公害とは
公害は、環境基本法で下記のように定義されています。
- 事業活動その他の人の活動によって生ずる
- 相当範囲にわたる
- 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって
- 人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること
もっと分かりやすい言葉で言うと、人間の活動によって広範囲で引き起こされる、健康被害をもたらす害ということになります。
公害の種類
公害は、環境基本法によって下記の7つが規定されています。
- 大気汚染
- 水質汚濁
- 土壌汚染
- 騒音
- 振動
- 地盤沈下
- 悪臭
それぞれについて、原因や事例などをご紹介します。
大気汚染
大気汚染とは、窒素酸化物などの汚染物質により、大気の質が悪化することです。
工場の煙や自動車の排気ガスなどが主な原因となって発生します。
大気汚染の事例としては、四日市ぜんそくなどが該当します。
【関連記事】大気汚染の原因とは?日本の現状や対策もわかりやすく解説
水質汚濁
水質汚濁とは、有害な物質が川や海に流れ、水質が悪化することです。
工場排水や生活排水を未処理のまま川や海に流すことで発生します。
人体に有害な物質を流してしまうと、そこで育った魚介類がその物質を体内に蓄積し、それを獲って食べた人体にも悪影響を及ぼします。
また、化学物質を大量に廃棄することで、魚や海藻などが死に、地域の生態系が破壊される危険性も考えられます。
水質汚濁は、水俣病やイタイイタイ病など、大きな問題となった公害の原因にもなっています。
土壌汚染
土壌汚染は、有害物質が水や空気を通じて地中に浸透することで発生します。
人間の活動によって発生した有害物質だけでなく、自然由来で土壌汚染が発生するケースもあります。
土壌汚染の原因となる物質は、水の中などと違い、土の中に長くとどまりやすいのが特徴です。土壌が一度汚染されると、たとえ対策をして汚染物質の排出を止めることができても、長い期間影響が続いてしまいます。
足尾銅山鉱毒事件などは、土壌汚染、大気汚染、水質汚濁が複合的に発生した公害として知られています。
騒音
騒音は、工事現場や高速道路、鉄道路線などの近くで発生します。
交通量が多い地域では、トラックなどの輸送車両の走行音が騒音となり、近隣住民の生活に悪影響を及ぼす場合があります。
振動
振動による公害は、地盤への振動が住宅に伝わることで、家屋への被害や不快な気持ちにさせることを指します。
建設工事中や交通量の多い道路の近くなどで、振動の害が出ることがあります。
地盤沈下
地面が沈み込む地盤沈下は、地下水の過剰なくみ上げなどによってもたらされます。
また、建物を建設する際に行われる掘削工事により地盤沈下が発生するケースもあります。
悪臭
工業排水や排気、生活廃棄物(汚泥、ゴミ)の処理が不適切な場合などに、悪臭が発生します。
においの感じ方は人によっても異なりますので、ある人に取っては良いにおいでも、他の人には不快に感じられるケースもあります。
公害を起こさないために私たちができること
公害を起こさないためにできることはあるのでしょうか。
ここでは、私たち個々人ができる行動をご紹介します。
CSRを確認する
CSRとは、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)の略です。
企業は利益だけを追い求めるのではなく、社会や環境のことを考えて責任を持って行動するべきだとして、昨今CSRという言葉がよく使われるようになりました。
今では多くの企業が、自社のホームページなどでCSRについて発信・公表しています。
上記の通り、公害は企業の活動が原因として発生するものが多くあります。
そのため、消費者は各企業のCSRの考え方をチェックし、環境のことをしっかりと考えて事業活動を行っている会社の商品やサービスを選ぶことで、結果的に公害対策になると考えることが可能です。
3Rの徹底
3Rとは、Reduce(減らす)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクル)の頭文字を取った略語です。
- Reduce(リデュース):無駄なゴミの量を減らすこと
- Reuse(リユース):一度使用したものをすぐにゴミにしないで、何度も使用すること
- Recycle(リサイクル):使い終わったものをそのまま捨てるのではなく、資源に戻して再び製品化すること
商品を買ったり使用したりする際に、この3Rを意識して行動することで、無駄なゴミを減らし、公害の発生抑制に貢献できます。
【関連記事】3Rとは?言葉の意味や私たちにできる取り組みを簡単に解説
自家用車の代わりに公共交通機関を利用する
電車やバスなどの公共交通機関は、一度に多くの人を乗せられます。
そのため、一人ひとりが自家用車で移動するよりも、大気汚染の原因となる排気ガスの排出量が抑えられます。
また、車の走行量が減ることで、アイドリング音や走行時振動が発生しにくくなります。
再生可能エネルギーを選ぶ
日本の発電は、大半が火力発電によってまかなわれています。
しかし、火力発電は化石燃料を燃やして発電するため、CO₂などを多く排出します。
中でも石炭火力発電は、CO₂だけでなく、 SOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)も出るため、公害を引き起こす一因となります。
一方、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、大気汚染物質を出さないクリーンなエネルギーと言えます。
一般家庭でも再生可能エネルギーを選択可能!
公害だけでなく、温暖化対策にもなる再生可能エネルギーは、今後の地球を守るために重要なものです。
ただ、太陽光パネルを設置するにはお金がかかりますし、一般家庭で風力発電を行うのは少し現実的ではありません。
一方、再生可能エネルギーを扱っている電力会社に切り替えることは比較的簡単に実現可能です。
今では環境に配慮した電力会社も増えており、選択肢も多くあります。
たとえば、新電力『エバーグリーン』では、実質再エネ100%の「CO₂フリー電気」をすべてのお客さまにお届けしています。
エバーグリーンの電気を使うことで、ご家庭の電力使用によるCO₂排出量がゼロになります。
エバーグリーンへの切り替えによって削減できる年間CO₂排出量は、一般的な家庭で1,562kg-CO₂です。これは杉の木約112本が1年間に吸収する量に相当します。
※ 300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※ 杉の木一本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)
公害対策や環境問題に関心のある方は、ぜひ一度エバーグリーンへの切り替えをご検討ください。
公害予防のために自分たちができることを考えよう
公害は、地域社会全体に悪影響を及ぼします。
公害を防止するために必要なのは、個人一人ひとりが社会に対して働きかける取り組みとなります。
この記事でご紹介したように、公害に対して私たち個人ができることもあります。
まずは1つでも良いので、実践していきましょう。
(出典)