温室効果ガスとは?特徴や種類をわかりやすく解説

ライフスタイル
2021年7月30日

温室効果ガスがどのようなものかご存知でしょうか?地球温暖化に大きく関係しており、排出量の削減が求められています。この記事では、温室効果ガスの特徴や種類、家庭でできる削減方法などをご紹介します。

目次

温室効果ガスとは

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温室効果ガスとは、大気中に含まれる二酸化炭素やメタンなどのガスの総称です。

このあと紹介しますが、温室効果ガスは上記2つ以外にもいくつかの種類があります。

温室効果ガスには、太陽から放出される熱を地球に閉じ込めて、地表を温める働きがあります。

この働きにより、地球の平均気温は約14℃に保たれているのです。

もし温室効果ガスがなくなるとどうなると思いますか?

気象庁によると、温室効果ガスがなくなった場合、地球の表面温度は-19℃になるとされています。

地球温暖化の原因として悪いものであると捉えられがちな温室効果ガスですが、実は地球にはなくてはならないものなのです。

温室効果ガスの種類

温室効果ガスとして有名なのは二酸化炭素ですが、そのほかにもいくつか種類があります。

「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められている温室効果ガスは、以下の7つです。

  • 1.
    二酸化炭素
  • 2.
    メタン
  • 3.
    一酸化二窒素
  • 4.
    ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
  • 5.
    パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
  • 6.
    六ふっ化硫黄
  • 7.
    三ふっ化窒素

それぞれの特徴を見てみましょう。

二酸化炭素

二酸化炭素は、炭素原子1個に対して、酸素原子が2個結びついた物質です。

炭酸ガスと呼ばれおり、炭酸飲料やドライアイス、ビールなどに使われています。

石炭や石油などの化石燃料や木、プラスチックなどを燃やすと、二酸化炭素が発生します。

二酸化炭素については、こちらの「二酸化炭素が増えるとどうなる?影響や対策をご紹介」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

メタン

メタンは炭素原子1個に対して、水素原子が4個結びついた物質です。

天然ガスの主成分であり、都市ガスに使われています。

また水素やメタノールの原料にもなっています。

メタンの発生源には以下のようなものがあります。

  • 天然ガスの採掘
  • 水田
  • 家畜のゲップ、糞尿

二酸化炭素の21倍の温室効果があると言われています。

一酸化二窒素

一酸化二窒素は、窒素原子2個に対して、酸素原子が1個結びついた物質です。

身近なものでは、全身麻酔等の際に使う笑気ガスとして使われています。

窒素肥料の使用や製品製造などの工業活動によって発生し、二酸化炭素の310倍の温室効果を持っているとされています。

代替フロン類(ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六ふっ化硫黄、三ふっ化窒素)

フロンは「フルオロカーボン」の通称で、炭素とフッ素が結びついた物質です。

元々は自然界に存在しない物質であり、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒用に開発され、1960年代以降、大量に使われていました。

しかしフロンはオゾン層を破壊する物質ということが判明し、主なフロンは1997年から生産が禁止されています。

オゾン層については、こちらの「オゾン層が破壊されたらどうなる?破壊の原因や現状、保護するための取り組みを解説」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

その代わりに登場したのが、ハイドロフルオロカーボンやパーフルオロカーボンなどの代替フロンと呼ばれるものです。

代替フロンはオゾン層を破壊しないものの、二酸化炭素の数百~数万倍の温室効果があります。

排出量が最も多い温室効果ガスは?

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温室効果ガスとして上記の7種類のガスが定められていますが、大気に排出されている量はそれぞれ異なります。

気象庁によると、2010年における人為起源の温室効果ガスの排出割合(二酸化炭素換算)は以下の通りです。

  • 二酸化炭素:76.0%
  • メタン:15.8%
  • 一酸化二窒素:6.2%
  • フロン類:2.0%

上記の通り、排出量が最も多いのは二酸化炭素です。

二酸化炭素が多くなっている主な原因は、石炭や石油など化石燃料の燃焼によるものです。

過去20年間を見ると、大気の二酸化炭素濃度の増加分のうち、4分の3以上が化石燃料によるものとされています。

そのため工業化が進んでいる先進国が、二酸化炭素排出の大きな割合を占めています。

ちなみに2019年の日本の二酸化炭素排出量は世界で見ると3.2%です。

これは中国、アメリカ、インド、ロシアに次いで5番目に多い結果となっています。

化石燃料については、こちらの「化石燃料とは?名前の由来から問題点までわかりやすく紹介」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

温室効果ガスが環境へ与える影響

温室効果ガスが増えすぎると、地球から逃げていくはずの熱が放出されずに地表に溜まりすぎてしまい、気温が上昇します。

地球の気温が上がることを地球温暖化と言いますが、その結果、異常気象が発生しやすくなるなど気候変動につながります。

また気温の上昇は生態系にも影響を及ぼします。

たとえば気温が高くなることで蚊の生息域が広がり、それによりマラリア熱などの感染症にかかる人が増えてしまうかもしれません。

地球温暖化の現状については、こちらの「地球温暖化の現状は?今後の予測や対策、私たちにできることまで紹介」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

温室効果ガスを削減するための世界と日本の取り組み

温室効果ガスの削減は世界全体の課題となっており、各国それぞれが解決に向けて取り組んでいます。

ここでは世界と日本の温室効果ガス削減目標と取り組みをそれぞれ見ていきましょう。

世界の目標と取り組み

温室効果ガスを削減するために、世界の主要国が掲げている目標と取り組みの例は以下のとおりです。

2030年までの温室効果ガス削減目標 2050年までの温室効果ガス削減目標 2050年までの取り組み例
ドイツ 55%削減(1990年比) 80~95%削減(1990年比)
  • 効率的にエネルギーを利用して、大幅に削減されたエネルギーは再生可能エネルギーでまかなう
  • 交通システムをほぼ脱炭素化する
フランス 40%削減(1990年比) 75%削減(1990年比)
  • リサイクルや再利用を促し、エネルギー代替やCCS技術の開発と普及に努める
  • すべての建築物を省エネ基準に合うよう改修する
イギリス 68%の削減(1990年比) 80%以上削減(1990年比)
  • ほぼすべての乗用車・小型トラックをゼロエミッションにする
  • 森林面積を18万ha拡大する
カナダ 40~45%削減(2005年比) 80%削減(2005年比)
  • 電力の脱炭素化は、再エネや原子力などによって進める
  • 運輸部門の電化を進めて、大規模な燃料転換を行う
アメリカ 二酸化炭素排出量を50〜52%削減(2005年比) 温室効果ガスを80%以上削減(2005年比)
  • エネルギー効率の向上と電気の完全な脱炭素化を推し進める
  • 今後20〜35年の間に、森林を約16万~20万k㎡拡大する

(出典:環境省|各国の長期戦略の概要について)

日本の目標と取り組み

2020年10月に行われた所信表明演説で、菅総理が「2050年カーボンニュートラル宣言」をしました。

これは2050年までに、温室効果ガスの排出を実質的にゼロにするという内容です。

ただ、温室効果ガスの排出を完全になくすのは現実的に難しい部分があります。

そこで、温室効果ガスの吸収・除去量を、排出量から差し引いた合計をゼロにすることで、温室効果ガスの排出を実質的にゼロとするカーボンニュートラルという考え方が取り入れられています。

また日本では、次のような目標も掲げています。

  • 2013年度に比べて、温室効果ガスの排出量を2030年度までに26%削減
  • 再生可能エネルギー、循環可能な資源の有効利用を徹底する
  • 乗用車ではモーター駆動の自動車を主流にする
  • 徒歩や自転車の活用、効率的な輸送手段の組み合わせ、公共交通の整備などを行う

温室効果ガスを減らすために私たちが家庭でできること

温室効果ガスを減らすためには、国の施策だけでなく、家庭での取り組みも重要です。

全国地球温暖化防止活動推進センターによると、2020年度に家庭から出された二酸化炭素の割合は、下記が上位を占めています。

  • 電気:47.6%
  • ガソリン:21.6%
  • ガス:14.9%

つまり家庭の二酸化炭素排出量を削減する際には、上記3つの使い方を見直すことが効果的です。

ここでは電気、ガソリン(車)、ガスの使い方を見直して二酸化炭素の排出を減らすヒントをご紹介します。

電気の使い方を見直す

電気の使用による温室効果ガスの排出量を減らすためには、やはり節電を意識することが大切です。

東京都の2019年度の調査によると、家庭の機器別の消費電力は、照明器具、冷蔵庫、エアコン、テレビの順に多く、この4つで家庭全体の60.2%を占めています。

これらの使い方を見直して、節電を心掛けましょう。

具体的な例としては、以下の方法があります。

  • テレビをつけっぱなしにしない
  • 必要のない照明はこまめに消す
  • 高効率蛍光灯やLED照明に交換する
  • 冷房時の室温は28℃以上、暖房時の室温は20℃以下で過ごすことを心がけ、エアコンを過度に使用しない
  • 使わない家電は主電源を切る
  • できるだけひとつの部屋に集まる
【関連記事】家庭でできる節電アイデア10選!今すぐ実践しよう

ガソリン(車)の使い方を見直す

車の使い方を見直すことでも、温室効果ガスの削減に繋がります。

具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 急発進や急加速、急ブレーキをしない
  • アイドリングストップをする
  • 定期的に点検や整備をする
  • 徒歩や自転車、公共交通機関を利用し、できるだけ車を使わないようにする
【関連記事】エコドライブとは?効果や具体的な運転方法を解説

ガスの使い方を見直す

家庭の中でガスを使うのは、主にお風呂とガスコンロです。

お湯を沸かす量を減らしたり、ガスコンロの使い方を見直して、ガスを使う量を節約しましょう。

具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 電子レンジを活用する
  • ガスコンロの火力を調節して、鍋底からはみ出さないようにする
  • シャワーのお湯を出しっぱなしにしない
  • 浴槽に溜めるお湯の量を減らす
  • 間隔を開けずに続けて入浴する
【関連記事】ガス代を節約しよう!誰でもできる節約ノウハウをポイント別に解説

地球に優しい電気に切り替えるだけでも温室効果ガスを削減できる

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再生可能エネルギーを使用した電力会社に切り替えるのも、温室効果ガスを削減する方法のひとつです。

再生可能エネルギーとは、太陽光やバイオマスを使った、資源が枯渇しないエネルギーです。

また温室効果ガスの排出がない(または増加させない)のも大きな特徴で、地球に優しいエネルギーとして注目を集めています。

今ではさまざまな電力会社があり、積極的に再生可能エネルギーを扱っている会社も登場しています。

そのような会社に切り替えるだけでも、温室効果ガスの削減につながるでしょう。

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温室効果ガスを削減するためにできることから始めよう

温室効果ガスの排出量を減らすために、世界各国がそれぞれ目標を掲げ、その目標を達成するための取り組みを行っています。

日本でも、2050年までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロにすることを目指し、さまざまな活動がスタートしています。

しかし温室効果ガスの削減には、国だけの努力では不十分です。私たち一人ひとりの行動が鍵を握っています。

個人でも、電気や車、ガスの使い方を見直すだけで、温室効果ガスの削減に繋げることが可能です。

この記事でご紹介した方法をはじめ、できることから取り組んでみてください。

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(出典)

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