グリーン成長戦略ってなに?基本をわかりやすく解説

「グリーン成長戦略」とは、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するために、日本政府が策定した政策です。
従来、環境対策は「経済成長の制約やコスト」と捉えられることが多かったのですが、この戦略では発想を転換し、積極的に対策を行うことで「産業構造や経済社会の変革」、つまり「成長」につなげようというのが大きな特徴です。
なぜグリーン成長戦略が生まれたのか?
気候変動が深刻化する中、2020年に当時の菅首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」を行い、翌年には「2030年までに温室効果ガス46%、さらには50%削減を目指す」という高い目標を設定しました。
この目標達成には産業界のCO₂削減が必須ですが、規制だけでは不十分です。そこで誕生したのがグリーン成長戦略です。
グリーン成長戦略は、脱炭素に向けた民間の投資とイノベーションを政府が支援し、環境対策を経済成長のチャンスに変える「経済と環境の好循環」を目指しています。
環境と経済を両立させる新たな国家戦略として生まれました。
目指しているゴールとは?
グリーン成長戦略の最大の目標は、「経済と環境の好循環」の実現です。具体的には以下の3つのポイントが挙げられます。
- カーボンニュートラルの達成:2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を実質ゼロにする
- 国際競争力の強化:脱炭素関連の新技術や製品で世界をリードする産業を育成する
- 経済成長の実現:2050年には年間290兆円規模の経済効果と約1,800万人の雇用効果を生み出す
つまり、環境対策を「やらなければならない義務」としてではなく、新たな成長の機会と捉え直そうというわけです。
私たちの暮らしとどう関わるの?
グリーン成長戦略は私たちの日常生活にさまざまな形で関わってきます。
例えば、ガソリン車から電気自動車(EV)への転換が進むことで、街中に充電スタンドが増えていくでしょう。
住宅は断熱性能が高まり、太陽光パネルや蓄電池が標準装備となるかもしれません。
買い物をする際も、カーボンフットプリント(商品の製造から廃棄までに排出されるCO₂量)が表示され、環境に配慮した商品を選びやすくなることが期待されます。
このように、グリーン成長戦略は「遠い未来の話」ではなく、私たちの生活スタイルや消費行動を大きく変える可能性を秘めています。
グリーン成長戦略が注目する14の重点分野をチェック

グリーン成長戦略では、特に成長が期待される14の重点分野を設定しています。
これらの産業分野に政策資源を集中投入することで、カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指します。
各分野の概要を、私たちの生活との関わりを交えながら見ていきましょう。
洋上風力・太陽光・地熱
海に風車を立てたり、太陽や地熱のエネルギーを利用したりして発電する再生可能エネルギー関連の産業分野です。
例えば、洋上風力発電では2030年までに1,000万kW、2040年までに3,000万kW~4,500万kWの国内投資を呼び込むことを目指しています。
また、すでに私たちの身近なエネルギー源として定着しつつある太陽光発電も、将来的には今までは設置が難しかった場所(壁面など)にも取り付け可能にすることで、さらなる普及を目指します。これにより、電気代の節約効果も期待できるでしょう。
水素・燃料アンモニア
水素とアンモニアは、利用時にCO₂を排出しない次世代エネルギーとして注目されています。
例えば、水素は2050年までに国内導入量2,000万トン程度、供給コスト20円/Nm³以下を目指し、自動車燃料や発電、工場熱源など多用途での活用が期待されています。
将来、水素で走る車が普及し、空気がきれいになるなど、環境に優しい生活につながるでしょう。
次世代熱エネルギー
都市ガスの脱炭素化も重要な課題です。2050年に都市ガスをカーボンニュートラル化するために、CO₂と水素から合成メタンを作る「メタネーション」技術の開発が進められています。
2030年に既存インフラに合成メタンを1%注入、2050年には90%注入することを目標としています。
これにより、既存のガス導管やガス機器をそのまま使用でき、新たなインフラ投資が不要になります。家庭では年間約14,000円の追加負担を回避できると試算されています。
原子力
発電時にCO₂を排出しない原子力もカーボンニュートラル実現の選択肢のひとつです。
安全性の確保を大前提に、小型モジュール炉(SMR)や高温ガス炉などの次世代革新炉の開発研究が進められています。
また、試験研究炉から産出される放射性医薬品材料の医療分野への活用も期待されます。
自動車・蓄電池
自動車のEV化は、私たちの生活にもっとも身近な変化のひとつでしょう。政府は2035年までに新車販売で電動車100%の実現を目指しています。
このため街中の充電スタンドが増え、自宅の駐車場にも充電設備が当たり前になるかもしれません。
また、EVの普及に不可欠な蓄電池の開発も重要視されており、2030年までに国内の車載用蓄電池の製造能力を100GWhまで高める目標が設定されています。
半導体・情報通信
デジタル技術の活用によって社会全体のエネルギー効率を高めることも重要です。
次世代パワー半導体(SiCやGaNなど)の開発や、データセンターの省エネ化、エッジコンピューティングによる情報通信インフラの省エネ化などが推進されています。
次世代パワー半導体が全ての家電に搭載された場合、一家庭当たり約7,700円/年の省エネ効果があると試算されています。
船舶
海運も脱炭素化が求められており、水素燃料船やアンモニア燃料船などのゼロエミッション船の開発が進められています。
2025年までにゼロエミッション船の実証事業を開始し、2028年よりも前倒しでゼロエミッション船の商業運航実現を目指しています。
これにより、日本の造船・海運業の競争力強化と同時に、海上輸送の脱炭素化が進むことが期待されます。
物流・人流・土木インフラ
物流におけるドローン配送の導入や、高速道路の利用時に電動車にインセンティブを付与するなど、社会インフラ全体の脱炭素化が進められます。
2050年には、カーボンニュートラルポートによる港湾や、建設施工などにおける脱炭素化を実現することを目指しています。
地域公共交通活性化再生法の活用を通じて、自動車を運転できない高齢者なども、利便性の高い公共交通サービスを利用できるようになります。
食料・農林水産業
農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指して、「みどりの食料システム戦略」が2021年5月に策定されました。この戦略では、2050年までに農林水産業のCO₂ゼロエミッション化を実現することを目標としています。
具体的には、2040年までに次世代有機農業に関する技術の確立、農林業機械・漁船の電化・水素化などが推進されています。
これらの取り組みにより、環境への負荷を減らしながら、安全で栄養バランスに優れた日本型食生活を拡大し、国民の健康寿命延伸にも貢献することが期待されています。
航空機
航空分野の脱炭素化も重要な課題として取り組まれています。
具体的には、航空機の電動化技術の確立や水素航空機実現に向けて、コア技術の研究開発が推進されています。
低騒音の電動航空機を実現することで、空港周辺の住民の暮らしやすさや乗客にとっての快適さを向上させる効果が期待できます。
カーボンリサイクル・マテリアル
「カーボンリサイクル」分野では、CO₂を資源として有効活用する技術開発が進められています。
低価格かつ高性能なCO₂吸収型コンクリートなどの製造技術の確立を目指しており、住宅を購入する際に、長寿命などのニーズに合わせた製品や建築物が選択可能になります。
一方、「マテリアル」分野では、CO₂を排出しない「ゼロカーボン・スチール」の実現に向けた技術開発と実証が行われています。
金属素材の軽量化により、輸送機器の高速化が実現し、移動時間の短縮につながる可能性があります。
住宅・建築物・次世代電力マネジメント
住宅についても、省エネ基準適合率の向上に向けてさらに規制を強化していく方針です。
次世代電力マネジメント産業については、デジタル制御や市場取引を通じて、分散型エネルギーを活用したアグリゲーションビジネスを推進しています。
また、太陽光併設の家庭用蓄電池価格を、経済性が成り立つ水準となるよう支援しています。その結果、光熱費を抑えながら快適な暮らしが実現すると期待されます。
資源循環関連
プラスチック資源の循環や、バイオマスプラスチックの利用拡大などの取り組みが進められています。
「バイオプラスチック導入ロードマップ」にもとづき、2030年までにバイオプラスチックを約200万トン導入することを目標としています。
また、リサイクル技術の高度化や廃棄物処理施設からのCO₂回収技術の開発も推進されています。
これらの取り組みにより、資源の効率的活用と廃棄物による環境負荷低減を図りつつ、廃棄物処理施設を地域のエネルギーセンターとして活用することも期待されています。
ライフスタイル関連
脱炭素型のライフスタイルへの転換を促す取り組みも重視されています。
また、温室効果ガスの排出分布を高精度で推定できる大気モデルの開発や、行動科学やAIを活用した一人一人に合ったエコで快適なライフスタイルの提案なども進められています。
これらの取り組みにより、無理なく自発的な行動変容を促し、緑化空間の増加による快適性向上や健康増進なども実現することが期待されています。
注目!企業のグリーン成長事例
グリーン成長戦略のもと、企業ではすでにさまざまな取り組みが始まっています。ここでは特に注目の取り組み事例をご紹介します。
【トヨタ自動車株式会社】水素・EV戦略をグローバルに展開
世界最大級の自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社は、EVと水素の両方に力を入れています。
2023年には次世代電池の開発計画を発表し、一充電での走行距離を約1,000km以上に伸ばす全固体電池の実用化を目指しています。
また、世界初の水素エンジン車による24時間耐久レースへの参戦や、燃料電池トラックの開発など、水素技術でも先進的な取り組みを展開。
2030年には、トヨタ・レクサスでBEVのグローバル販売台数350万台/年を目指しています。
【株式会社セブン‐イレブン・ジャパン】店舗もお弁当容器も環境に配慮
身近なコンビニでも変化が始まっています。
セブン-イレブンは、太陽光パネルや蓄電池を備えた「環境配慮型店舗」を展開。
また、プラスチックを削減するためにバイオマス素材を活用したり、お弁当容器の着色用インク削減のために、環境配慮型容器の導入をしたりといった取り組みも進めています。
私たちにできる再生可能エネルギーを活用した環境貢献
グリーン成長戦略や企業の取り組みを見てきましたが、「自分にできることはあるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、私たち一人ひとりにもできる環境貢献があります。特に注目したいのが「再生可能エネルギー」の活用です。
今、なぜ再生可能エネルギーが注目されているのか
再生可能エネルギー(再エネ)とは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界で繰り返し利用できるエネルギー源のことです。
これらは化石燃料と違い、発電時にCO₂をほとんど排出しないため、地球温暖化対策の切り札として世界中で注目されています。
日本でも2012年に始まった「固定価格買取制度(FIT)」以降、再エネの導入が進み、2023年度の電源構成における再エネ比率は約26%に達しました。
政府は2030年までにこれを36〜38%まで高める計画です。
個人でもできる再エネ活用方法
再エネを活用する方法はいくつかありますが、もっとも手軽なのは「再エネ由来の電気を選ぶ」ことです。
実は、私たちの家庭から排出されるCO₂の約半分は、電気の使用によるものです。
つまり、電気を再エネ由来のものに切り替えるだけで、家庭のCO₂排出量を大幅に削減できます。
かつては電力会社を選べませんでしたが、2016年の電力小売全面自由化により、私たちは自分の価値観に合った電力会社や電気プランを選べるようになりました。
再エネ100%の電気を提供する事業者も増えており、契約を切り替えるだけで環境貢献が可能です。
エバーグリーンのエコな電気で始める地球に優しい暮らし

再生可能エネルギー由来の電気に切り替えたいなら、『エバーグリーン』がおすすめです。
エバーグリーンは、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーである「イーレックスグループ」の一員です。再生可能エネルギー100%で発電されたエコな電気をすべてのプランで提供しています。
エバーグリーンに切り替える最大のメリットは、家庭の電気使用で発生するCO₂排出量を実質ゼロにできること。
例えば、ファミリー世帯なら、エバーグリーンに切り替えることで、月間148kgのCO₂排出量を削減可能です。これは実に、杉の木11本分の植林効果に相当します。
※CO₂排出量は令和3年度全国平均係数(0.434kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算
また、エバーグリーンでは通常プランの他にも、エコな電気におトクをプラスした以下のプランをご用意しています。
- あるく・おトク・でんき:歩数に応じて電気代が割引されるプラン
- 保険でんき:個人賠償責任保険と電気がセットになったプラン
環境対策と聞くと「節電」が思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、「使う電気を変える」ことで、より効果的に環境に貢献できます。
近年では環境意識の高まりから、エコな電気を選ぶ方が増えています。ぜひこの機会にエバーグリーンのエコな電気への切り替えをご検討ください。
グリーン成長戦略が描く未来と私たちの役割
グリーン成長戦略は環境と経済の好循環を目指す包括的な政策です。
洋上風力や水素など14の重点分野で技術革新が進む中、私たち一人ひとりにもできることがあります。
特に、再生可能エネルギー由来の電気を選ぶことは、家庭のCO₂排出量を効果的に、かつ簡単に削減できる方法です。
再エネ100%のエバーグリーンのエコな電気に切り替えるだけで、私たちも持続可能な社会づくりに参加できます。未来の地球のために、今日から行動を始めましょう。
- (出典)
- 経済産業省|2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
- 経済産業省|2050 年カーボンニュートラルに伴う グリーン成長戦略
- 経済産業省|グリーン成長戦略(概要)
- TOYOTA|Toyota sets out advanced battery technology roadmap
- TOYOTA|Toyota’s Views on Climate Public Policies 2021
- Nikkei Asia|Toyota’s ‘hydrogen engine’ car roars through 24-hour enduro
- Toyota joins with Coca-Cola and Air Liquide for heavy duty hydrogen fuel cell truck test programme
- セブン-イレブン|地元の木材を活用した次世代環境配慮型店舗 「セブン‐イレブン福岡ももち店」 ~今夏オープンに向け施工をスタート~
- セブン‐イレブン|環境に配慮した商品の開発
- 特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
- 経済産業省 資源エネルギー庁|日本の多様な再エネ拡大策で、世界の「3倍」目標にも貢献
- 全国地球温暖化防止活動推進センター|4-06 家庭からの二酸化炭素排出量(2022年度)