【目次】
急増しているアーバンベアとは?
クマ被害の急増に伴って、テレビやネットニュースでもよく見聞きするようになった「アーバンベア」。
ここでは、アーバンベアの意味や、近年のクマによる被害の状況などを詳しく解説します。
人の生活圏に出没するクマ
アーバンベア(都市型クマ)とは、市街地周辺の山林で暮らし、街中に出没するクマのことを指します。
本来なら山奥に生息するはずのクマが、近年では市街地や農地などにまで姿を現し、人々の生活に影響を与えています。
作物や家畜などの被害だけにとどまらず、人身被害も増えているため、不安に思っている方も多いでしょう。
日本に生息するクマには、次の2種類がいます。
- ヒグマ(北海道に生息)
- ツキノワグマ(本州・四国に生息)
通常は、ヒグマもツキノワグマも臆病な性格で、人間に対する警戒心が強いとされています。
しかし、市街地などに出没するアーバンベアは、クマ本来の性格とは反対に、人間を恐れず、出くわしても逃げようとしません。
人里の近くに生まれ育ったクマは、人の気配や話し声、車の音などに慣れており、人里に下りてきやすい傾向があります。
また、狩猟者が高齢化しハンターの数も減少しているため、人間に追われた経験がないことも、人に対する警戒心が低い要因であると考えられます。
近年では市街地や農地でのクマ被害が増加
環境省の「クマ類の出没対応マニュアル―改訂版―」によると、2018年までクマによる人身被害は山林が大半を占めていましたが、2019年以降は住宅地・市街地など、人の生活圏における被害が増加しています。
2020年には、市街地・住宅地および農地での被害件数が山林での被害件数を上回り、アーバンベア問題が浮き彫りになりました。
クマによる人身被害が過去最多となった2023年には、メディアもクマ被害を相次いで報道。
特に、秋田県や岩手県における人身被害は深刻で、自宅の敷地内で襲われたり、通学中や農作業中に遭遇したりといった被害事例が多発しました。
アーバンベア問題への社会的関心の高まりは、2023年の「新語・流行語大賞」のトップ10に「OSO18/アーバンベア」(※)が選出されたことからも見て取れます。
※「OSO18」とは 北海道で2019年から4年間に渡り牛を襲い続けたヒグマ。最初の被害現場が標茶町オソツベツであったことと、前足のサイズが18cmだったことから「OSO18」のコードネームが付けられました。OSO18は2023年7月に捕獲されています。
アーバンベアの被害を防ぐには
人間を恐れることなく、住宅地や農地などに姿を現すアーバンベア。
人の生活圏でのクマ被害を防ぐために、私たちはどのような対策を取るべきなのでしょうか?
万が一クマに遭遇してしまった場合の対処法とあわせて見ていきましょう。
街中や農地での被害を防ぐための対策
アーバンベアの被害を未然に防ぐためには、市街地や農地などにおける入念な対策が重要になります。
人の生活圏におけるアーバンベア対策として、次のような方法が挙げられます。
- 生ゴミや家畜飼料などの管理を徹底する
- 車庫・物置などの扉は普段からしっかりと閉めておく
- 家や農地周辺の草刈りをして見通しを良くしておく
- 農地などに電気柵を設置する
- 鈴・ラジオなどの音で人間の存在を知らせる
- 出没・目撃情報をこまめに確認し、共有する
- クマの生態を理解する
クマのエサとなるドングリなどの木の実は豊凶のサイクルがあります。凶作の年はエサを求めてクマが人里まで下りてくるため、クマのエサとなるような生ごみ・家畜の飼料などを屋外に放置しないようにしましょう。
うっかり放置しておくと、クマを招き入れてしまう恐れがあります。
また、クマ被害が頻発した2023年には、車庫など自宅敷地内での被害も多数報告されています。
車庫内にクマが潜んでいることに気付かず、シャッターを開けた際に鉢合わせして被害に遭うケースもあるので、車庫や物置きの扉はクマが入り込まないよう普段からしっかりと施錠しておくことが大切です。
加えて、自宅や農地周辺に生い茂ったやぶは、クマの格好の隠れ場所になります。定期的に草刈りをして見通しを良くしておくこともクマの出没対策につながります。
万が一クマと遭遇してしまったら
万が一の場合に備えて、クマと遭遇してしまった際の対処法も知っておきましょう。
近くにクマがいることに気付いたら、ゆっくりと後ずさりしながら静かにその場を離れます。
クマに遭遇すると気が動転して、とっさに逃げ出したくなるかもしれません。しかし、クマは逃げるものを追う習性があるため、決してクマに背中を向けて走って逃げてはいけません。
近くに建物や車がある場合は、中に避難してクマの攻撃から身を守りましょう。
避難できる場所がなければ、クマに背を向けないように電柱や塀などの後ろに移動し、攻撃されにくい状況を作ります。
できるだけクマを刺激しないよう、落ち着いて冷静に対処することが重要です。
また、万が一襲われそうになった場合は、頭やお腹など急所を守るための防御姿勢を取りましょう。
両手を首の後ろで組んで(あるいは両腕で顔や頭を覆って)直ちにうつぶせになり、クマからの攻撃を受けやすい顔面・頭部へのダメージを最小限にとどめます。
クマ撃退スプレーを携行していれば、クマの顔に向かって噴射するのも有効です。
ただし、クマ被害を避けるためには、第一にクマと遭遇しないことが何よりも重要です。
可能な限りクマとの遭遇リスクを減らす対策をして、被害に遭わないようにしましょう。
アーバンベアが増えているのはなぜ?増加の一因は地球温暖化
近年のアーバンベア増加の背景には、里地里山における人間活動の低下や、耕作放棄地の拡大などが挙げられます。
中山間地域の過疎化・高齢化により、集落で活動する人が減少したことで、クマの警戒心が低下し、里地での出没が増加しています。
加えて、耕作放棄地が拡大したことで、クマが身を隠せるやぶが増加したことも一因です。
集落近くにクマの隠れ場所が増えると、クマは人目に付くことなく集落周辺を移動できるようになるため、自宅や農地などでクマに遭遇するリスクが高まってしまいます。
さらに、アーバンベアが増えている要因のひとつとして、地球温暖化の影響も指摘されています。
温暖化の加速によって、クマのエサとなるドングリなどの木の実が凶作となり、冬眠前のクマがエサを求めて人里に出てきた可能性も否定できません。
アーバンベア問題を解決するためには、私たち一人ひとりが地球温暖化対策に取り組むことも重要であると言えるでしょう。
地球温暖化を防ぐために私たちができること
アーバンベアが急増した要因のひとつとも考えられている地球温暖化。
温暖化の進行を防ぐためには、私たち一人ひとりが、日常生活の中で温暖化対策に積極的に取り組んでいくことが大切です。
ここでは、温暖化対策に取り組むにあたって知っておくべき重要ポイントと、家庭で実践できる効果的な温暖化対策を分かりやすく解説します。
温室効果ガスであるCO₂の削減が重要
地球温暖化を食い止めるには、温室効果ガスのひとつである二酸化炭素(CO₂)の排出を削減することが重要です。
私たちは普段の生活の中で、電気・ガス・ガソリンなどさまざまなエネルギーを使用し、CO₂を排出しています。
国立環境研究所のデータによると、2022年度の家庭からのCO₂排出量のうち、もっとも多かったのが電気の使用に由来するもの(47.2%)でした。
つまり、家庭からのCO₂排出量を減らすには、電気の省エネから取り組むのが効果的だと言えます。
電気の省エネ対策としては、次のようなものがあります。
- エアコンの設定温度は夏は28℃、冬は20℃を目安に設定する
- 使っていない部屋の照明を消す
- 省エネ性能に優れた機種に買い替える
加えて、効率良くCO₂排出量を減らすためには、「エコな電気」を供給している電力会社への切り替えも検討してみましょう。
CO₂を排出しない(もしくは排出量が少ない)エコな電気を選ぶことで、家庭からの電気使用によるCO₂排出量を大きく削減できる可能性があります。
普段の生活の中で省エネを意識しなくても温暖化防止に貢献できるため、家庭で手軽に取り組める温暖化対策としてもおすすめです。
エバーグリーンの電気ならCO₂排出量が実質ゼロに
環境に配慮したエコな電気に興味がある方におすすめなのが、新電力『エバーグリーン』です。
エバーグリーンは、東証プライム市場に上場している「イーレックスグループ」の一員です。
20年以上に渡って培ってきた豊富な経験とノウハウを活かし、再生可能エネルギー実質100%の「CO₂フリー電気」をすべてのお客さまにお届けしています。
そのため、エバーグリーンに切り替えるだけで、家庭での電力使用によるCO₂排出量はゼロに。
エバーグリーンへの切り替えによって削減できるCO₂排出量は、一般家庭で年間1,562kg-CO₂にのぼります。これは、杉の木約112本が1年間に吸収するCO₂量に相当します。
※300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※杉の木1本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)
また、エバーグリーンでは、電気料金をLINEで通知するサービスも提供しています。
紙の検針票を使用しないことも環境への配慮につながるので、エバーグリーンをご契約の際にはあわせてご活用ください。
エバーグリーンのエコな電気や料金プランについて詳しく知りたい方は、ぜひ公式ホームページをチェックしてみましょう。
環境に配慮することもクマ被害の防止につながる
アーバンベアの増加は、里地里山における人間活動の低下や耕作放棄地の拡大など、さまざまな要因が絡み合って引き起こされています。
さらに、クマが人里に下りてくるようになった原因には、地球温暖化の影響も指摘されています。
私たち一人ひとりが日常生活の中で温暖化対策に取り組むことは、アーバンベア問題の解決の一助になるはずです。
家庭でできる温暖化対策には、家電の使い方の見直しや、省エネ機種への買い替えなどがありますが、エコな電気を供給している電力会社への切り替えもぜひ検討してみましょう。
エバーグリーンでは、CO₂排出量が実質ゼロになるエコな電気をすべてのプランで提供しています。
エバーグリーンに切り替えるだけで、家庭からのCO₂排出量を大幅に削減できる可能性があるため、ご家庭で無理なく継続して温暖化対策に取り組めます。
アーバンベア問題は一朝一夕に解決するものではありませんが、私たちが環境に配慮した生活を心がけることで、クマと人が共生できる未来に一歩近づけるでしょう。
(出典)