて積乱雲ができやすくなり、雨が多く降ります。

しかし、貿易風が何らかのきっかけで弱まると、西にたまっていた暖かい海水が東に移動するとともに、南米沿岸では冷たい海水が湧き上がる量が減少

これにより、南米沿岸の海水温が上昇しエルニーニョ現象が発生します。

エルニーニョ現象発生時は、暖かい海水が東に移動することに伴って積乱雲の発生場所も東にずれるため、インドネシアや南米北部では平年より雨が少なく暖かくなるのが特徴です。

エルニーニョ現象とよくセットで語られる現象に、ラニーニャ現象があります。

ラニーニャ現象とは、エルニーニョ現象と同じ海域において、海面水温が平年より低い状態が続く現象のことです。

エルニーニョ現象は貿易風が弱まることで発生しますが、ラニーニャ現象は逆に貿易風が強まることで発生します。

何らかのきっかけで貿易風が強くなると、太平洋西部の暖かい海水がより西側に押しやられるとともに、東部の南米沿岸では冷たい海水の沸き上がる量が平常時よりも増加。

これにより、南米沿岸の海水温が低下しラニーニャ現象が発生します。

ラニーニャ現象発生時は、暖かい海水が太平洋西部に厚く蓄積することから、インドネシア付近では積乱雲が通常よりも活発に発生し、平年より雨が多くなります。

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エルニーニョ現象は太平洋域の一部における海の温暖化現象ですが、発生すると世界規模で異常気象を引き起こします。

また、エルニーニョ現象による異常気象は、各国の農業や経済にも影響をおよぼします。

異常気象

近年では、2023年に「スーパーエルニーニョ」と呼ばれる非常に強いエルニーニョ現象が発生し、各地に大きな被害をもたらしました。

アメリカ南部では、エルニーニョ現象の影響で発生したジェット気流により、カリフォルニア州が記録的な豪雨に見舞われ土砂崩れが相次ぐなどの被害が発生しました。

一方で、南米大陸北西部にあるコロンビアの首都・ボゴタでは、少雨により国内貯水池の水位が著しく低下。ボゴタ市および周辺自治体で給水制限が実施され、900万人が影響を受ける事態となりました。

農業への影響

独立行政法人農業環境技術研究所の報告によると、エルニーニョ現象が発生すると、トウモロコシや米、小麦の収穫量が平年を下回る傾向にあるとされています。

また、農作物の不作が深刻化すれば食糧価格の高騰も懸念されます。

経済への影響

エルニーニョ現象の発生に伴う経済的損失も大きく、1997年に発生したエルニーニョ現象に起因するGDP損失額は5兆7,000億ドルと推定されています。

さらに、エルニーニョ現象による今世紀末までのGDP損失額は約84兆ドルに上るとの試算もあります。

エルニーニョ現象は、西太平洋域での大気循環の変化を通して日本にも影響をおよぼします。

エルニーニョ現象発生時の日本の気象パターン

エルニーニョ現象が発生すると、日本では夏は冷夏・長梅雨になり、西日本日本海側では降水量が多くなる傾向にあります。

特に、梅雨末期を含む7月の天候はエルニーニョ現象の影響を強く受けるため、集中豪雨が発生する確率が高くなります。

一方、冬は西高東低の気圧配置が弱まって暖冬になりやすいのが特徴です。本州太平洋側や沖縄・奄美地方では降水量が多くなる傾向にあります。

台風への影響

気象庁によると、エルニーニョ現象が発生する7月〜9月は、台風の発生数が平常時より少ない傾向があります。

台風は熱帯西太平洋域における水温の影響を直接受けます。エルニーニョ現象発生時は熱帯西太平洋域の水温が低下するため、台風は発生しづらくなるのが特徴です。

しかしながら、エルニーニョ現象が発生しているさなかに台風が発生すると、その影響は通常時よりも大きくなるケースが多いため、注意が必要です。

夏の台風の場合、もっとも発達したときの中心気圧が平常時よりも低い傾向にあり、通常よりも強い台風となるおそれがあります。

また、秋の台風は寿命が長くなる傾向があり、より甚大な被害をもたらす可能性があります。

実際、2015年にはエルニーニョ現象と台風の影響が相まって、関東地方と東北地方で記録的な大雨が発生し、鬼怒川の堤防が決壊するなど大きな被害をもたらしました

経済面への影響

エルニーニョ現象が発生すると、日本経済も打撃を受けることになります。

第一生命経済研究所の調査によれば、エルニーニョ現象発生時の日本の景気後退確率は1.6倍とのことです。

夏の冷夏・長雨、冬の暖冬の影響で、夏物・冬物衣料の売り上げが不調になる他、マリンスポーツ・ウィンタースポーツなどのレジャー関連などの売り上げも低迷しやすくなります。

近年では、エルニーニョ現象と地球温暖化との関連がメディアでも大きく取り上げられています。

エルニーニョ現象と地球温暖化の関連性は明確ではないものの、温暖化によりエルニーニョ現象の発生頻度が増加したり、異常気象が激化したりする可能性が懸念されています。

実際、スーパーエルニーニョが発生した2023年には、7月に世界の平均気温が観測史上最高を記録し、日本も各地で記録的な猛暑に見舞われました。

現在は国連が「地球沸騰化」と警告するほど、地球温暖化が深刻化しています。

異常気象などの気候変動リスクを最小限に抑えるためにも、一人ひとりが主体的に温暖化防止に取り組むことが求められています。

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地球温暖化の主な原因は、温室効果ガスのひとつであるCO₂の排出量増加です。CO₂排出量を減らすことは、今や世界規模の喫緊の課題となっています。

国立環境研究所が公表しているデータによると、日本の家庭からのCO₂排出量の約半分は電気の使用によるものです。

そのため、CO₂を出さない「エコな電気」に切り替えることが、有効な温暖化対策のひとつとして注目されています。

2016年の電力自由化により、各家庭が自由に電力会社を選択できるようになりました。CO₂を出さないクリーンな電気を選ぶことが、温暖化対策を加速させる力になります

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※300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
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エルニーニョ現象は数年おきに発生する自然現象ですが、温暖化が進むことでその強度や影響が悪化する可能性があると指摘されています。

地球沸騰化と警告されるほど温暖化が進んでいる今、異常気象に備えつつ、一人ひとりが温暖化対策に取り組むことが急務です。

近年では、家庭での効果的な温暖化対策として、エコな電気への切り替えに注目が集まっています。

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継続的に取り組める手軽な温暖化対策として、ぜひエバーグリーンへの切り替えを検討してみてください。

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(出典)

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