生物多様性について知ろう!重要性や問題点、保全のために私たちができることは?

ライフスタイル
2023年5月4日

「生物多様性」という言葉を知っていますか?地球上のバラエティに富んだ生態系は、私たちの豊かな生活を支える大切なもの。それが今、かつてないほどのスピードで失われつつあります。この記事では、生物多様性の重要性や問題点、保全のために私たち一人ひとりができることを解説します。

目次

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生物多様性とは、地球上に生息する生き物の多様性と、生き物同士の命の繋がりのことです。

地球上の生き物は、40億年にも及ぶ長い歴史の中で、環境に適応し進化し続けてきました。その結果、動物や植物、菌類など約3,000万種とも言われるさまざまな生き物が誕生しています。

こうした生き物は、すべて直接的・間接的に繋がり、お互い支え合いながら壮大な生命の循環を作り上げています。

生物多様性条約では、生態系・種・遺伝子という3つのレベルで多様性があるとしています。

・生態系の多様性
生き物が生息する自然環境と、そこにすむ生き物どうしの関わり合いを総合的に捉えたまとまりのことを生態系と言います。
地球上には、海・森林・河川・湖沼・里山・湿原など多様な自然があり、それぞれの環境で生態系が形作られています。

・種の多様性
種の多様性とは、生き物の種類の豊富さのことです。知られているだけでも、全世界には約6,000種の哺乳類、約9,000種の鳥類、約95万種の昆虫、約27万種の維管束植物が生息しています。
人間・ゾウ・アリなどの動物や、桜・アサガオなどの植物、肉眼では見えないほど小さな微生物まで、地球上にはあらゆる生き物が存在しているのです。

・遺伝子の多様性
同じ種に分類される生き物でも、多くの場合、個体ごとに遺伝子が異なります。遺伝子の違いによって、形状や模様、色、生態などにさまざまな個性が出ることを、遺伝子の多様性と言います。

生物多様性が重要視されているのはなぜでしょうか?

結論から言えば、生物多様性は私たちの生活を支える基盤となっているからです。

普段あまり意識することはないかもしれませんが、人間社会の豊かで便利な暮らしは、自然の恩恵なしには成り立ちません。

具体的に見ていきましょう。

生物多様性が私たちの暮らしにもたらす大きな恵み

生きていくために欠かせない食料や水、毎日着る衣服の素材、住宅に使われている木材など、私たちは衣食住に必要なものの多くを自然から得ています。

生物多様性が私たちに与えてくれるこうした恩恵を「生態系サービス」と言います

生態系サービスの代表例として挙げられるのが、医薬品への貢献です。

WWFによると、医薬品には50,000種~70,000種もの植物由来の物質が使われています。

まだ発見されていない物質も多いとされており、現代の医学では治療が困難な病気も、将来治せるようになる可能性が秘められています。

この他、下記のようなものも、生態系サービスに位置付けられます。

  • 森や湿地による水質改善作用
  • 自然災害による被害の軽減(例:サンゴ礁やマングローブによる津波の緩和など)
  • 植物が実を付けるために必要な花粉の媒介
  • 生物模倣を活用した製品開発(例:新幹線の先頭の形状がカワセミのくちばしをヒントに設計されていることなど)
  • 登山や海水浴などのレクリエーション機会の提供
  • 豊かな地域文化の醸成(例:冬に各地で行われる「みそぎ祭り」など)
  • 自然に触れることで得られる安らぎやインスピレーション

私たちの暮らしの豊かさ・便利さは、生物多様性と密接に関わっているのです。

生態系サービスの経済的価値は33兆ドル

米メリーランド大学のロバート・コスタンザ博士らの研究によると、生態系サービスがもたらす経済的価値は、年平均33兆ドル(振れ幅16兆~54兆ドル)にものぼると試算されています(英科学誌Nature掲載、1997年)。

この報告からも、私たちは生物多様性から非常に多くの恩恵を受けていることが分かります。

こうした生態系サービスを持続的に享受できるかどうかが、人間社会の存続を左右する重要な課題であることは言うまでもありません。

しかし、現状では海や森林などの自然環境は悪化の一途を辿っており、絶滅の危機に瀕している生き物も数多く存在します。

生態系サービスが生活の基盤となっている以上、生物多様性の大切さをしっかりと認識し、自然の恩恵を持続的に利用できる社会への転換が必要とされているのです

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私たちの暮らしを支える生物多様性が今、かつてないほどのスピードで失われつつあります。

世界規模で起こっている生物多様性の危機について、その原因と現状を解説します。

生物多様性に迫る4つの危機

多くの生き物が絶滅の危機に瀕している主な原因は、人間活動です。生物多様性を損失させる要因として、次の4つがあげられます。

第1の危機:開発・乱獲

埋め立てなどの開発によって生き物の生息地を破壊したり、商業利用などを目的とした乱獲によって、種の減少や絶滅を引き起こしています。

【関連記事】森林破壊の原因とは?現状や影響、食い止めるために私たちができることを解説

第2の危機:管理不足による自然の質の低下

水田や採草地、二次林などの里地里山は、人間生活に必要な環境として維持され、あらゆる生き物が長い時間をかけてその環境に適応してきました。

里地里山が管理されなくなることで、生き物のすみかが失われてしまいます。

第3の危機:外来種などの持ち込み

人間が持ち込んだ外来種が野生化することも生態系を乱す大きな要因です。持ち込まれた外来種が在来種を捕食したり、食べ物や生息場所を奪ったりするなどの影響が出ています。

第4の危機:地球環境の変化

世界規模で危惧されている地球温暖化などの気候変動は、生物多様性を損失させる大きな要因です。

IPCC第4次評価報告書によると、平均気温が1.5~2.5℃上がった場合、動植物の約20~30%は絶滅のリスクが高まるとされています。

【関連記事】地球温暖化の現状は?今後の予測や対策、私たちにできることまで紹介

過去100年間で生物の絶滅速度が1,000倍に増加

ミレニアム生態系評価(2001年~2005年実施)によると、過去100年間で1万種当たり約100種が絶滅したと報告されています。

これは、自然状態における絶滅速度の約1,000倍に相当するスピードです。

また、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅のおそれのある「絶滅危惧種」を選定したレッドリストでは、評価済みの約150,388種のうち42,100種以上の生物が絶滅の危機に瀕しているとされています。

さらに、WWFが2022年10月発表した「生きている地球レポート2022」でも、生物多様性が大きく損なわれていることが報告されました。

WWFによると、自然と生物多様性の健全性を測る指標である「生きている地球指数(Living Planet Index: LPI)」は、1970年~2018年の約50年間で平均69%減少していることが示されています。

LPIとは地球上の脊椎動物(哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類)の個体群を追跡した指標です。

つまり、わずか50年にも満たない間に、地球にすむ生き物の約3分の2が姿を消したことになるのです。

WWFは「生きている地球レポート2022」において、人間は現在、地球1.75個分に相当する自然資源を消費していると警鐘を鳴らしています。

今後数十年にわたって人間がこれまでと同じような生活を続けた場合、生物多様性がますます失われていくことは言うまでもありません。

生物多様性の損失がさらに進行した場合、結果として、人間は自然がもたらす恩恵の多くを失うことになります

たとえば、世界の食料作物の75%以上は動物による花粉媒介に依存していますが、花粉を媒介する虫や鳥が減少することで、農作物の収穫量の減少が危惧されます。

また、その結果、食材価格が高騰する可能性もあるでしょう。

サンゴ礁やマングローブの減少による津波被害・森林破壊による土砂災害の被害が拡大したり、医薬品など健康に寄与する製品の開発が困難になったりする恐れもあります。

生活の基盤となっている生物多様性を人間が自ら喪失させていること、現状の人間社会の継続がすでに難しくなりつつあることをしっかりと認識するとともに、持続可能な社会への転換に向けた対策が急務となっています

【関連記事】持続可能な社会とは?地球が抱える問題と私たちにできることを解説

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生物多様性の保全が世界的に重要な課題であると認識された今、国際社会ではさまざまな取り組みが実施されています。

生物多様性を守るための世界的な取り組みと、日本における取り組みをそれぞれご紹介します。

世界的な取り組み

地球規模で起こっている生物多様性の損失を食い止めるためには、国際社会全体でこの問題に対処していく必要があります。

生物多様性保全に関する国際社会の取り組みとしては、主に次の3つがあげられます。

生物多様性条約

生物多様性の保全だけでなく、さまざまな自然資源の持続可能な利用についても明記した、唯一の国際条約です。

1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットにて採択されました。

この条約では、生物多様性を保全するための取り組みが経済的・技術的に困難な開発途上国に対して、先進国が資金援助や技術協力を行うことなどが言及されています。

また、締約国は生物多様性についての情報交換や調査研究などを協力して行うこととしています。

2022年12月時点で、日本を含む194ヶ国、および欧州連合(EU)・パレスチナが締結(アメリカは未締結)。

条約の締結以降、締約国会議(COP)がおおむね2年に1度開催されています。

愛知目標

国連が定めた「国際生物多様性年」にあたる2010年に、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知県で開催。

COP6(2002年)で採択された「2010年までに生物多戦略様性の損失速度を顕著に減少させる」という目標が未達成に終わった反省を踏まえ、2010年以降の新戦略計画として、「戦略計画2011-2020」(通称:愛知目標)が世界目標として掲げられました。

戦略計画2011-2020では、2050年までに「自然と共生する世界」を実現する(2050年ビジョン)ために、「2020年までに生物多様性の損失を止めるための、効果的かつ緊急の行動を実施する」というミッションに基づいた20の個別目標が採択されました。

昆明宣言

2021年10月に、中国・昆明で開催されたCOP15第1部において「昆明宣言」が示されました。

この宣言では、遅くとも2030年までに生物多様性を回復軌道に乗せ、2050年ビジョンである“自然と共生する世界”の実現を目指す、ポスト2020生物多様性枠組案を開発・採択・実施することが表明されています。

その後、2022年12月にカナダ・モントリオールで開催されたCOP15第2部では、愛知目標の後継となる世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択

2050年ビジョンが引き続き長期目標として掲げられた他、2030年ミッションとして、ネイチャーポジティブ(生物多様性の損失に歯止めをかけ、減少から反転、回復軌道に乗せる)の実現に向けた緊急の行動をとることが示されました。

また、2030年までに陸域・海域の30%以上を保全する「30by30目標」など、ミッション達成に向けた23の行動目標が定められています。

日本における取り組み

日本においても、生物多様性が直面している危機に国全体で取り組むための施策が実施されています。

生物多様性基本法

日本では、生物多様性施策を進めるうえでの基本的な考え方が示された「生物多様性基本法」が、2008年に施行されました。

生物多様性の保全および持続可能な利用に関する施策を推進することで、豊かな生物多様性を守り、自然の恵みを継続して享受できる「自然と共生する社会」の実現を目的としています。

生物多様性の保全・利用に関する基本原則、「生物多様性国家戦略」の策定の他、生物多様性保全のための施策や、持続可能な利用のための施策、基礎的な調査や地球温暖化防止のための施策など、日本が実施すべき13の基本的施策が示されています。

生物多様性国家戦略

生物多様性国家戦略とは、生物多様性条約・生物多様性基本法に基づいて策定された、生物多様性の保全および持続可能な利用に関する国の基本的な計画のことです。

1995年に最初の生物多様性国家戦略が掲げられて以降、計5回の見直しを経て、現行の第6次戦略「生物多様性国家戦略2023-2030」が2023年3月に策定されました。

生物多様性国家戦略2023-2030は、新たな世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組に対応した戦略で、2030年のネイチャーポジティブの実現に向けた5つの基本戦略と、戦略ごとの行動目標などが示されています

2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)

「2030生物多様性枠組実現日本会議」(J-GBF)は、生物多様性保全のための世界目標・国内目標の達成に貢献するために、2021年11月に設立された組織です。

国連の定めた「国連生物多様性の10年」(2011年~2020年)は、愛知目標の達成と生物多様性の主流化を目標に「国連生物多様性の10年日本委員会」(UNDB-J)としてさまざまな活動を実施。その後、UNDB-Jの後継組織としてJ-GBFが誕生しました。

J-GBFでは、産学官民の連携・協力によって、生物多様性の保全および持続可能な利用に関する取り組みを推進するために、総会・各種フォーラム・ワーキンググループ・イベントなどを開催したり、普及啓発ツールの紹介などを行ったりしています

生物多様性を守るためには、一人ひとりが生物多様性の重要性を認識し、日々の行動に反映させていくことが大切です。

日常生活の中で実施できる、生物多様性の保全に役立つ行動を3つご紹介します。

生物多様性に配慮した商品の購入

生物多様性を守るためにまず取り組んでみてほしいのは、生き物や環境に配慮して生産された商品を選ぶことです。

持続可能な漁業で生産された水産物に与えらえる「MSC認証」や「ASC認証」、適切に管理された森林の生産物であることを示す「FSC認証」といったエコラベル付きの商品を選ぶことで、間接的に生物多様性の保全に貢献できます。

普段食べているもの・使っているものが、どこでどのように作られているのか、生産の過程で環境を汚染していないかなどの視点を持つことを心がけましょう。

【関連記事】SDGs目標14は「海の豊かさを守ろう」|私たちにできることから取り組もう

企業の取り組みをチェックする

生物多様性を保全するための企業の取り組みにも、ぜひ関心を持ってみてください。

企業の取り組み事例としては、次のようなものがあげられます。

・積水ハウス株式会社
戸建住宅・集合住宅の緑化に際し、生態系に配慮した庭づくり・まちづくりを行う「5本の樹」計画を実施。2001年~2020年までに累計1,709万本を植栽。

・株式会社ダスキン
白山国立公園への外来植物の侵入を防ぐため、登山口や登山道などに自社のマットを設置。マットから捕集した土砂に外来植物の種子が確認されるなど、生態系保全に貢献している。

・楽天グループ株式会社
「楽天市場」における特設サイトにてサステナブルな買い物文化を作るため、持続可能な資源管理によって生産された認証商品の紹介・販売促進を実施。

生物多様性の保全に積極的に取り組む企業から商品・サービスを購入することも、これからの消費者に求められる行動のひとつと言えます。

地球温暖化防止に役立つ行動を取る

地球温暖化は生物多様性を脅かす大きな要因のひとつです。

WWFの「生きている地球レポート2022」では、地球温暖化による気温上昇を1.5℃にとどめられない場合、今後何十年にもわたって気候変動が生物多様性損失の主な要因となるおそれがあると指摘されています。

地球温暖化の原因であるCO₂(二酸化炭素)の排出量をいかに減らせるかが、生物多様性の未来を左右すると言っても過言ではないのです。

2020年度における日本のCO₂排出量を部門別に見てみると、もっとも多いのは産業部門(34.0%)、次いで運輸部門(17.7%)、業務その他部門(17.4%)、家庭部門(15.9%)となっており、家庭からのCO₂排出量も決して少なくありません。

家庭から排出されるCO₂の多くは、電気・ガス・ガソリンの消費に由来するものです。

そのため、電気・ガスの使用量を減らしたり、自動車の利用を控えたりすることで、CO₂排出量を大きく削減できます

具体的な対策としては、下記のようなものがあるので、無理なく取り組めるものから行ってみましょう。

  • 電車やバスなどの公共交通機関を利用する
  • 省エネタイプの家電製品に買い替える
  • エアコンの設定温度を見直す
  • 使っていない家電製品のコンセントを抜く
  • 再生可能エネルギー重視の電力会社に切り替える

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地球温暖化を防ぐための手段としてぜひ検討してみてほしいのが、「環境に配慮した電気を使う」という選択肢です。

毎日使う電気を環境に配慮したものに変えれば、普段と同じように電気を使っていても、環境に優しい生活が実現できます

新電力『エバーグリーン』では、家庭の電力使用によるCO₂排出量が実質ゼロになる「CO₂フリープラン」をご用意。

CO₂フリープランに切り替えることで削減できるCO₂排出量は、一般家庭で年間1,785kgにおよびます。

これは実に、杉の木約130本が1年間に吸収するCO₂量に相当します。

※杉の木1本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)

地球温暖化の防止、ひいては生物多様性の保全に関心のある方は、ぜひ一度、エバーグリーンのCO₂フリープランを検討してみてください。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

私たちの豊かな暮らしを支えてくれている生物多様性は、40億年という長い地球の歴史の中で形作られてきたものです。

生物多様性がひとたび失われてしまったら、元に戻すのは容易ではありません。

多様な生き物がすむ美しい地球を次の世代につなぐためにも、一人ひとりが生物多様性の重要性を認識し、保全に役立つ行動を起こすことが大切です。

まずは、日常生活の中でできる取り組みから始めてみましょう。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

(出典)

エバーグリーンは
環境に配慮した電気を
供給することで
皆さまの暮らしを支えます

  • Point
    1

    CO₂排出量が実質ゼロの電気

    実は、家庭から排出されるCO₂の約半数は電気の使用によるもの。エバーグリーンの電気をご利用いただくと、これを実質ゼロに抑えることができます!

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    2

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    3

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