高潮の原因は?引き起こされる災害や温暖化との関係も紹介

ライフスタイル
2024年5月9日

台風シーズンなど夏から秋にかけて発生する高潮は、私たちの生命、財産、ライフラインに大きな爪痕を残す自然現象です。今回は、高潮が発生する原因を説明し、引き起こされる主な被害、地球温暖化との関係などを紹介します。

目次

高潮とは、台風や低気圧が上陸・接近したときに発生する海面の異常上昇です。

古より海洋国家として栄えた日本では、沿岸部に多くの都市が栄えています。

そのため、ひとたび高潮が発生すると、海水が堤防や水門を越えて市街地に入り込み、人的、物的問わず多くの被害をもたらします。

特に海抜ゼロメートル地帯などの低い土地では、被害は深刻なものとなります。

また、海水が集まりやすい湾の奥、河川氾濫の危険もある河口部、水深が急激に深くなる遠浅海岸でも水位が上昇しやすく、厳重な警戒が必要です。

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高潮の発生時期は、潮の満ち引きと深い関係があります。

海面は、月の引力や地球が公転する際の遠心力などによって外に引っ張られます。

そのため、海面の水位(潮位)は、おおよそ半日ほどのサイクルで高くなったり、低くなったりを繰り返しています。

潮位が高くなった状態を「満潮」、逆に低くなった状態を「干潮」と言います。

地球と太陽、月の位置により、満潮と干潮の潮位の差はその時々で大きく変わります。

また、満潮と干潮の潮位差が大きい状態を「大潮」、逆に小さい状態を「小潮」、その中間を「中潮」と呼びます。

高潮が発生しやすいのは、大潮の満潮の時間です。

このときに台風や低気圧が接近すると、いつもより海面上昇が大きくなり、被害も拡大する傾向にあります。

それでは、高潮はどのように起きるのでしょうか?

発生のメカニズムとして、気圧の変化による「吸い上げ効果」と、風が影響する「吹き寄せ効果」があります。

気圧低下による吸い上げ効果

台風や低気圧が接近して気圧が低くなると、その周りの気圧は相対的に高くなります。そのため、気圧の高い周辺部の空気は海面を押し付けるような格好となります。

すると、中心付近の空気と海面は上に持ち上がってしまい、その結果、海面が上昇します。

この現象のことを「吸い上げ効果」と呼びます。

外海では、気圧が1ヘクトパスカル低くなると海面が1センチ上昇するといわれています。

例えば、1気圧(1014ヘクトパスカル)のところに中心気圧950ヘクトパスカルの強い台風が来れば、吸い上げ効果により海面が64センチ高くなるのです。

風による吹き寄せ効果

さらに、台風による風が海から陸地に吹き寄せると、海水が風にあおられることで海面が上昇します。

この現象が「吹き寄せ効果」です。

吹き寄せ効果により、潮位は風速の2乗に比例して上昇します。つまり、風速が2倍になると、海面上昇の効果は4倍になるのです。

また、湾の奥がアルファベットのVの字になっていたり、遠浅だったりするほど吹き寄せ効果が高くなり、その分被害が大きくなります。

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海で発生する高潮は、広い意味で波の一種です。しかし、津波や高波など他の波とは発生原因や性質は大きく異なります。

津波との違い

津波は、言わずと知れた地震により引き起こされる波です。

海底の下の浅い部分で地震が起こると、海底で地殻変動が発生します。

揺れにより海の水が動かされると、押し上げられた海水が大きな波となり、四方八方に広がっていきます。

動きを持っているので、陸地に到達した際は建物や道路を飲み込み、破壊しながら引いていきます。そして第2波、第3波…と繰り返します。

一方、高潮は海面そのものが全体的に上がる現象です。強い力で押し寄せる津波と異なり、ひたひたと水位が上昇するイメージです。

高波との違い

高波も高潮と同様、台風や豪雨などの悪天候時に発生します。

台風の風によって高い波が引き起こされ、うねりを伴って陸地まで押し寄せてくるのが高波です。

吹き寄せ効果に加え吸い上げ効果が伴う高潮とは発生メカニズムが異なり、うねりの有無でも違いが見られます。

高波は台風が日本のはるか南にあっても、太平洋を伝わって日本列島を襲うことがあるので、注意が必要です。

高潮は、私たちの社会や生活にさまざまな被害を及ぼします。

人的被害

高潮によって市街地が水没することで、溺死したり、流れてきたものにぶつかってけがをする危険があります。

特に道路の立体交差にあるアンダーパス部分では、冠水により自動車が立ち往生し、閉じ込められないよう注意が必要です。

財産の被害

住宅の床上、床下浸水や、水濡れによる電気製品の故障の恐れがあります。

また津波ほどではありませんが、家屋の流出、破壊にも警戒しなければなりません。

ライフライン被害

多くの人の移動に影響を及ぼすのが、冠水による鉄道の運休や道路の通行止めです。

特に鉄道では、冠水により軌道が動いたり、車両が水没したりして長期運休を強いられます。

水道施設の破損による断水、発電所の浸水による停電なども引き起こす恐れがあります。

産業被害

特に沿岸部の工場等で機械装置が海水に浸かってしまうと稼働が止まり、生産活動やその後の経営に大きな打撃を与えます。

水産業では養殖いかだの流失や漁船の破損、農業では耕作地に海水が入ることによる塩害の発生などが心配です。

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高潮をより深刻化させるといわれているのが、生態系や気候に大きな影響を及ぼしている地球温暖化です。

二酸化炭素など温室効果ガスの発生で地球の温度が上昇すると、極地の氷や氷河が溶けて海に流れ込み、海水の量が増えます。

また、水温が高くなることで、海水そのものが膨張してしまいます。

その結果、海面水位が上昇します。海面水位が高くなると、当然高潮のリスクも大きくなるのです。

東京都では、地球温暖化による海面上昇に備え、堤防の高さを上げることを計画しています。

都がまとめた「東京湾沿岸海岸保全基本計画」によると、最大で今より1.4メートル高くする予定です。

地球温暖化を想定した防潮堤のかさ上げは、全国で初めてといわれています。

高潮のリスクを軽減するためには、堤防などのハード面の整備だけでなく、私たち一人一人がライフスタイルを見直すことが不可欠です。

そんな取り組みの一つとなるのが、電力会社や電力の契約プランを変更し、地球に優しい電気を選ぶことです。

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地球温暖化による気候変動により、高潮に限らず災害のリスクが高くなっているといわれます。

私たちが安全に暮らすため、そして未来の世代に安心な環境を残すため、一人一人が地球環境について考える時代が到来しているのです。

エコな電気を選ぶことも、地球温暖化対策の一つです。

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