燃料費調整額とは?仕組みや確認方法をわかりやすく解説

ライフスタイル
2021年7月30日

毎月、電気代の請求書にさりげなく記載されている“燃料費調整額”。「燃料費調整額が何なのか気になる……」「金額はどうやって決まるんだろう?」と疑問を抱えている方も多いかと思います。今回は燃料費調整額とは何か、その仕組みや確認方法をご紹介します。

目次

燃料費調整額とは、 「燃料費調整制度」と呼ばれる仕組みに基づき、家計の電気代へ自動的に加算・減額される費用です。

私たちの家庭に届く電気は、その多くが、電力会社が「火力燃料(原油・石炭・天然ガスなど)」を利用して発電したものです。

火力燃料の価格は市場の影響を受けやすく、その時々で高かったり低かったりと変動します。

燃料価格が高騰して電力会社の経営が厳しくなることもあれば、反対に暴落して電力会社が一時的に儲かりすぎてしまう場合もあり、なかなか安定しません。

電力会社の経営が不安定になると、将来に渡って私たちへ電気を届け続けることも難しくなってしまいます。

このような状態を改善するために生まれたのが、燃料費調整制度です。

燃料価格の変動を、燃料費調整額を増減させることによって家計の電気代へ速やかに反映させ、 電力会社・消費者双方が安定して電気を扱えるようにしています

(出典:資源エネルギー庁|燃料費調整制度について)

【関連記事】化石燃料とは?名前の由来から問題点までわかりやすく紹介

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燃料費調整額は、電力会社が算出して家庭の電気代に反映させるため、特に自分で計算する必要はありません。

しかし、どのような仕組み・計算方法で決まっているのか、あらためて確認しておきましょう。

燃料費調整額は、以下の計算式によって求められます。

燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 使用電力量

まずは、「燃料費調整単価」の計算方法からご紹介します。

燃料費調整単価の計算方法

燃料費調整単価は、以下の計算式により求められます。

【プラス調整(平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合)】
燃料費調整単価 = (平均燃料価格 – 基準燃料価格) × 基準単価 ÷ 1,000

【マイナス調整(平均燃料価格が基準燃料価格を下回った場合)】
燃料費調整単価 = (基準燃料価格 – 平均燃料価格) × 基準単価 ÷ 1,000

平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合はプラス調整の計算式を、下回った場合はマイナス調整の計算式を採用する仕組みです。

しかし、「平均燃料価格」、「基準単価」、「基準燃料価格」と馴染みのない用語が多く、なんだかよくわからないという人も多いと思います。

それぞれの用語を順番に確認していきましょう。

平均燃料価格

平均燃料価格は、 3ヶ月間の燃料価格を使って求められる数値です。

原油、液化天然ガス、石炭の価格に、それぞれ所定の換算係数をかけて求められます。

基準単価

基準単価は、 平均燃料価格が1キロリットル当たり1,000円変動した場合に調整される単価です。

基準燃料価格

基準燃料価格とは、電力会社が料金プランを作った当時に想定していた平均燃料価格です。

言い換えれば、現在の価格設定の前提となった燃料価格を指します。

この金額をもとに、家計の電気代に燃料費調整額が加えられるのか、あるいは引かれるのかが決まります。

(出典:エバーグリーン・リテイリング|燃料費調整単価のお知らせ)

(出典:内閣府|【参考】燃料費調整の前提諸元②)

(出典:資源エネルギー庁|総合資源エネルギー調査会電気事業分科会 第1次報告)

燃料費調整額の計算方法

上記のように、燃料費調整額に関わる計算式はとても煩雑です。

理解を深めるために、実際に計算してみましょう。

ここでは以下の条件で求めてみます。

  • 電気使用量:500 kWh
  • 基準燃料価格:45,000円/kl
  • 基準単価:10.0銭
  • 平均燃料価格:40,000円/kl

上述の通り、燃料費調整額は以下の式で求められます。

燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 使用電力量

使用電力量は500kWhとすでに明らかになっていますので、あとは燃料費調整単価が必要です。

今回は平均燃料価格(40,000円)が基準燃料価格(45,000円)を超えていないので、マイナス処理の式を採用します。

燃料費調整単価 = (基準燃料価格 – 平均燃料価格) × 基準単価 ÷ 1,000

各数字を当てはめると、下記の通りです。

(45,000-40,000)×10.0÷1,000=50.0(銭/kWh)

今回の例では、「50.0(銭/kWh)」が燃料費調整単価となりました。

よって、燃料費調整額は、

50.0(銭/kWh) × 500(kWh)=25,000(銭)=250(円)

となります。

マイナス調整なので、電気代から250円が引かれる計算です。

ちなみに、燃料費調整額が反映されるのは計算から2ヶ月後の電気料金です。

たとえば4月に、1~3月の燃料価格から平均燃料価格を算出したのであれば、6月分の電気料金に反映されます。

上述のように、自分で計算しようとすると大変な燃料費調整額ですが、実際に支払っている金額は電力会社の公式サイトや月々の検針票で簡単に確認できます

興味のある方は、自分がいくら支払っているのか確認してみてください。

【関連記事】電気料金の確認方法は?世帯別の電気代の平均もご紹介

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ここまでご紹介した通り、燃料費調整額は自動で家計の電気代に反映されるものです。

電気使用量を減らせば少しは負担を減らせるものの、その金額はあまり大きくなりません。

そのため、もし家計の電気代を減らしたいのなら、燃料費調整額以外の部分に目を向けましょう。

おすすめは、 電力会社を切り替えて「電力単価(1kWhあたりの電気代)」を下げる方法です。

現在は電力自由化により、消費者が好きな電力会社を自分で選んで契約できるようにルールが変化しています。

各電力会社がそれぞれ魅力のあるプランを提案しており、自分の家庭に合ったものを選ぶだけで、大幅に節約できるかもしれません。

【関連記事】電力会社・電気料金の選び方とは?プランや比較方法を解説

燃料費調整額は燃料費価格の変動を電気代へ反映させるための仕組みで、残念ながら家庭側で操作することはできません。

そのため電気代が気になるのであれば、電気代がおトクに設定されている電力会社への切り替えをおすすめします。

一度変更するだけで毎月の電気代が安くなる可能性があるので、ぜひこの機会にご検討ください。

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