合成燃料とは
はじめに、合成燃料の概要や製造方法について確認します。
原材料は二酸化炭素と水素
合成燃料の原材料は、二酸化炭素(CO₂)と水素(H₂)です。これらを合成して製造され、複数の炭化水素化合物であることから「人工的な原油」と言われる場合があります。
合成燃料は、石油代替燃料としてガソリンや灯油と同様に使用することが可能です。また、再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を用いた合成燃料を「e-fuel」とも呼びます。
製造のプロセス
合成燃料を製造するためには、まず原材料となる二酸化炭素と水素を生み出します。二酸化炭素は、発電所や工場の排気ガスや大気から回収します。一方、水素は太陽光や風力発電より水を電気分解し、製造を行います。
次に、原材料を用いて合成ガスを製造します。二酸化炭素と水素を反応させ、合成ガス化をはかるのです。
そして、フィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)という手法を利用し、合成粗油を製造します。合成粗油は石油のような液体で、さまざまな加工方法によってガソリンや灯油などを生み出すことが可能です。
最後に、目的に合わせて合成粗油を加工し、幅広い製品をつくり上げます。この工程を「精製」あるいは「製造化」と言います。
なぜ合成燃料が注目されているの?
近年、温暖化など地球環境にはさまざまなトラブルが発生しています。そのため、グリーンなエネルギーが注目を集め、世界各国が環境に優しい産業や暮らしを模索しているのです。
日本政府は、2020年に「2050年 カーボンニュートラル宣言」を行いました。カーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする取り組みを表します。温室効果ガスには二酸化炭素も含まれており、これらの排出量を削減することが求められているのです。
これらの経緯から、二酸化炭素をエネルギーに変える合成燃料は、カーボンニュートラルを促進する取り組みのひとつとして注目されています。
合成燃料のメリット
次に、合成燃料の具体的なメリットについて確認します。
エネルギー密度が高い
合成燃料はエネルギー密度が高く、飛行機やトラック、船舶などへの利用が期待されています。例えば、水素やアンモニアと比較すると、合成燃料は同じ体積から得られるエネルギー量が非常に大きい資源です。
また、電気自動車など電動化が進んでいますが、飛行機やトラックなど長距離を移動するためには電池の高性能化が求められます。合成燃料は、これらの課題をクリアすることが可能です。
環境負荷が低い
合成燃料は、原油と比較して硫黄や重金属といった有害物質の含有量が少ない液体です。よりクリーンな燃料であり、環境への負荷を抑えられます。
既存設備をそのまま使用できる
合成燃料は従来の灯油やガソリンに近い液体です。そのため、これまでの燃料と同様に設備や施設を使用することができます。
ガソリン車はもちろんのこと、石油精製施設やガソリンスタンドも再利用できるため、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成にもつながるでしょう。
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枯渇リスクがなく、国内で製造できる
合成燃料の原材料である二酸化炭素と水素は、常に大気中に存在している物質であるため、国内外に関わらずどこでも製造することが可能です。合成燃料の実用化が進めば、国内での原料調達および大量生産が実現するでしょう。
近年、化石燃料の産地は中東や北米、ロシアが中心となっています。一方、化石燃料は有限であり、いつかはなくなってしまう資源です。合成燃料が化石燃料に取って代わることで、枯渇リスクをなくすことができます。
合成燃料のデメリット・課題
続いて、合成燃料の具体的なデメリット・課題について確認します。
製造コストが高い
合成燃料の開発や研究が進んでいるものの、製造には高いコストが発生しています。特に、化石燃料を使用せず二酸化炭素を出さない、環境負荷が最も低い製造方法にコストが最もかかってしまうのです。
化石燃料と比較して合成燃料の競争力が勝り、大規模な商業化をはかるためには、コスト面にも焦点を当てた技術革新が必要となるでしょう。
実用化にはもう少し時間がかかる
経済産業省によると「2030年までに効率的で大規模な合成燃料の製造技術を確立し、2040年までに商用化を目指す」とされています。このロードマップ通りに計画が進んだとしても、合成燃料の実用化にはもう少し時間がかかりそうです。
合成燃料の実用化に向けた日本政府や日本企業の取り組み
合成燃料の実用化に向け、日本政府や企業はさまざまな取り組みをはじめています。例えば、政府は2022年に「合成燃料(e-fuel)の導入促進に向けた官民協議会」を設立し、複数回にわたって総合的な検討を行っています。
また大手自動車メーカーでは、空飛ぶ車や航空機、レース車の燃料として合成燃料を使用するなどの研究を進めています。自動車産業のほか、石油開発産業や農業機械産業など、幅広い業種がカーボンニュートラルを目指して開発に取り組んでいるのです。
カーボンニュートラルに向けていま私たちができることは
私たちが合成燃料を日常的に使用するためには、もう少し時間がかかりそうです。一方、温室効果ガスを削減する暮らしは今すぐにでもはじめることができます。例えば、電気の無駄遣いを減らす、不要なものをリサイクルに出すことなどが考えられます。
また、電気の無駄遣いを減らしても「電気料金が安くならない」と感じる場合は、電気プランの見直しや電力会社の切り替えがおすすめです。電力会社にもエコな発電を心がけている企業があるので、その電気を利用することでカーボンニュートラルに協力できます。
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合成燃料は未来のエネルギー! 地球に優しい生活を心がけよう
今回は、合成燃料の仕組みやメリット・デメリットについて解説してきました。合成燃料は二酸化炭素と水素からなる石油代替燃料で、カーボンニュートラルを促進する技術として大きな注目を集めています。
エネルギー密度が高く、環境負荷が低いため、さまざまな機械設備への利用が期待されています。国内での製造が可能で、従来の燃料と同様に使用できることも魅力のひとつです。
一方、現在は製造コストが高く、合成燃料の実用化にはもう少し時間を要するでしょう。合成燃料の実用化を待ちながら、エコな暮らしを心がけることが大切です。
無駄な電気を見直し、ご家庭に合った電力会社を検討することも環境に優しい生活につながります。エバーグリーンでは、電力使用によるCO₂排出量ゼロの電気を提供しているので、この機会にぜひ公式サイトをご確認ください。
(出典)