ヒートドーム現象とは?発生する原因は?
ヒートドーム現象とは、上空の高気圧が熱い空気を地表近くに押し下げて固定し、まるで鍋の蓋のように特定の地域を熱い空気で包む気象現象です。
ときには、特定の地域だけではなく、大陸全体の気温を上げることもあります。
ヒートドームができる原因は、風が少なく乾いた夏季に温かな空気が蓄積されることです。
そこに上空を覆う高気圧が熱を閉じ込め、地表の空気が圧縮されて気温が高くなります。
さらに、世界各国を襲う「熱波(ヒートウェーブ)」とヒートドームが組み合わさることで、熱波が続く期間が長くなり、酷暑が激化する可能性があるとされています。
インドでは、2024年の3月から6月までの期間で熱中症の疑いがある症例が4万件を超え、北東部地域では長引く熱波の影響で豪雨による洪水も発生しました。
ヒートドームは世界各国で発生しており、2021年6月には、カナダ・ブリティッシュコロンビア州リットンで国内史上最高気温となる47.5℃を観測しています。
2024年7月にはアメリカのカリフォルニア州でもヒートドームが発生し、人口の約1割にあたる3,600万人が記録的な暑さの影響を受けていると発表されました。
ヒートドームがもたらす悪影響
ヒートドームは、地球全体に悪影響をおよぼす危険な気象現象です。具体的に私たちの暮らしにどのような悪影響があるのかをご説明しましょう。
人体への影響
ヒートドームが起こると気温が急上昇するため、熱中症リスクが高まります。酷暑によって死亡する危険まであるため、人々の生活に大きな悪影響を及ぼすでしょう。
2024年の6月には、イスラム教の聖地メッカへの「大巡礼(ハッジ)」で、少なくとも526人が猛烈な暑さによって死亡したと発表されています。
現地の気温は51℃を超え、エジプトだけでも307人が死亡。118人が行方不明になっています。サウジ当局によると、2023年は2,000人以上が暑さにより体調不良になりました。
このように、地球の気温上昇は、人間の健康を脅かす大きな問題となっています。
環境への影響
ヒートドームが発生することで、地面の水分量が減り、干ばつを起こす可能性があります。
水分がなく暖まった地面が大気を暖め、さらに厳しい高温を引き起こすことが予想されるでしょう。
高温状態が長く続くことで、地面や植物の水分量が減り、山火事が起きやすい環境になるのも問題視されています。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州リットンでは、ヒートドームの影響で大規模な山火事が発生し、村の90%が焼失しました。
また、気温が高まるほど大気中の水分も多くなります。その結果、降雨も激しくなり、ゲリラ豪雨にも繋がります。
2022年にはオーストラリア東部・ブリスベンで1年の雨量の80%が6日間で降る豪雨に見舞われ、シドニーでも年間の平均降雨量をたった3ヶ月で記録しました。
生活への影響
ヒートドーム現象で干ばつが進むことで、水不足が懸念されます。
人々の生活用水はもちろん、農業の水不足にも繋がるため、このまま異常気象が続けば食糧危機につながるおそれもあるでしょう。
また、猛暑によるエアコン需要の増加で、大規模な停電が起こる可能性もあります。
2021年に歴史的猛暑を記録したワシントン州・シアトルでは、多くの住民が急きょエアコンを購入しています。大規模停電には繋がりませんでしたが、エネルギー需要の増加により、配電網の負荷が高まるといわれていました。
カリフォルニア州北部・モンタナ州でも、エアコン需要の高まりによるエネルギー不足が問題視されました。
モンタナ州は全米で7番目に大きい水力発電の生産地ですが、猛暑により水力発電に用いる水源が通常より低下したとの報道もあります。
もし、ヒートドームが日本で発生した場合は、電力需要の増加にともない、大規模な停電が発生するリスクも考えておきましょう。
ヒートドーム現象は日本でも発生する?
日本では、まだ「ヒートドーム」という言葉は使われていませんが、いずれヒートドームと呼ばれる現象が起こる可能性はあります。
なぜなら、日本は太平洋高気圧やチベット高気圧に覆われるため、暑い日が続くことがあるためです。この高気圧が何日も上空に留まれば、いずれヒートドームが形成されるかもしれません。
ヒートドームとは呼ばれていませんが、日本でも局地的な猛暑が発生したケースがあります。2018年7月には埼玉県熊谷市で41.1℃を記録し、2024年7月には栃木県佐野市で41℃を記録しました。
都市部では「ヒートアイランド現象」と呼ばれる気象現象により、さらに気温が高くなります。
ヒートアイランド現象とは、都市環境や人口熱の影響で都市の気温が郊外よりも高温になる現象のことです。日本の都市の進展にともない、ヒートアイランド現象は顕著になりつつあります。
【関連記事】ヒートアイランド現象にはどんな対策がある?3つの例をご紹介
ヒートドーム現象への対策
日本では未だにヒートドームが発生していませんが、もし発生してしまったときはどう対処すればよいのでしょうか。ここでは、日本でヒートドームが発生した際の対処法をご紹介します。
熱中症への備え
ヒートドームが発生した場合は、熱中症の備えを十分にしておくことが重要です。
たとえば、喉が乾いていなくてもこまめに水分を摂ること、適度に塩分を補給することが挙げられます。
塩分や糖分を含むスポーツドリンクなどの飲料は、水分の吸収がスムーズにできるのでおすすめです。
普段からバランスの良い食事と丈夫な身体作りをしておくのも重要です。睡眠時はエアコンや扇風機を適度に使い、睡眠環境を整えましょう。バランスの良い食事で体調管理をするのも大切です。
正しい情報を集める
熱中症の危険を避けるために、自分のいる環境の気温や湿度を常に気にしましょう。
情報の収集には、気象庁や環境省が提供する信頼できる情報源を活用し、誤った情報を鵜呑みにしないことが大切です。
環境省が発表する「熱中症警戒アラート」などを活用し、正しい情報のもときちんと行動しましょう。
熱中症のリスクが高い場合は、扇風機やエアコンを使って室内を涼しく保ちます。衣服は麻や綿などの通気性のよい生地を選び、屋外では帽子や日傘を活用して暑さ対策をしましょう。
ヒートドームを発生させないための予防策は?
ヒートドームをはじめ、世界では記録的な酷暑が問題となっています。この酷暑を食い止めるために重要となるのが、再生可能エネルギーの活用です。
地球の平均気温を高める地球温暖化は、地球から排出される温室効果ガスの影響で起こっています。私たちの生活に欠かせない電気などのエネルギーも、発電の際に二酸化炭素(CO₂)を排出します。
地球から排出される二酸化炭素(CO₂)を減らす(もしくは増やさない)ために役立つのが、再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーを使った発電では、二酸化炭素(CO₂)を排出しません(もしくは増やしません)。
再生可能エネルギーには、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの種類がありますが、日本の再生可能エネルギーの電力比率は2021年度で約20.3%と、未だ主力電源とは言えない状況です。
地球温暖化を食い止めるために私たちができること
日本では、未だに再生可能エネルギーが世間に浸透していません。地球温暖化防止のために私たちにできることは、環境に優しいエネルギーを選ぶことです。
たとえば、新電力の『エバーグリーン』では、ご家庭での電力使用によるCO₂排出量がゼロになるエコな電気を提供しています。
エバーグリーンへの切り替えにより削減できる年間のCO₂排出量は、一般的な家庭で1,562kg-CO₂/年。これは、杉の木約112本が一年間に吸収する量に相当します。
※300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※杉の木一本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)
エバーグリーンがCO₂排出ゼロで電気を提供できる理由は、FIT電気に環境価値を持つ非化石証書を利用し、実質的に再生可能エネルギー100%での調達を実現しているからです。
※ FIT:再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社に再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけた制度。
「地球温暖化を食い止めたい」「未来の地球環境を守りたい」「地球に優しいエネルギーを選びたい」という方は、ぜひエバーグリーンのプランをチェックしてみてください。
地球全体の異常気象に目を向けてみよう
ヒートドームは、ときに死者を出す危険な気象現象です。日本ではまだ発生していませんが、世界各国で発生しているため、今後日本で絶対に発生しないとは言い切れません。
私たちの暮らしを守るためにも、地球全体の異常気象にも目を向けて、自分でできる対策を考えておきましょう。
地球の未来を守るためには、環境に優しいエネルギーを選ぶことも大切です。エネルギー選びの際も環境に優しいかをチェックし、未来の地球のことを考えたものを選びましょう。
(出典)
- 気候変動が天候に与える影響とは? BBCの気象予報士が解説 – BBCニュース
- インド、今夏の熱中症疑い4万件超え 死者110人 猛暑続く | ロイター
- カナダの気温、過去最高の47.5度に 「ヒートドーム」現象で – BBCニュース
- 米西部で猛暑、「ヒートドーム」現象で3600万人に影響 | ロイター
- 酷暑のメッカ大巡礼、死者562人に 地球温暖化で環境悪化 | ロイター
- 熱波で死者も、北米襲うヒートドーム現象の恐怖 猛烈な暑さと高温は7月4日まで続く見通し | The New York Times | 東洋経済オンライン
- 北米で歴史的「ヒートドーム」現象、カナダで47.5度を記録|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
- エネルギー – モンタナ世界貿易センター
- 季節ごとの平年の天候についてのコラム「夏の高温の要因」 | 気象庁
- 歴代全国ランキング | 気象庁
- 熱中症の予防・対策 | 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進
- 温暖化とは?地球温暖化の原因と予測 | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
- 7.再エネ|資源エネルギー庁