バイオ燃料とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

2024年09月03日

日本を含む世界中が温室効果ガスの削減に向けて取り組むなかで、今注目されているのが「バイオ燃料」です。この記事では、バイオ燃料とはいったいどんなエネルギーなのか、どのようなメリットやデメリットがあるのかを分かりやすく解説します。

バイオ燃料とは、バイオマス(生物資源)を原料とする燃料のことを指します

バイオマスとは、動物や植物から生まれる有機性物質のことです。

生物由来の資源を活用するため、石油や石炭のように枯渇する必要がなく、持続可能な再生可能エネルギーの一種として注目されています

具体的なバイオマス原料には、薪や炭、木材チップや家畜糞尿、家庭から出た廃食用油などが挙げられます。

これらの原料を使ったバイオ燃料は、地球温暖化対策が急務とされる昨今で、化石燃料に代わる新たなエネルギーとして世界中で関心を集めています。

バイオ燃料には、バイオエタノールやバイオディーゼルなど、さまざまな種類があります。

ここでは、バイオ燃料の種類と原料、どのような用途で使われているのかを見てみましょう。

バイオエタノール

バイオエタノールは、トウモロコシ・サツマイモ・ムギ・タピオカなどのデンプン質原料と、サトウキビ・テンサイなどの糖質原料を使って製造するエタノールのことを指します。

上記の植物に含まれる糖分を微生物によって発酵させ、蒸留することでエタノールを製造します。

用途としては、ガソリンの代わりに使う、またはガソリンとの混合利用が可能です。主に輸送用のエコ燃料として期待されています。

バイオディーゼル

バイオディーゼルとは、菜種油やてんぷら油などから製造される、ディーゼルエンジン用のバイオ燃料のことです

大気汚染の一因となる硫黄酸化物をほとんど含まないため、ディーゼル車の排気ガス対策にも有効とされています。

バイオディーゼル燃料は、バイオエタノールと並んで化石燃料の代替燃料として期待されるエネルギーのひとつです。

バイオガス

食べ残しなどの生ごみ、紙ごみ、家畜糞尿などを微生物の力でメタン発酵させ、そのときに生じるガスから製造される燃料を「バイオガス」と呼びます

バイオガスは燃えやすい気体形状の燃料であるため、ガスを燃焼させた際の熱を利用して発電に使ったり、温水プールや調理ガスなどに使われたりします。

ごみとして焼却するはずだったものをバイオガスに変換するため、ごみの焼却量を減らせる点がメリットだと言えるでしょう。

発電や熱供給時のCO₂削減も期待されています。

バイオジェット

微細藻類や木材チップ、製材廃材や間伐などで生じた木材を原料に製造される燃料が「バイオジェット」です

バイオジェットは主に航空燃料として使用し、航空輸送分野におけるCO₂削減の手段として利用されています。

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世界各国で注目されているバイオ燃料ですが、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか。

バイオ燃料が私たちの生活にもたらす、たくさんのメリットをご紹介します。

CO₂を増加させない

バイオ燃料は、結果としてCO₂を増加させないクリーンなエネルギーである点がメリットです

バイオ燃料は、原料を燃焼する際や、自動車や航空機でバイオ燃料を使用したりする際にCO₂が発生します。

しかし、バイオ燃料の原料である植物などは、大気中のCO₂を吸収して成長します

そのため、全体的にCO₂が増加することはありません。

このように、CO₂の排出量を差し引きゼロにできるクリーンエネルギーのことを、カーボンニュートラルといいます。

【関連記事】カーボンニュートラルとは?わかりやすく解説

天候や時間帯を選ばず安定的な供給が可能

バイオ燃料は、太陽光や風力エネルギーのように天候や時間帯に左右されず、安定的に供給できる点もメリットです

太陽光は、日照時間や天候によって発電量が変わります。

風力発電も、風向きや風速によって発生する発電量が変わるでしょう。

一方で、バイオ燃料なら、原料さえあれば天候や時間を選ばず安定的にエネルギーを製造できます。

国内で生産できる

バイオ燃料は農作物や家畜糞尿、廃食用油などを原料としており、石油や石炭のように海外からの輸入に頼る必要がありません

現在の日本では、石油や石炭などの化石燃料の多くを他国からの輸入に頼っています。

その化石燃料をバイオ燃料に置き換えることができれば、化石燃料の消費削減や日本のエネルギー自給率の向上に役立つでしょう。

多くのメリットがあるバイオ燃料ですが、課題もあります。

いったいどのようなデメリットがあるのか見てみましょう。

穀物高騰や食料不足などのリスクが生じる

バイオ燃料の原料に使われるのは、トウモロコシやサトウキビなどの農産物です。

特に、バイオエタノールの製造原料は世界全体でサトウキビ(67%)、トウモロコシ(27%)がほとんどを占めています。

バイオ燃料の生産が活発になれば、穀物価格の高騰や食料不足などのリスクが生じる可能性があるでしょう

エネルギー製造コストが高い

穀物類を原料とするバイオ燃料は、石炭や石油と比べて製造コストが高い傾向にあります

持続可能なエネルギーを作るために、今後は原料を食料からセルロースや藻類に変更する必要がありますが、コストなどの観点から現状では変更できずにいます。

バイオ燃料が普及しない理由に、この高コストが挙げられています。

森林伐採など環境問題への懸念

バイオ燃料の普及が進むとともに、原料の生産拡大による森林伐採が進む可能性があります

具体的には、木材利用のための違法伐採や、原料を生産するための放牧地拡大、サトウキビ生産拡大などです。

実際に、ブラジルのアマゾン熱帯雨林減退の原因が、サトウキビの生産拡大ではないかと指摘する声もあります。サトウキビ生産拡大により、大豆生産が北へ追いやられることで森林伐採へ間接的に影響しているとされています。

私たちには馴染みが薄いバイオ燃料ですが、実は多くの企業でバイオ燃料が活用されています。

私たちの暮らしにどのようにバイオ燃料が使われているのか、具体的な活用事例を見てみましょう。

京都市の活用事例

京都市では、家庭から排出される使用済みてんぷら油などの廃食用油から、バイオディーゼル燃料を製造しています

この燃料は、京都市のごみ収集車や一部市バスの燃料に活用中です。

廃食用油の回収は、市民とのパートナーシップにより行われています。地域のボランティアの協力のもと、各回収拠点に回収容器とのぼりを設置し、定期的に回収を実施しています。

平成30年には、京都市の廃食用油燃料化施設で製造しているバイオディーゼル燃料(B100,B5)が、エコマーク認定を取得しました。

ヤンマーの活用事例

『ヤンマーホールディングス株式会社』の本社では、屋上のマイクロコージェネレーションシステムにバイオ燃料(B100)を使用しています。

コージェネレーションシステムとは、熱源により電力と熱を生産して供給するシステムのことです。

一般的には、都市ガス・LPG・灯油などを燃料にしますが、ヤンマーホールディングス株式会社では、使用済みてんぷら油を再利用したバイオディーゼル燃料を使用しています

このコージェネ機器や省エネ機器の組み合わせ導入が評価され、2016年には「平成28年度コージェネ大賞」の優秀賞を受賞しました。

生活協同組合コープしがの活用事例

『生活協同組合コープしが』では、各惣菜部門で排出される使用済みの廃食用油を回収し、コープしがの配達用車両の燃料にバイオディーゼル混合軽油を使用しています

現在、配送車(約80台)がバイオディーゼル混合軽油で走行中です。

今後は、生協の施設を活用した地域の廃食用油の回収も検討されてり、全国の生活協同組合のさきがけとして、今後の活動が期待されています。

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CO₂を増加させず、地球環境に優しいクリーンなバイオ燃料ですが、行政や企業だけではなく私たち一般家庭でもクリーンエネルギーを選択できます。

なかでも、新電力の『エバーグリーン』は、すべてのお客様に、電力使用によるCO₂排出がゼロになるエコな電気をお届けしています

エバーグリーンの電気プランへの切り替えによって削減できるCO₂排出量は、一般的な家庭で1,562kg-CO₂/年。(※1)

これは、杉の木 約112本が一年間に吸収する量に相当します。(※2)

※1 300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※2 杉の木一本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)

なぜ、切り替えだけでCO₂を削減できるかというと、FIT(※3)電気に環境価値を持つ非化石証書を利用し、実質的に再生可能エネルギー100%で電気を調達しているからです。

※3 FIT:再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社に再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけた制度。

また、エバーグリーンの親会社である『イーレックス』では、バイオマス燃料(PKS)を使用した、大規模なバイオマス発電を行っています

PKSとは、パーム椰子の種からパーム油を搾油した後の椰子殻のことを指します。水分量が少なく、発熱量が高いことから、今注目されているバイオマスエネルギーのひとつです。

地球環境に優しい電気を選びたいという方は、ぜひエバーグリーンの電気をチェックしてみてください。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

バイオ燃料は、未来の地球環境を守るために注目されている、とてもエコなエネルギーのひとつです。

地球温暖化を食い止めるためにも、ぜひ導入したいエネルギーでしょう。

日々の暮らしのなかで、私たちができる地球環境に優しい行動はたくさんあります。

エコな電気を選ぶこともその一つです。

ぜひこの機会に、電力使用によるCO₂排出がゼロになるエバーグリーンの電気をご検討ください。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

(出典)

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