熱波・猛暑の原因は?地球温暖化との関係や世界・日本の被害事例をわかりやすく解説

ライフスタイル
2025年4月24日

近年、記録的な熱波や猛暑が世界各地で相次ぎ、「どうしてこんな暑さになるの?」と疑問に思う方も増えています。この記事では、熱波の原因や地球温暖化との関係、深刻化する世界や日本での被害事例、そして今からできる対策までをわかりやすく解説します。

目次

熱波とは?

世界気象機関(WMO)によれば、熱波とは「統計的に異常な高温が数日間にわたって続く現象」のことです。

日本には明確な定義がありませんが、一般的には日中の最高気温が35℃以上の猛暑日が数日間続く状態を指します。

また、インドでは地形区分によって熱波と判断される最高気温が異なり、平野部では40℃以上、沿岸部では37℃以上、丘陵地帯では30℃以上とされています。

国や地域によって基準は異なりますが、いずれにせよ通常では考えられないような異常な暑さが長く続くことが「熱波」の特徴です。

熱波の主な原因|地球温暖化の影響も

熱波

熱波が発生する背景には、大きく分けて気象的な要因地球温暖化の影響があります。詳しく見ていきましょう。

ヒートドーム現象

熱波の主な原因は、大規模な高気圧による大気の停滞です。

これは「ヒートドーム現象」と呼ばれるもので、上空にある高気圧が熱い空気を地表に押し下げ、まるで鍋の蓋のように熱を閉じ込めます。

この押し下げられた空気は圧縮されるため、地表付近ではさらに温度が上昇。また、高気圧の下では雲が形成されにくくなるため、太陽光が直接地表に届き、地面とその上の空気をさらに加熱します。

このサイクルが連日続くことで、広い範囲で異常な高温が続く熱波が発生します。ヒートドームは、ときには大陸全体の気温を上昇させるほどの影響力を持つこともあります。

【関連記事】ヒートドーム現象とは?酷暑を引き起こす原因や対策を紹介

海洋熱波

近年の異常高温の要因として、周期的な海洋気象現象の変動、特に「海洋熱波」の影響も注目されています。

2023年の北日本における記録的な暑さは、黒潮続流が極端に北上したことで発生した海洋熱波が原因であることが、最近の研究で判明しました。

海洋熱波とは、海面水温が平年より極端に高い状態が続く現象で、下層雲の形成を妨げ日射量を増加させます。

これにより海水温がさらに上昇し、海面から発生する水蒸気量が増加。水蒸気には温室効果があるため、大気中に熱がこもりやすくなったと考えられています。

偏西風の蛇行

偏西風の蛇行も、熱波の重要な発生原因のひとつです。

偏西風とは、地球上空を西から東へ吹く強い風です。通常はほぼ真っ直ぐ吹いていますが、ときに大きく波打つように蛇行することがあります。

偏西風には「南側が暖かく、北側が冷たい」という性質があります。2023年と2024年の日本の猛暑では、偏西風が通常より北へ蛇行したため、南の暖かい空気が北へ押し上げられました。

その結果、日本を含む広い地域が暖かい空気に覆われ、平年を大きく上回る気温が続く事態となりました。

同様の現象は、過去に中国やロシア、ヨーロッパなどでも熱波を引き起こしています。

地球温暖化による長期的な影響

熱波発生の原因には、地球温暖化による「気温の底上げ」も大きく影響しています。

産業革命以降、人間が排出してきた温室効果ガスにより、地球全体の平均気温は年々上昇しています。その結果、かつては珍しかった猛暑や熱波が今では頻繁に起こるようになっているのが現状です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書によると、1950年以降、熱波を含む猛暑の頻度と強度が世界中で明らかに増加していることが示されています。

また、報告書では、人為的な温室効果ガスの排出が、地球規模での極端な気温変化の主な原因であることが「ほぼ確実」とされています。

前述した偏西風の蛇行や海洋熱波の増加も、地球温暖化との関連が指摘されており、IPCCも「温暖化が進むにつれて、ほぼすべての居住地域で熱波の頻度と強度が増加し続ける」と警鐘を鳴らしています。

熱波がもたらす影響

猛烈な熱波は私たちの生活にさまざまな影響をおよぼします。その影響は健康、社会、環境など多岐にわたります。

健康への影響

熱波による極端な高温は人体に深刻なダメージを与えます。

特に、気温が平年を大きく上回るような酷暑環境では、熱中症や脱水症状のリスクが急増し、最悪の場合は死亡することもあります。

2022年の調査では、ヨーロッパだけでも6万人以上が熱中症関連のストレスで亡くなったと推定されています。

日本においても熱中症の被害は深刻で、2024年の5月から9月までの熱中症による救急搬送者数は97,578人(そのうち死亡者は120人)に達し、調査開始以来最多を記録しました。

特に高齢者や幼児、持病のある方は熱波に弱く、自宅にいるだけでも体調悪化の恐れがあるため注意が必要です。

日常生活・社会への影響

熱波は私たちの日常生活にもさまざまな支障をおよぼします。まず、屋外活動が制限され、学校の部活動やイベントが中止になったり、屋外での作業が制限されたりします。

また、インフラへの影響も深刻です。道路のアスファルトが溶け出したり、鉄道のレールがゆがんだりして、交通に支障が出ることがあります。

実際に、オランダでは高温でアスファルトが溶け、高速道路の一部が閉鎖されたことがありました。

さらに、エアコン使用の増加により電力需要が急増し、エネルギー供給システムへの負荷が大きくなります。日本でも、2024年夏には猛暑の影響で電力の安定供給が懸念されました。

火力・原子力発電所は冷却水の温度上昇や渇水により、出力低下や停止に陥ることもあり、熱波の増加は社会インフラ全体の安定性を脅かしています。

環境・農業への影響

強烈な日差しと高温は自然環境にも大きなダメージを与えます。

熱波が発生すると土壌の乾燥が進み、農作物への深刻な被害や農業用水の不足を招きます。作物の不作や飼料不足は畜産業にも影響し、食料安全保障に関わる問題となっています。

また、乾燥と高温によって山火事(森林火災)の発生リスクも高まります。2022年夏にはヨーロッパ各地で熱波に起因する山火事が多発し、スペインやポルトガルでは多数の住民が避難を余儀なくされました。

日本でも山火事の多発が懸念されており、2025年3月には愛媛県や岡山県、岩手県などで大規模な山火事が発生しています。

山林が乾燥すると小さな火種から大規模火災に発展しやすく、生態系破壊や大気汚染などの二次的な環境問題も引き起こします。

世界の熱波被害事例

世界に目を向けると、近年は各地で前例のない熱波が発生し、大きな被害をもたらしています。

ここでは、特に深刻な被害が報告されているインド、ヨーロッパ、北米の事例を見ていきましょう。

インドの熱波被害

インドは世界でももっとも熱波の影響を受けやすい地域のひとつです。

2003年から2022年の間に、熱波が原因で約10,000人が死亡したとされています。2003年~2012年の死亡者数4,134人に対し、2013年~2022年は5,541人と34%増加しました。

また、インドのエネルギーインフラも危機に瀕しています。

インドの発電施設の多くは火力発電ですが、これらの発電所のほとんど(約90%)が淡水を利用して運転しています。問題なのは、こうした発電所の40%が水不足の地域に建てられていることです。

熱波によって水不足がさらに進むと、インドの電力供給が深刻な影響を受ける可能性があります。

ヨーロッパの熱波被害

ヨーロッパ西部は2022年7月、観測史上類を見ない熱波に襲われました。スペインでは43.6℃、イギリスでは40.3℃を記録し、イギリスでは国内史上初めて40℃を突破しました。

世界保健機関(WHO)によれば、この熱波によりスペインとポルトガルだけでも少なくとも1,700人以上の死者が出たとされています。

また、熱波と干ばつが重なり森林火災のリスクも高まった結果、スペイン、ポルトガル、フランスでは大規模な山火事が発生。

フランスでは3万人以上が避難を強いられ、特に南西部の観光地ジロンド県では12日以降で15,000ヘクタール以上の土地が焼失する大きな被害が出ました。

アメリカ・カナダの熱波被害

北アメリカでも記録破りの熱波が起きています。

2021年6月、カナダ西部のブリティッシュコロンビア州リットンでは史上最高の49.6℃という猛烈な高温を観測しました。

この異常な暑さにより町のほとんどが山火事で焼失し、カナダにおける熱波被害を象徴する事例となりました。

同時期には米国西部でも観測史上例のない高温が続き、カリフォルニア州デスバレーで54.4℃に達するなど、信じがたい気温が記録されています。

米国では高温による電力需給ひっ迫や農作物被害も深刻で、気候変動に対応した早急な熱波対策の重要性が社会全体で改めて強く認識されました。

日本の熱波被害事例

日本でも記録的な猛暑による被害が相次いでいます。ここでは、特に深刻だった2018年と2023年・2024年の事例を詳しく見ていきましょう。

2018年の災害級猛暑

2018年7月下旬、埼玉県熊谷市で日本歴代最高となる41.1℃を記録しました。

同年には東京都青梅市でも都内初となる40℃超えを観測。全国のアメダス観測点927地点のうち、202地点で観測史上最高気温を更新するなど、各地で異常な高温が続きました。

状況の深刻さを受け、気象庁は緊急会見を開き「命の危険がある暑さ」「ひとつの災害と認識している」という異例の表現で警戒を呼びかけたほどでした。

この「災害級」とも言われた猛暑により、2018年7月だけで熱中症による救急搬送者は全国で54,220人にも達しています。

2023年・2024年の記録的猛暑

2023年と2024年の夏(6〜8月)の日本平均気温は平年を+1.76℃上回り、統計開始以来もっとも高い値を記録しました。

2024年は全国153の気象台等のうち80地点以上で夏の平均気温が歴代1位となり、7月29日には栃木県佐野市で41.0℃という国内最高気温を観測しました。

猛暑日(35℃以上)の日数も記録的で、福岡県太宰府市では62日と国内最多を更新し、連続日数も40日と過去最長を記録しています。

この酷暑により、2024年5月〜9月の熱中症による救急搬送者数は97,000人を超え、前年より6,000人以上増加。熱中症警戒アラートも延べ1,722回と過去最多となり、これまで以上に暑さから身を守る行動が求められました。

暑さから身を守るには?知っておくべき5つの熱波対策

水分補給

熱波は健康や命に関わる深刻な問題です。

私たち一人ひとりが正しい知識を持って備え、適切な対策を取ることで被害を最小限に抑えられます。

ここでは、熱波から身を守るための具体的な対策をご紹介します。

①水分・塩分補給をこまめに

熱中症予防の基本は、適切な水分と塩分の補給です。

喉の渇きを感じる前に水分を取ることがポイントです。室内にいる場合でも脱水症状になる可能性があるため、意識的に水分を摂取しましょう。

特に汗をたくさんかいた場合は、水だけでなく、スポーツドリンクのような塩分も含む飲料を選ぶと効果的です。

カフェイン入りの飲み物には利尿作用があり、脱水を悪化させる危険があるため、主な水分補給源としては避けるようにしましょう。

②エアコンを適切に使用する

昨今では「節電」が強調されがちですが、熱波の際は健康を優先し、適切にエアコンを使用することが重要です。

室温が28℃を超える場合は、熱中症予防のためにためらわず冷房を使いましょう。特に、高齢者は暑さを感じにくいため、温度計を設置して室温を確認することが重要です。

エアコンだけでなく、扇風機やサーキュレーターを併用すると、室内の空気が循環して温度ムラが生じにくくなり、快適に過ごせます。

エアコンの機能低下を防ぐために、フィルターを2週間に1回程度掃除することも心がけましょう。

③外出時の対策を徹底する

熱波の際は、可能な限り日中の外出を控えることが理想的です。

外出が必要な場合は、日傘や帽子で直射日光を避け、吸汗速乾性の衣服を選びましょう。短時間の外出でも油断せず、暑さ対策をすることが重要です。

こまめに日陰で休憩を取り、水分補給も忘れないようにしてください。

熱中症の症状(めまい、頭痛、吐き気、異常な発汗または全く汗が出ないなど)に注意し、少しでも体調に異変を感じたら涼しい場所に移動して休息を取りましょう。

近くに「クーリングシェルター」があれば積極的に活用するのもおすすめです。

④周囲への気配りを忘れずに

熱波の際は、一人暮らしの高齢者や体調不良の方に特に注意を払いましょう。定期的に連絡を取り、体調を確認することが大切です。

また、暑さに対して無理をする傾向がある方には、休息やエアコン使用を勧めるなど積極的に声をかけてください。

特に高齢者は暑さを感じにくくなっている場合があるため、周囲の人が気配りすることが重要です。地域でのネットワークづくりや見守りの仕組みも、熱波対策として有効です。

⑤熱中症リスクを事前に把握する

夏場の熱中症を防ぐには、天気予報に加えて「暑さ指数(WBGT)」のチェックが効果的です。

これは気温・湿度・輻射熱から算出される熱中症予防の指標です。「28」を超える日は特に熱中症リスクが高いため、屋外活動を控えるなどの対策が必要です。

暑さ指数(WBGT)は、環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます。

また、ウェザーニュースなどの気象アプリには熱中症警戒アラートに対応した機能が搭載されており、特別警戒アラート発表時には即時プッシュ通知が届きます。

これらの情報を活用して熱中症予防に役立てましょう。

【関連記事】暑さ指数とは?意味や計算方法をわかりやすく解説

将来の熱波を減らすために重要な地球温暖化対策

地球温暖化を食い止めなければ、今後さらに熱波の頻度と強度が増すことが予想されています。

地球温暖化対策には節電や公共交通機関の利用などさまざまな方法がありますが、もっとも効果的かつ手軽なのが、再生可能エネルギー由来の「エコな電気」への切り替えです。

太陽光、風力、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーは、発電時に地球温暖化の原因であるCO₂をほとんど排出しません。

一般家庭からのCO₂排出量の約半分は電気の使用によるものであるため、エコな電気に切り替えるだけで、家庭のCO₂排出量を大幅に削減可能です。

電気の”中身”を環境に優しいものに変えることで、今までと同じように電気を使いながら、手軽に温暖化対策に貢献できます。

「エコな電気」への切り替えは今すぐに始められる地球温暖化対策なので、この機会にぜひ検討してみましょう。

家庭のCO₂排出削減に役立つ!エバーグリーンのエコな電気

ダイニングキッチンと植物

家庭の電気をエコなものに切り替えるなら『エバーグリーン』がおすすめです。

エバーグリーンは、イーレックスと東京電力エナジーパートナーが、脱炭素社会の実現に向けて設立した共同出資会社です。再生可能エネルギー100%で発電されたエコな電気をすべてのプランで提供しています。

切り替えるだけでCO₂排出が実質ゼロに!

エバーグリーンに切り替える最大のメリットは、家庭の電気使用で発生するCO₂排出量を実質ゼロにできることです。

ファミリー世帯なら、1ヶ月で148kgのCO₂を削減可能で、これは杉の木11本の植林効果に相当します。

※CO₂排出量は令和3年度全国平均係数(0.434kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算

日常的にCO₂削減を意識するのはなかなか大変ですが、エバーグリーンのエコな電気なら、切り替えるだけで継続的にCO₂排出量を減らせます。普段の生活を変えずに、無理なく地球温暖化に貢献できるのがメリットです。

エコに「安心・おトク」をプラスしたプランも

エバーグリーンでは通常プランの他にも、エコな電気に安心・おトクをプラスした下記のプランをご用意しています。

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  • あるく・おトク・でんき
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環境対策と聞くと「節電」が思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、「使う電気を変える」ことで、より効果的に環境に貢献できます。

温暖化の進行を抑え、将来の熱波リスクを減らすためにも、ぜひエバーグリーンのエコな電気をご検討ください。

熱波のリスクを低減するために行動しよう

熱波や猛暑は、ヒートドームや偏西風の蛇行といった気象条件と、地球温暖化による気温上昇が原因で発生します。

その影響は、健康被害から社会インフラの問題、環境や農業への打撃など多岐にわたります。

世界各地で熱波被害が深刻化するなか、私たちは熱中症対策などで目の前の熱波から身を守ると同時に、地球温暖化対策にも取り組む必要があります。

エバーグリーンのエコな電気を選ぶことは、簡単に始められる効果的な温暖化対策のひとつです。ぜひこの機会に、エバーグリーンへの切り替えを検討してみましょう。

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供給することで
皆さまの暮らしを支えます

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