風力発電の仕組み
風力発電は、簡単に言えば、風で風車を回し、回転エネルギーを電気エネルギーに変える仕組みです。
風を受けると、ブレードと呼ばれる風車の羽根が回転します。
ブレードが回転する動きを利用して発電機を回すと、電気を生み出すことができます。
風車と発電機の間には、増速機というギアのような機械があり、回転エネルギーを増幅させ、効率よく発電させる役割を持っています。
増速機と発電機は、ナセルという風車の裏にある収納スペースに置かれています。
ナセルには風向計や風速計も付いていて、風車の方向が常に風上を向くよう回転する仕組みになっています。
風車の回転運動を電気に変える風力発電は、タービンを回す火力、水力、原子力発電と同じ交流の電気を生み出します。
しかし、風の強さは常に一定ではなく、風車の回転速度は変動してしまうため、他のタービン発電よりも不安定という特徴を持っています。
そのまま交流として送電線に流してしまうと、電気の品質に悪影響を及ぼしてしまう為、一度交流電力をコンバータ(順変換機)を使って直流に変え、さらに逆変換機(インバータ)を通して、もう一度交流にする事で、安定性を確保しています。
風力発電の種類
風力発電は、風車の形状や設置場所により、いくつかの種類に分類されます。
風車の形状による分類
風車は大きく分けると、回転軸の方向により「水平軸風車」と「垂直軸風車」に分けられます。
水平軸風車は、回転軸が地面に平行に設置されているタイプです。
一般に「風車」といって思い浮かぶものは、水平軸風車です。
水平軸風車は、さらに羽根の形状により、プロペラ型、オランダ型、セイルウィング型、多翼型などに分けられます。
対する垂直軸風車は、回転軸が地面に垂直に設置されているタイプです。
円柱形だったり、台所用品のお玉のようなものが先に付いていたりする形です。
垂直軸風車は、さらに羽根の形状により、クロスフロー型、サボニウス型、ダリウス型、ジャイロミル型などに分けられます。
水平軸風車は、正面から風を受けないと回らないという欠点がありますが、ナセルが回転することで常に風上に向かうように設計されています。
これに対し垂直軸風車は、さまざまな方向から風が吹いても回る仕組みですが、発電効率の点では水平軸風車に劣ります。
設置場所による分類
風力発電は、設置場所により、陸上風力発電、洋上風力発電に分けられます。
特に小型のものについては、マイクロ風力発電と呼ばれます。
陸上風力発電は、一定以上の強さの風が安定して吹く高原や峠、海岸沿いや半島の尾根に設置されることが多いです。
洋上風力発電は、文字通り海での風力発電で、風車の基礎を海底に固定する「着床式」と基礎を海底に固定せずに浮かべる「浮体式」の2種類に分けられます。
陸上風力発電は、設置する場所が限られるため、洋上風力発電のポテンシャルが注目されています。
ヨーロッパでは、遠浅で風がよく吹く北海などで盛んに導入されています。
日本では、福島県沖、千葉県銚子沖、長崎県五島列島などで設置されています。
日本近海は海底の地形が急に深くなり、台風や地震が多いなど条件は厳しいですが、さらなる普及に向け政府による実証実験が進められています。
また、市街地などではマイクロ風力発電が導入されています。
電力は大きくありませんが、微風でも回るのが特徴です。
公園の時計台やモニュメント、建物の軒先、街路灯などに設置されていて、発電した電力は時計や街路灯に供給されています。
風力発電のメリット・デメリット
他の発電方法と同様、風力発電にはメリットとデメリットがあります。
風力発電のメリット
風力発電は、火力発電などと比べ、環境負荷が少ないのが大きな特徴です。
他の再生可能エネルギーと同様、発電時にCO₂を排出しません。
火力発電の化石燃料は埋蔵量に限りがありますが、風力発電は事実上無尽蔵である風を使うので、資源の枯渇を心配する必要がありません。
また、太陽光発電と違い、夜も発電できるのは大きなメリットです。
発電場所も、陸上だけでなく洋上を選ぶこともできます。
さらに、風力エネルギーは高効率で電気エネルギーに変換することができます。
大規模な発電施設にすれば、発電コストを火力発電並みに抑えることができます。
風力発電のデメリット
風力発電の一番のデメリットは、風の状況により発電量が不安定になることです。
当然ですが、無風の状態で風車が回らなければ、電気をつくることができません。
逆に、台風のような強すぎる風でも、発電施設が破損する恐れがあります。
また、一定以上の風が常に吹いている場所は限られるので、発電施設の設置場所も事実上限られてきます。
設置場所が山の中や沖合だと、長い送電線を敷くことも必要になります。
さらに、日本固有のデメリットとして、発電コストが高止まっていることが挙げられます。
ヨーロッパでは、大規模な風力発電施設を設置することで発電コストを抑えることに成功していますが、日本では高止まりしている現状です。
また地元調整等に高いコストがかかる点等も課題として挙げられています。
風力以外の再生可能エネルギー
風力以外にも、さまざまな種類の再生可能エネルギーがあります。
再生可能エネルギーに共通する特徴は、発電時にCO₂を排出しない(もしくは増やさない)ことです。
太陽光発電
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを太陽電池により電気エネルギーに変換する発電方法です。
風力発電と異なり、設置する地域や場所を問わないのが大きな特徴です。
急斜面、建物の屋根の上、ため池の水面など、さまざまな場所に設置することができ、未利用スペースの活用にもつながります。
災害時の非常用電源としても頼もしい存在です。
一方で、天気の悪い日や夜は発電できないなど、気象条件により発電出力が左右される点が大きなデメリットです。
水力発電
水力発電は、水を高いところから低いところに落とすことで水車を回し、その動力で発電機を回して電気を生み出します。
大きなダムをイメージしますが、近年は中小水力発電施設の建設も盛んです。
風力、太陽光と比べ、一定量の電力を安定して発電できるのが大きな利点です。
一方で、ダム建設の際に自然環境や地域住民の住環境を壊す恐れがあり、設置の際はコンセンサスを取ることが求められます。
バイオマス発電
バイオマス発電は、木材などの生物資源を燃やしたり、ガス化することで発電する方法です。
生物資源を有効に活用するので環境に優しく、循環型社会を体現した発電方法です。
バイオマス燃料さえあれば安定して電気を作れるため、太陽光発電などと違って、天候に左右される心配がありません。
また、燃やす際に二酸化炭素が出ますが、バイオマス燃料は成長過程で二酸化炭素を吸収しているので、トータルで見ると大気中の二酸化炭素量を増やさない、というのも大きな特徴です。
一方で、燃料を集めたり運んだりするのに手間とコストがかかります。
地熱発電
地熱発電は、天気に左右されず昼も夜も発電できる、資源が枯渇する心配がないといった、水力と風力の長所を併せ持っています。
しかし導入コストが高く、山中や温泉地に発電所が建設されることが課題です。
このように一長一短がある再生可能エネルギーですが、さまざまな発電方法を組み合わせることで、それぞれの短所を補うことができます。
地球温暖化の原因となるCO₂を削減するために、火力発電の割合を減らし、代わりに再生可能エネルギーを増やしていくことが時代の要請となっています。
電気の使い手である私たちも、そのことを念頭に置き、使う電気を賢く選ばなければいけません。
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未来に向け、エコな電気の選択を
風力発電は太陽光発電と並ぶクリーンエネルギーとして、各地で実証実験が進みつつあります。
特に、周囲を海に囲まれた日本では、洋上風力発電のポテンシャルに高い期待が寄せられています。
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未来に向け、私たちにもエコな電気の選択が求められているのです。
(出典)
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