水力発電の特徴と仕組み
水力発電は、「水」の力を利用して電気を生み出す発電方法です。
水が高いところから低いところへと流れ落ちる勢いで発電用の水車を回し、電気を作る仕組みになっています。水の量が多いほど、流れ落ちる高さが高いほど、より多くの電気が生まれます。
エネルギー資源に乏しい日本では、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料の多くを他国から輸入して発電に利用しています。
しかし、化石燃料は有限なので、いつかは枯渇してしまいます。また、国際情勢により、エネルギー価格が高騰する懸念もあります。
一方で、自然に恵まれた日本では、豊富な水資源があります。その水資源を有効活用して、電気へと換えることができるのが水力発電です。
水の力を利用するため、化石燃料は必要ありません。また、繰り返し使える再生可能エネルギーである点も、水力発電の特徴です。
水力発電の種類
水力発電には、以下の種類があります。
【構造の種類】
- ダム式
- 水路式
- ダム水路式
【水の利用方法の種類】
- 貯水池式
- 調整池式
- 揚水式
- 流れ込み式
構造の種類
ダム式
ダムで河川をせき止めて池を造り、直下の発電所との落差を利用して発電する方式です。
水路式
川の上流に堰(せき)を作り、そこから長い水路を使って水を取り入れて、落差が得られるところまで水を導いて発電する方式です。
ダム水路式
名前の通り、ダム式と水路式を組み合わせた方式です。
水の利用方法の種類
貯水池式
電力消費量が比較的少ない春先や秋口は河川水を大きな池に貯め込んでおき、電力消費量の多い夏季や冬季に貯め込んでおいた分を使用する発電方式です。
調整池式
電力消費量は、季節間だけでなく、1日の中や1週間という期間の中でも変動します。調整池式は、夜間や週末など電力消費量の少ないときに発電を控えて、河川水を池に貯め込んでおき、電力消費量の増加に合わせて水量を調整しながら発電する方式です。
揚水式
貯水池式と調整池式は、基本的に発電所の上部に池を1つ作り、そこから水を流します。一方、揚水式は、発電所の上部と下部の2箇所に池を作る方式です。電力消費量が多い昼間は上池に貯められた水を下池に落として発電し、下池に貯まった水は電力消費の少ない夜間に上池に汲み上げられます。こうして池の水を上げ下げすることで、繰り返し水を使って発電することができます。
流れ込み式
上記3つの方式とは異なり、流れる河川の水を池に貯めることはせず、そのまま流して使用する発電方式です。
水力発電のメリット・デメリット
水力発電にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
それぞれご紹介します。
水力発電のメリット
水力発電には下記のようなメリットがあります。
- 安定して発電できる
- 二酸化炭素をほとんど排出しない
- 資源を他国に依存しない
安定して発電できる
水力発電のメリットの一つは、自然条件に左右されにくく、安定して発電できることです。
水力発電と同じ再生可能エネルギーに、太陽光発電や風力発電があります。これらの発電方法は天候に大きく左右されるため、安定的に発電するということに関しては不十分な側面があります。
一方、水力発電は水さえあれば発電でき、また上記で説明したように、水を貯めておけば、電力の需要に合わせて発電量を調整することも可能です。
二酸化炭素をほとんど排出しない
水力発電は地球温暖化の一因とされる二酸化炭素(CO₂)をほとんど排出しない点もメリットです。
たとえば、火力発電の場合は石油や石炭などの化石燃料を使って、電気を生み出しています。それに伴い、多くの二酸化炭素を排出し、地球環境へ大きな悪影響を及ぼしています。
その点、自然のエネルギーを活用する水力発電は、二酸化炭素をほぼ排出しないクリーンエネルギーです。
資源を他国に依存しない
火力発電に使用する化石燃料は、日本ではほとんど取れないため、他国に依存せざるを得ません。
一方、水力発電は国内の水資源を活用できるため、他国から資源を輸入する必要がないのが特徴です。
水力発電は、日本が持つ数少ない純国産エネルギーなのです。
水力発電のデメリット
水力発電のデメリットは、初期コストが多くかかる点です。
たとえば、新潟県にある奥只見ダムは、約390億円の費用がかかったそうです。
しかし、昨今では大規模ダム開発に適した地点の建設は、ほぼ完了したと言われています。大規模なダム開発に多額の建設費用がかかることは、今後少なくなっていくかもしれません。
日本の水力発電の現状と今後
資源エネルギー庁が発表した2021年度「エネルギー需給実績」によると、国内の発電電力量のうち、バイオマスを除く火力発電が全体の72.9%、再生可能エネルギーが20.3%という結果でした。再生可能エネルギーの中で、水力発電の割合は7.5%程度です。
このように、日本では未だに火力発電が主流となっています。水力発電をはじめとする再生可能エネルギーは、まだ主力電源化にはほど遠いのが現状です。
いつまでも火力発電に頼っていると、温室効果ガスの排出量が増え続け、気候変動を進めてしまうかもしれません。
この現状を打破するために、日本政府が目指しているのが、2050年までにカーボンニュートラルを実現することです。
カーボンニュートラルとは、地球温暖化の一因となる温室効果ガスをできるだけ低減し、排出せざるを得ない分は、同量を吸収・除去して温室効果ガス排出をゼロにする取り組みです。
2021年には、さらなる温室効果ガス排出削減目標として、2030年度までに温室効果ガス排出量を46%削減することを目指し、さらに50%へ向けて挑戦することを表明しました。
再生可能エネルギーに関しては、2030年度には電源構成の割合を36〜38%程度に引き上げることを目標にしています。
2030年度の目標、そして2050年度のカーボンニュートラルを実現するために、水力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進が今まさに進んでいるのです。
環境に優しいクリーンエネルギーが求められている
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「2020年度におけるエネルギー需給実績確報」によると、一世帯あたりのCO₂排出量は、一年間で約3,900kgCO₂になります。この内47.6%は家電製品などで使う電気の使用によるものです。
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※ 300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
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地球の未来のために環境に優しい電気を選ぼう
二酸化炭素をほぼ排出しない水力発電は、地球環境に配慮しながら発電できる画期的なシステムです。これからの日本のエネルギー問題を解決するための手段のひとつであり、今後ますます注目されることでしょう。
私たちのできることは、水力発電と同じようにCO₂を排出しないエネルギーを積極的に選ぶことです。エバーグリーンをはじめ、ぜひこの機会にエコな電気の選択を検討してみてください。
(出典)