レジ袋有料化の背景は?プラスチックごみの現状や世界の規制についても紹介

ライフスタイル
2023年4月1日

2020年7月より全国一律でプラスチック製買い物袋(レジ袋)が有料化されました。買い物の際に不便だという声もありますが、未来の地球環境のことを考えた取り組みです。今回は、レジ袋有料化の背景について、海洋汚染の現状などを織り交ぜながら説明します。

目次

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2020年7月より、全国一律でレジ袋の有料化がスタートしました。

有料化の対象となるのは、買い物客が買った商品を持ち運ぶために用いる袋です。

具体的には、プラスチックでできている持ち手の付いた袋が対象で、紙や布でできている袋や、精肉や鮮魚などを入れる持ち手のないプラスチック袋は対象外です。

スーパーやコンビニエンスストアはもちろん、プラスチック製レジ袋を扱う全ての小売業者は、消費者に対して有料で提供しなくてはいけません。

レジ袋の価格は、小売業者が自ら設定することができます。ただし、1枚当たり1円未満になるような価格設定は、有料化とみなされません。

もちろん、買い物客は有料のレジ袋を買わなかったり、提供を断ったりすることができます。

全国一律になる以前から実施していた自治体も

全国一律になる以前からレジ袋の有料化に取り組んでいた自治体もありました。

例えば東京都杉並区では、2008年4月より「杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」を施行し、全国一律になる12年以上も前から、区内の小売業者が有料化に踏み切っていました。

富山県でも、杉並区と同じ2008年4月より県内全域でレジ袋の無料配布を取りやめていました。小売業者、消費者団体、行政の3者で議論を重ねて実現にこぎ着けました。

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レジ袋の有料化が全国一律となったのには、以下のような背景があります。

  • 世界2番目のプラスチック廃棄量
  • 処理量が逼迫し、コストも増大
  • プラスチックごみによる海洋汚染の深刻化
  • 2050年、海洋プラスチックごみの重さが魚の重さを上回る
  • 世界の多くの国がレジ袋の規制を実施

順を追って説明します。

世界2番目のプラスチック廃棄量

日本は、世界有数のプラスチックごみ廃棄国です。

2019年の日本のプラスチックごみ排出量は約850万トンでした。一人当たりに換算すると、年間32kgのプラスチックごみを捨てていることになります。

これは、米国についで世界で2番目の多さです。

排出されたプラスチックごみのうち、およそ6割はサーマルリサイクルされます。

サーマルリサイクルとは、廃棄物を燃やしたときに発生する熱エネルギーを回収して利用するリサイクル方法を指します。

リサイクルと名は付いていますがごみを燃やしますので、地球温暖化の原因となるCO₂が発生します。

【関連記事】サーマルリサイクルとは?メリットや問題点をわかりやすく解説

処理量が逼迫し、コストも増大

プラスチックごみのおよそ2割は、同じプラスチックとして再生利用されます。そのうちの約4割は海外に輸出されています。

しかし、大口の輸出先であった中国は、2017年にプラスチックごみの輸入を禁止しました。

そのため、輸出するはずだったプラスチックごみの多くを、日本国内で処理せざるを得ない状況となったのです。

これに伴い、一部の処理場では逼迫する事態となり、廃棄物処理に掛かるコストも増大しています。

プラスチックごみによる海洋汚染の深刻化

正規の手続きで処理されず、私たちがポイ捨てしたり、業者が不法投棄したりした陸上のプラスチックごみは、やがて海に流れ出ます。

大量のプラスチックごみが海洋に流出することで、海洋汚染が深刻化し、海の生き物にも深刻な影響を及ぼしています。

2019年3月にフィリピンの海岸に打ち上げられたクジラの胃からは、なんと40kgのプラスチックの袋が出てきました。

クジラは海に漂流するプラスチックの袋をえさと間違えて食べてしまい、胃の中が袋で一杯になって、えさが食べられず衰弱したと考えられています。

2050年、海洋プラスチックごみの重さが魚の重さを上回る

米国のエレンマッカーサー財団の試算では、世界全体で毎年800万トンのプラスチックごみが海洋中にたまり続けるとしています。

陸上から海洋へプラスチックごみが流出したり、あるいは直接海に捨てられることで、どんどんたまり続けるのです。

このままの状態が続くと、2050年には海洋中のプラスチックごみの重さが、魚の重さを上回ると言われています。

世界の多くの国がレジ袋の規制を実施

そんな中、世界の60カ国以上が地球環境を保護するため、レジ袋の規制を実施しています。

フランス、カメルーン、バングラデシュなどではレジ袋の使用を禁止。

南アフリカ共和国、スウェーデン、韓国では、日本と同じく有料化に踏み切っています。

また、デンマーク、ベルギー、アイスランドでは課税という形で使用に抑制を掛けています。

レジ袋の規制は、もはや世界の趨勢となっているのです。

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