グリーン電力証書の仕組みや特徴をわかりやすく解説!J-クレジット・非化石証書との違いは?

2024年09月04日

再生可能エネルギーの普及を後押しする重要な制度のひとつであるグリーン電力証書。企業や自治体の環境対策としても注目されています。この記事では、グリーン電力証書の仕組みや、J-クレジット・非化石証書との違いなどをわかりやすくご紹介します。環境対策への理解を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。

グリーン電力とは、再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス)によって発電された電力のことです。

グリーン電力は、電気そのものの価値に加えて、「CO₂を排出しない」「環境への負荷が小さい」といった環境価値を持っています。

グリーン電力が持つ環境価値を、電気そのものの価値とは切り離して証書という形で見える化し、取引可能にしたものがグリーン電力証書です。

実際の電力とグリーン電力証書を組み合わせることで、グリーン電力を使用したとみなされます。

自社に再生可能エネルギー発電設備がない場合でも、グリーン電力証書の購入を通して、再生可能エネルギーの普及に貢献できるのが大きな特徴です。

グリーン電力証書は、再生可能エネルギー発電事業者と電気の使用者をつなぐ架け橋の役割を果たしており、環境対策に積極的な企業・自治体から注目を集めています。

グリーン電力が持つ環境価値は、証書認証者である一般財団法人日本品質保証機構により認証され、証書発行事業者が発行することで顧客に売却される仕組みです。

グリーン電力証書が売却されるまでの具体的なステップは、次の4段階に分けられます。

【グリーン電力証書の仕組み】

  • 1.
    発電事業者が再生可能エネルギーを利用してグリーン電力をつくる
  • 2.
    発電事業者が証書発行事業者にグリーン電力の環境価値を売却する
  • 3.
    証書発行事業者は証書認証者(日本品質保証機構)に環境価値を認証してもらう
  • 4.
    証書発行事業者がグリーン電力証書を発行し、顧客へ売却する

現在、証書認証者である日本品質保証機構と契約を締結している証書発行事業者は42事業者あります(2024年7月1日時点)。

主な事業者の例としては、日本自然エネルギー株式会社・サミットエナジー株式会社・イーレックス株式会社などが挙げられます。

国内で環境価値を取引する方法には、グリーン電力証書のほかに、J-クレジットと非化石証書があります。それぞれの違いは次の通りです。

グリーン電力証書 J-クレジット 非化石証書
認証 第3者機関
発行者 証書発行事業者 経済産業省・環境省・農林水産省 【FIT証書】
電力広域的運営推進機関

【非FIT証書】
発電事業者
購入者 最終需要家 ・電力小売事業者
・最終需要家

【FIT証書】
・電力小売事業者
・仲介事業者
・最終需要家

【非FIT証書】
・電力小売事業者
・一部の最終需要家

対象 再生可能エネルギーで発電された電力 CO₂排出削減量・吸収量 化石燃料を使わずに発電された電力
購入方法 証書発行事業者から直接購入 ・J-クレジット・プロバイダーなどによる仲介
・相対取引
・入札販売
・取引所オークション
・相対取引(非FIT証書のみ)
取引形態 証書のみの取引 クレジットのみの取引 証書のみまたは電力とセットで取引
価格 2~4円/kWh ※1 平均1.4円/kWh(2023年5月入札)※4 0.4円/kWh ※2、※3
発行量 4億3,400万kWh(2022年度) 11億8,500万kWh(2022年度の認証量)※4、※5 1,208億kWh(2022年1~12月発電分)※2

※1:大量購入の場合の目安価格
※2:FIT証書の場合
※3:2023年度の市場における約定加重平均価格
※4:再生可能エネルギー(電力)由来クレジットの場合
※5:J-クレジットは発行量を公表していないため認証量を記載

グリーン電力証書は第3者機関による認証制度であるのに対して、非化石証書・J-クレジットは国の認証制度です

また、それぞれの制度で対象としているものが異なるほか、価格・発行量も制度ごとに大きく異なります。

グリーン電力証書との違いに着目しながら、J-クレジットと非化石証書の概要について見ていきましょう。

【関連記事】環境価値を取引する3種類の証書(Jクレジット制度・非化石証書・グリーン電力証書)とは?活用方法についてご紹介します。

J-クレジット|温室効果ガス削減量をクレジットとして認証

J-クレジットとは、CO₂などの温室効果ガスの排出削減量・吸収量をクレジットとして認証する国の制度です。

例えば、太陽光などの再生可能エネルギーを利用したり、省エネ設備を導入したりすることによって削減したCO₂排出量や、森林管理によるCO₂吸収量などがクレジットとして認証されます。

購入したクレジットは、企業活動などにおけるCO₂排出量のオフセット(カーボン・オフセット)をはじめ、さまざまな用途に活用可能です。

J-クレジットの2023年5月入札での平均価格は約1.4円/kWh(※)で、グリーン電力証書(2~4円/kWh)よりも購入しやすい価格と言えます。

認証量も11億8,500万kWh(2022年度)と、グリーン電力証書の発行量より約3倍近く多くなっています

※再生可能エネルギー(電力)由来クレジットの場合

非化石証書|非化石電源から発電された電気の環境価値

非化石証書とは、化石燃料を使わずに発電された電気が持つ「CO₂を排出しない」という環境価値を証書化し、取引できるようにしたものです。

非化石証書には次の3種類があります。

種類 証書の対象
FIT非化石証書 FIT(※)電源によって発電された電気 太陽光・風力・中小水力・地熱・バイオマス
非FIT非化石証書
(再生可能エネルギー指定あり)
FITの適用を受けない再生可能エネルギー由来の電気 大型水力・卒FIT太陽光など
非FIT非化石証書
(再生可能エネルギー指定なし)
再生可能エネルギー以外の非化石燃料によって発電された電気 原子力・水素など

FIT非化石証書の場合、2023年度の平均価格は0.4円/kWhです。グリーン電力証書の5分の1から10分の1ほどの価格で購入できます

発行量も1,208億kWh(2022年1~12月発電分)と、3つの制度の中でもっとも多いのが特徴です。

※FITとは
再生可能エネルギーの普及を目的とした固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)のこと。再生可能エネルギーで発電された電気を、電力会社が一定期間、固定価格で買い取ることを義務付けた制度です。買取期間が満了することを「卒FIT」と言います。

【関連記事】非化石証書とは?仕組みや購入のメリットをわかりやすく解説

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グリーン電力証書には次の4つのメリットがあります。

  • 再生可能エネルギーの普及や温暖化対策に貢献できる
  • 企業イメージの向上に活用できる
  • CDPやRE100など各種環境報告書に活用できる
  • 発電事業者が環境価値の販売収入を得られる

それぞれ見ていきましょう。

再生可能エネルギーの普及や温暖化対策に貢献できる

グリーン電力証書の購入により、再生可能エネルギーによる発電設備を持っていない企業や自治体でも、国内の再生可能エネルギーの普及拡大や地球温暖化防止に貢献できます

近年深刻化している地球温暖化を抑制するためには、再生可能エネルギーの普及を拡大させることが重要です。

2023年に開催された第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、「再生可能エネルギーの発電容量を2030年までに世界全体で3倍にする」という目標が掲げられました。

日本政府も、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を2030年度までに36〜38%とする目標を掲げています。

こうした目標を達成するためにも、グリーン電力証書の活用などにより再生可能エネルギーの普及を後押ししていく必要があります

企業イメージの向上に活用できる

グリーン電力証書を企業や自治体のPRに活用することで、環境対策に積極的に取り組む姿勢を対外的に示すことができます

近年では、環境に配慮した経営など、社会的価値のある活動をしている企業が評価されるため、顧客や投資家からの信頼を獲得しやすくなります。さらに、企業のブランディングにも効果的です。

グリーン電力を活用して商品を製造した場合、グリーン電力を利用した証として次のようなマークが提供されます。

【グリーン・エネルギー・マーク】
グリーン電力証書の認証機関である一般財団法人日本品質保証機構が運用しているマークです。グリーン電力の普及拡大を図るために2008年5月に制定されました。

【グリーンパワーマーク】
証書発行事業者である日本自然エネルギー株式会社が提供しているマークです。風力・水力・バイオマスと、発電方法を特定しないグリーン電力を示す4種類のマークがあります。

上記のマークは、グリーン電力を使用して製造された商品に表示したり、CSRなどのPRに活用したりできます。

企業の環境対策を消費者にアピールできるとともに、消費者も環境に配慮した商品を選択して購入できるのがメリットです。

CDPやRE100など各種環境報告書に活用できる

グリーン電力証書は、CDPやSBT、RE100などの各種環境報告書の作成にも活用可能です。

グリーン電力証書に記載された電力量(kWh)相当分については、再生可能エネルギーを使用したとみなして自社のCO₂排出量を削減できます

グリーン電力証書を活用できる各報告書の概要は次の通りです。

【CDP】
イギリスで設立された国際的なNGO。世界の企業に対し、CO₂排出量や気候変動への取り組みに関する質問書を出して情報を収集、企業ごとに環境評価のスコアをつけて情報開示しています。公表された情報は投資家などの意思決定に大きな影響を与えています。

【SBT】
パリ協定(世界の平均気温上昇を産業革命前より2℃を下回る水準に保ち、1.5度に抑える努力をすること)が求める水準と整合した、企業の温室効果ガス排出削減目標のこと。企業は5~15年先を目標年として排出削減目標を設定します。

【RE100】
企業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す国際的なイニシアティブです。世界各国の400社を超える企業が参加しています(国内企業では富士通株式会社や日清食品ホールディングス株式会社などが参加)。

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発電事業者が環境価値の販売収入を得られる

グリーン電力の環境価値を売却することにより、再生可能エネルギー発電事業者が収入を得られるのも大きなメリットです。

こうした収入は、再生可能エネルギー発電設備の新規建設や既存設備の維持・拡大に活用され、再生可能エネルギーのさらなる普及に役立てられます

例えば、愛媛県松山市では、市内の小中学校に太陽光発電を設置し、得られたグリーン電力の環境価値をグリーン電力証書として販売しています。証書の販売収入は、市内の小中学校への新たな太陽光発電設備の導入などに活用されています。

再生可能エネルギーの普及拡大に役立つグリーン電力証書ですが、次のような課題やデメリットもあります。

  • 価格が高い
  • 発行量が少ない
  • 法律にもとづく正式な報告には国の認証が必要

価格が高い

グリーン電力証書の価格は、大量購入の場合で2~4円/kWh程度です。

平均価格がもっとも安い非化石証書(約0.4円/kWh)と比較すると、グリーン電力証書は約5〜10倍の高価格であることがわかります。

具体的な価格は証書発行事業者によって異なるため、場合によってはさらに高値になることもあります。

企業や自治体が導入しやすい価格を実現することが、グリーン電力証書の課題と言えるでしょう

発行量が少ない

J-クレジットや非化石証書と比べて流通量が少ないのも、グリーン電力証書のデメリットです。

2022年度の発行量は4億3,400万kWhで、非化石証書発行量の300分の1、J-クレジット認証量の3分の1程度でした。

ほかの認証制度と比較すると市場規模が小さく、安定供給の面で課題があると言えます。

ただし、今後の再生可能エネルギーの普及率向上に伴って、発行量が増える可能性はあるでしょう。

法律にもとづく正式な報告には国の認証が必要

グリーン電力証書は民間の認証制度のため、地球温暖化対策推進法(温対法)などの法律にもとづく正式な報告に使用するには、別途「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」を利用する必要があります

グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度は、グリーン電力証書が持つ環境価値をCO₂削減価値として国から認証してもらう制度です。資源エネルギー庁・環境省が共同で運営しています。

この制度を利用することで、グリーン電力証書のCO₂排出削減価値を、温対法にもとづく温室効果ガス算定・報告・公表制度などに活用できるようになります。

現在深刻化している地球温暖化を食い止めるためには、再生可能エネルギーの普及が欠かせません。

国内の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、2011年度から2022年度にかけて倍以上に伸びていますが、普及率はまだまだ低いのが現状です(2011年度:10.4%、2022年度:21.7%)。

近年では、再生可能エネルギー由来のエコな電気を提供する電力会社も増えてきましたが、こうした環境に優しい電気を選ぶことも、再生可能エネルギーの普及を拡大させるための力強い後押しになります

現在は電力自由化により、電力会社を各家庭で自由に選ぶことができます。毎日使う電気をエコなものに見直して、再生可能エネルギーの普及に貢献しませんか?

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家庭の電気をエコなものに切り替えるなら、『エバーグリーン』がおすすめです。

エバーグリーンは、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーである「イーレックスグループ」の一員です。

親会社のイーレックス株式会社では、バイオマス発電所の運営など、再生可能エネルギーの普及拡大に向けて積極的な取り組みを実施しています。

エバーグリーンでも、再生可能エネルギー実質100%のエコな電気をすべてのプランで提供しています

エバーグリーンへの切り替えによる環境へのメリットは次の通りです。

  • 家庭の電力使用によるCO₂排出量がゼロになるため、温暖化対策につながる
  • 年間で1,562kg-CO₂のCO₂を削減できる(杉の木約112本が1年間に吸収するCO₂量に相当)

※300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※杉の木1本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)

エバーグリーンへの切り替えはWebから5分ほどで簡単に行えます。

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グリーン電力証書は再生可能エネルギー普及を後押しする認証制度です。

自社で再生可能エネルギー発電設備を持たない企業でも、グリーン電力証書を購入することによって、再生可能エネルギーの普及拡大に貢献できます。

再生可能エネルギーの活用は、地球温暖化の進行を防ぐために必要不可欠な取り組みです。

個人でも環境に配慮したエコな電気を選ぶことで、再生可能エネルギーの普及や温暖化防止に貢献することができます。

エバーグリーンでは、CO₂排出量がゼロになるエコな電気をご提供しています。

家庭でできる環境対策のひとつとして、ぜひエバーグリーンのエコな電気への切り替えも検討してみてください。

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(出典)

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