気候変動への対策とは?具体的な例をご紹介

ライフスタイル
2022年3月1日

気候変動は災害を引き起こし、農水産物へも影響する身近な課題です。近年の日本でも、ゲリラ豪雨が増えるなど懸念が深まっています。今回は、気候変動の影響や要因、対策について説明します。

目次

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気候変動とは、さまざまな要因による地球の気象の変化を指します。

よく似た言葉に「異常気象」があります。

異常気象は数ヶ月程度の変化を指すのに対し、気候変動はもっと長いスパンでの変化です。場合によっては10年から数十年と、人の一生、またはそれ以上の期間での変化を示す場合があります。

気候変動の主な具体例として、平均気温の上昇、真夏日・猛暑日の増加、激しい雨の頻発、大雪の増加などが挙げられます。

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気候変動は、人間の生活にさまざまな影響を及ぼします。その中には、われわれの生活や安全を脅かすものも多くあります。

農産物に対する影響としては、米の品質低下や収穫量の減少、ブドウやリンゴなどの着色不良などが報告されています。

また水産物でも、サンマの回遊ルートが変わることなどが予測されています。

さらに深刻なのは災害の増加です。雨の降り方が激しくなることによって、土砂災害の激甚化が懸念されています。

その他、干ばつ、洪水、雪害なども心配されています。

猛暑により、熱中症の患者、死者が今以上に増えることも考えられるでしょう。

【関連記事】猛暑日とは?近年の傾向や平均気温についても解説

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気候変動の要因には、「自然的要因」と「人為的要因」があります。

自然的要因

自然的要因の代表的なものとして、火山の噴火、海洋の変動、太陽活動の変化などが挙げられます。

たとえば火山が噴火すると、二酸化硫黄や火山灰の微粒子が空気中に放出されることで、地上に届く太陽光が弱まり、平均気温が下がると懸念されています。

2022年1月、南半球・ポリネシアのトンガ王国にある海底火山「フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ」で大規模な噴火が起きたのは記憶に新しいところです。

このトンガの海底火山噴火により、微粒子は高さ約30キロの成層圏まで達したと分析されており、気候変動への影響を心配する声があります。

また、1991年のフィリピン・ピナツボ火山の大噴火では、多量の噴出物が成層圏に達した結果、地球全体の平均気温が0.5℃ほど下がりました。その影響で、日本でも冷夏によりコメが記録的な不作となり、タイなどからコメを緊急輸入してしのぐ事態につながったとされています。

人為的要因

これに対し、人為的要因の主なものとしては、人類の生活に伴うCO₂などの温室効果ガスの排出量増加、森林破壊などが挙げられます。

温室効果ガスの排出量は、石油や石炭といった化石燃料の消費などによって増加します。化石燃料を燃やすことで、大気中のCO₂濃度が上昇し、温室効果により地球上の温度が上昇してしまいます。

また、森林破壊によって植生が変化すると、森林面積の低下によるCO₂吸収量低下が危惧されるほか、水の循環や地球表面の日射の反射量に影響を及ぼすと言われています。もちろん、地球温暖化についても悪影響を及ぼします。

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気候変動に対し、世界ではさまざまな取り組みがなされています。

2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」では、以下のような世界共通の長期目標を掲げています。

・ 世界の平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする

・そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、目標13「気候変動に具体的な対策を」が掲げられています。

この目標では、自然災害から立ち直ることができる力を全ての国において備えることをターゲットに設定。また、気候変動の速度を緩めたり、気候変動の影響に対応するため、教育や啓発などを高めていくこととしています。

【関連記事】SDGsの目標13をわかりやすく解説!目標の中身を知ろう

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それでは、気候変動に対して、私たちはどのような対策をとれば良いのでしょうか。

対策は、気候変動そのものを食い止める「緩和策」と、気候変動による影響を軽減する「適応策」の二つに分けられます。

気候変動そのものを食い止めるための対策は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減が柱となります。

例えば、以下のようなものがあります。

省エネルギー

エネルギー使用量を減らしてCO₂を削減することは効果的な対策です。

家庭でできる省エネとして、エアコンの設定温度を夏は28℃、冬は20℃を目安にする、使わない電化製品の主電源を切る、誰もいない部屋の電気を消す、といった取り組みがあります。

【関連記事】省エネのために家庭でできることは?簡単に取り組めることを紹介

再生可能エネルギーの導入

太陽光、風力、バイオマス発電など、発電時に温室効果ガスを排出しない(もしくは増やさない)再生可能エネルギーの導入も大切な取り組みです。

経済産業省が公表した「第6次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーによる発電の比率を、現在の18%程度から2030年度には36~38%に引き上げる目標を立てています。

今では再生可能エネルギーを積極的に扱った電力会社も増えており、そのような会社の電気を使うことで、個人でも間接的に再生可能エネルギーの普及を手助けすることにつながります。

3Rの推進

ごみの量を減らすことも、温室効果ガスの排出削減につながる取り組みです。

発生抑制(リデュース)、使用済み製品の再使用(リユース)、廃棄物から資源を取り出しての有効活用(リサイクル)の3Rを一人ひとりが心掛ける必要があります。

【関連記事】3Rとは?言葉の意味や私たちにできる取り組みを簡単に解説

森林吸収源対策

「森林吸収源対策」とは、適正に整備された森林の面積を増やすことにより、温室効果ガスの吸収源を確保することを意味します。

健全な森林の整備・保全のほか、間伐材の利用、木質バイオマスの利用などが当てはまります。

【関連記事】バイオマスとは?種類や特徴をわかりやすく解説

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気候変動による影響を軽減するための対策には、以下のようなものがあります。

豪雨災害の被害軽減対策

気候変動によるゲリラ豪雨の頻発や、台風の強大化により、今まで以上に豪雨災害の被害軽減が求められています。具体的には、治水ダムの整備、堤防のかさ上げや強靱化などです。

国土交通省は、河川のピンポイントの治水対策だけではなく、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」への転換を進めています。

さらに国土交通省の社会資本整備審議会は、過去のデータだけではなく将来の気候変動を織り込んだ豪雨対策を行うよう提言しています。

渇水対策

渇水対策も重要な課題です。ダムによる貯水や水の効率的な運用だけではなく、水のあるところからないところへの融通、農業用水と工業用水の相互利用などが求められています。

昔から何度となく水不足に苦しめられた香川県では、香川用水の開通と、香川用水に水を供給する早明浦ダムの完成により、水事情は大きく好転しました。それでも気候変動によって渇水は頻繁に起きる傾向にあり、今以上に安定的な水の供給が求められています。

農業の対策

農業の分野では、干ばつや気温の上昇による高温障害への対策が不可欠です。

コメの場合、気象条件によって追肥量を調整する栽培法などの研究が進んでいます。

また、亜熱帯・熱帯作物への転換なども始まっています。全国的なミカンの産地である愛媛県では、夏場の高温にも強いオレンジのほか、熱帯果物のアボカドの栽培に取り組んでいます。

保健

国土や農産物だけでなく、人間そのものの身を守ることも重要です。

猛暑が増える中、環境省と気象庁は熱中症の危険性が極めて高くなると予測された際に、「熱中症警戒アラート」を発令し、危険な暑さへの注意を呼びかけています。

また、直射日光を避けて体感温度を下げる効果がある日傘の使用も呼び掛けられています。

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気候変動の対策で、森林吸収源対策が重要なことは先に述べた通りです。

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(出典:環境省|気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018)
(出典:環境省|熱中症予防情報サイト)
(出典:資源エネルギー庁|今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?)
(出典:SDGsクラブ|13.気候変動に具体的な対策を)
(出典:経済産業省|エネルギー基本計画の概要)
(出典:林野庁|よくある質問)
(出典:広島県|吸収源対策の推進)
(出典:新潟県|森林吸収源対策)
(出典:香川県|渇水・緊急時の水確保)
(出典:国土交通省|流域治水プロジェクト)
(出典:社会資本整備審議会|気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について)
(出典:農研機構|気候変動対応プログラム)

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