【目次】
地球沸騰化とは
「地球沸騰化」という言葉は、2023年7月にニューヨークで行われた記者会見において、アントニオ・グテーレス国連事務総長が使用した表現です。
グテーレス国連事務総長は、2023年7月の世界平均気温がこれまででもっとも高い数値を記録するとの見通しを受け、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と発言。
気候変動がもたらす深刻な影響を強調するとともに、世界規模での温暖化対策の緊急性を訴えました。
地球沸騰化という言葉は、その後メディアや公的な議論において頻繁に引用され、日本国内でも大きな注目を集めました。
実際に、2023年の新語・流行語大賞のトップ10に入るほど広く認知されたため、「地球沸騰化」という言葉をきっかけに気候変動への関心を新たにした方も多いのではないでしょうか。
「地球沸騰化」は、単なる気温上昇を超え、私たちの生活や地球の未来に対する深刻な警告として受け止められています。
地球沸騰化は温暖化の進行が原因
「地球沸騰化」と警告されるほど深刻な近年の気温上昇。
その危機的な現象は、加速度的に進行し続ける地球温暖化によって引き起こされています。
地球温暖化とは、大気中の温室効果ガスが増加することで、地球に降り注ぐ太陽の熱エネルギーが宇宙空間に放出されにくくなり、地球表面の温度が上昇する現象のことです。
主な温室効果ガスには、二酸化炭素(CO₂)やメタン(CH4)などがあり、その大部分が人間活動によって排出されます。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書では、2011~2020年の世界平均気温は、産業革命前(1850年~1900年)の水準よりも約1.1℃高かったことが示されています。
また、世界気象機関(WMO)も、2023年は世界の年間平均気温が産業革命前の水準と比べて約1.45℃上昇したことを報告。
2023年後半の猛暑に関しては、エルニーニョ現象(※)の影響が重なったことなども要因ではあるものの、長期的な気候変動は激化しているとし、パリ協定で掲げられた「世界の平均気温上昇を2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標にますます近付いていると警告しています。
※エルニーニョ現象とは: 太平洋の赤道域(日付変更線付近から南米沿岸)で、海面の温度が平年より高い状態が1年ほど続く現象のこと。数年おきに発生し、世界各地で異常気象を引き起こす原因となるとされています。
「沸騰化」と警告される地球温暖化の現状
温暖化がますます進行している近年では、世界各地で毎年のように猛暑・熱波が観測され、最高気温が国内最高記録を更新した事例が多数報告されています。
【世界で観測された猛暑・熱波の報告事例(気象庁)】
年 | 報告事例 |
---|---|
2019年 | ・フランス(ヴェラルグ):46.0℃(6月) ・ドイツ(リンゲン):42.6℃(7月) ・オランダ(ギルゼ・レイエン):40.7℃(7月) など |
2020年 | ― |
2021年 | ・トルコ(ジズレ):49.1℃(7月) ・カナダ(リットン):49.6℃(6月) |
2022年 | イギリス(コニングスビー):40.3℃(7月) |
2023年 | ・ベトナム(ゲアン):44.2℃(5月) ・中国(新疆ウイグル自治区トルファン):52.2℃(7月) ・ブラジル(アラスアイ):44.8℃(11月) |
こうした状況は、日本においても例外ではありません。
世界中で記録的な暑さに見舞われた2023年は、日本でも猛暑日・真夏日の日数が各地で過去最多を記録。
さらに、気象庁からは、2023年における夏(6月~8月)の平均気温が、1898年の統計開始以来もっとも高かったことが報告されています。
世界的な猛暑の発生は、地球温暖化が今まさに「沸騰化」と表現されるほどの危機的な状況に陥っていることを物語っていると言えるでしょう。
地球沸騰化が私たちの暮らしに及ぼす影響
7月に観測史上もっとも高い世界平均気温を記録した2023年には、世界や日本でさまざまな異常気象が発生しました。
カナダでは、1983年以降最大規模となる山火事が発生し、約18.5万平方キロメートルの森林が焼失。
さらに、山火事の煙はアメリカの東海岸から中西部に到達し、デトロイト・シカゴ・ニューヨークなど多くの地域が深刻な大気汚染に見舞われました。
北アフリカのリビアでは、9月に発生した低気圧「ダニエル」がもたらした大雨によってダムが決壊するなどして、大規模な洪水が発生。12,350人以上もの犠牲者を出す大災害となりました。
南米では、長期に渡る少雨と暑さの影響により、各地で干ばつの被害が深刻化。特に、ウルグアイでは74年ぶりの記録的な干ばつに見舞われ、貯水量の低下から深刻な水不足に陥りました。
日本でも、6月に台風2号が西日本から東日本の太平洋側を中心に大雨をもたらしました。
降り始めからの雨量が平年の6月の月降水量の2倍を超えた地点もあり、各地で河川の氾濫に伴う浸水被害や、土砂災害などが発生。人的被害は57人、住宅被害は10,113件にものぼりました。
また、温暖化はこうした異常気象を引き起こすだけでなく、熱中症や感染症リスクの増加といった健康被害ももたらします。
さらに、農作物の生育に影響を与えることはもちろん、利用可能な水資源や生物多様性への悪影響も避けられません。
地球沸騰化を防ぐためにできること
地球温暖化がこれ以上進行するのを防ぐためには、温室効果ガスであるCO₂の排出量をどれだけ削減できるかがキーポイントになります。
CO₂排出量を削減するために、国や企業などでもさまざまな取り組みが行われていますが、「地球沸騰化」と表現されるほど温暖化が進んでいる今、私たち一人ひとりの主体的な取り組みも強く求められています。
日々の暮らしの中に取り入れられる温暖化対策には、次のようなものがあるので、無理なく実践できるものからぜひチャレンジしてみましょう。
- 節電を意識する
- できるだけ公共交通機関を利用する
- 電気自動車に乗り換える
- 中古品を有効活用する
- 環境に配慮した商品を選ぶ
節電を意識する
私たちは、エアコンや冷蔵庫、洗濯機など、日々さまざまな電化製品を利用して生活しています。
電気は暮らしに欠かせないエネルギーではありますが、電力を生み出す過程で地球温暖化の原因となるCO₂が排出されることを忘れてはなりません。
国立環境研究所が公表している2022年度の「家庭からのCO₂排出量(燃料種別)」によると、もっとも多いのが「電気」で全体の47.2%を占めています。
そのため、家庭からのCO₂排出量を削減するためには、日々の生活で節電を心がけることが重要です。
節電対策には次のような方法がありますので、簡単にできそうなものからぜひ始めてみてください。
- 家電の使い方を見直す/工夫する
- 照明をLEDに替える
- 省エネタイプの家電に買い替える
【家電の使い方の見直し例】
- エアコンの設定温度を1℃上げる/下げる
- エアコン使用時はサーキュレーターを併用する
- 冷蔵庫に食材を詰め込み過ぎない
- 洗濯機や食洗器はなるべくまとめ洗いを心がける
できるだけ公共交通機関を利用する
自動車の代わりに電車やバスなどの公共交通機関を利用するのも、温室効果ガス削減に役立ちます。
国立環境研究所が公表している2022年度の「家庭からのCO₂排出量(燃料種別)」を見ると、電気に次いで2番目に多いのが「ガソリン」(24.1%)です。
自動車の利用を控えてガソリンの消費量を減らせば、それだけ温暖化防止につながります。
電気自動車に乗り換える
自動車の乗り換えを検討しているなら、ガソリン車より電気自動車(EV)を選ぶと温室効果ガスを大幅に削減できるのでおすすめです。
前述の通り、家庭からのCO₂排出量のうち、24.1%はガソリンの消費によるものです。
そのため、ガソリン車からEVにすれば、家庭からのCO₂排出量を約4分の1程度削減できることになります。
EVの動力源である電気はガソリンに比べると安いので、ランニングコストを抑えられるのもメリットです。
中古品を有効活用する
できるだけ中古品を選ぶようにしたり、モノを大切に長く使ったりすることも、地球温暖化防止につながります。
新品の製品を作る場合、製造や輸送などの各段階でCO₂が排出されます。
環境省によると、衣服の場合、原材料の調達から製造・輸送までに排出されるCO₂の量は、なんと年間約90,000ktにものぼるとのこと。
服1着あたりに換算すると、1着作るのに約25.5kgものCO₂を排出していることになります。
中古品を活用することで新品への需要を抑えられるため、商品製造・輸送時などに排出されるCO₂を大きく削減することが可能です。
ぜひ中古品を賢く活用して、温暖化防止に貢献しましょう。
環境に配慮した商品を選ぶ
温室効果ガスの排出削減に力を入れている企業の製品を選ぶのも、手軽にできる温暖化対策としておすすめです。
環境に配慮した商品かどうかを見極めるには、環境ラベルの有無や種類をチェックしてみましょう。
環境ラベルとは、商品がどのように環境不可の低減に役立つのかを示すマーク・目印のことです。
代表的なエコラベルには次のようなものがあります。
・エコマーク
製品のライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認定された商品・サービスに付けられるマーク。
・CFPプログラム(カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム)
原材料の調達から、製造、使用、廃棄リサイクルまでを通じて排出される温室効果ガスの量をCO₂に換算して表示している商品に付けられるマーク。
・バイオマスマーク
生物由来の資源(バイオマス)を利用し、品質・安全性が規格に適合している商品に付けられるマーク。
商品を選ぶ基準は価格やブランドなど人によってさまざまですが、ぜひ環境ラベルにも注目して商品を選んでみてください。
家庭の温暖化対策には「エコな電気」を使う選択肢も
「家庭からのCO₂排出量をもっと手間なく減らしたい」という方は、エコな電気を提供している電力会社への切り替えもおすすめです。
前述の通り、家庭からのCO₂排出量1位は電気で、全体の約半分を占めています。
そのため、毎日使う電気をCO₂フリーのエコな電気に切り替えるだけで、家庭からのCO₂排出量の半分近くを簡単に削減することができます。
いったん電力会社を切り替えれば、普段の生活で節電を意識しなくても、温暖化防止に貢献できるのもメリットです。
手間をかけずに効果的にCO₂排出量を削減できるので、「こまめに節電を心がけるのはちょっと大変かも…」という方もぜひ検討してみてください。
「エバーグリーン」のエコな電気で地球沸騰化を防ごう
エコな電気に切り替えたい方は、ぜひ『エバーグリーン』をご検討ください。
エバーグリーンは、東証プライム市場に上場している「イーレックスグループ」の一員です。
20年以上に渡り培ってきた豊富な経験とノウハウを活かし、再生可能エネルギー実質100%の「CO₂フリー電気」をすべてのプランで提供しています。
エバーグリーンの特徴・メリットを詳しく見てみましょう。
家庭の電気使用によるCO₂排出量が実質ゼロに
エバーグリーンに切り替える大きなメリットとして挙げられるのが、「家庭での電力使用によるCO₂排出量を実質ゼロにできる」ことです。
エバーグリーンへの切り替えによって削減できるCO₂排出量は、一般家庭で年間1,562kg-CO₂。
この削減量は、杉の木約112本が1年間に吸収するCO₂量に相当します。
※300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※杉の木1本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)
エバーグリーンが提供する“環境に優しい電気”で、ぜひ手軽で効果的な温暖化対策を始めてみましょう。
「LINEで電気料金お知らせサービス」でさらに環境に優しく
エバーグリーンでは、電気料金をLINEで通知する「LINEで電気料金お知らせサービス」を実施しています。
手軽に電気料金をチェックできる便利さに加えて、紙の検針票を使用しないため、環境への配慮にもつながるのがメリットです。
なお、サービスをご利用いただいた場合、電気料金を月50円(年間600円)割引させていただきます。
おトク・便利で環境にも優しいサービスですので、ぜひご活用ください。
電気とセットでおトクになる太陽光電力買取サービスも
近年の環境意識の高まりから、太陽光発電設備を設置しているご家庭も多いのではないでしょうか。
エバーグリーンでは、卒フィット満了を迎える方を対象に「太陽光電力買取サービス」も実施しています。
電気とセットで契約すれば買取価格がアップするので、気になる方はぜひチェックしてみましょう。
地球沸騰化を防ぐには一人ひとりの対策が急務
「沸騰化」と警告されるほど地球環境が危機的な状況にある今、一人ひとりが温暖化の現状にしっかりと向き合い、必要な対策を講じることが以前にもまして求められています。
節電・省エネを意識してCO₂排出量を減らすことは温暖化対策の基本ですが、より効率良くCO₂排出量を削減するには、エコな電気を提供する電力会社への切り替えもおすすめです。
エバーグリーンのCO₂フリー電気なら、切り替えるだけで家庭からのCO₂排出量を実質ゼロにできるため、手間なく温暖化防止に貢献できます。
地球沸騰化を防いで持続可能な社会を実現するためにも、ぜひエバーグリーンのエコな電気を活用してみてください。
(出典)
- 国際連合広報センター|記者会見におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長発言(ニューヨーク、2023年7月27日)
- 自由国民社|「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞)
- AR6 Synthesis Report Climate Change 2023 Summary for Policymakers
- WMO|WMO confirms that 2023 smashes global temperature record
- 気象庁|エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
- 気象庁|世界の年ごとの異常気象 対象期間:2019年
- 気象庁|世界の年ごとの異常気象 対象期間:2020年
- 気象庁|世界の年ごとの異常気象 対象期間:2021年
- 気象庁|世界の年ごとの異常気象 対象期間:2022年
- 気象庁|世界の年ごとの異常気象 対象期間:2023年
- 日本気象協会|「熱中症ゼロへ」プロジェクト 2023年の熱中症にまつわる3大ニュース~統計開始以降 最も暑かった夏~
- 気象庁|夏(6~8月)の天候
- 気象庁|世界の年ごとの異常気象 対象期間:2023年
- CNN|米東部と中西部の1億人あまりに大気汚染警報、カナダ山火事の影響
- NHK国際ニュースナビ|リビア洪水で8000人死亡 いったい何が?なぜ被害拡大?
- NHK|ウルグアイ 74年ぶり記録的干ばつ 首都に水不足の緊急事態宣言
- 消防庁|令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号による被害及び消防機関等の対応状況(第17報)
- 内閣府|令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号による被害状況等について
- 東京都気候変動適応センター|気候変動情報
- 国立研究開発法人 国立環境研究所|温室効果ガスインベントリ 日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2022年度)(確報値)
- 環境省|サステナブルファッション これからのファッションを持続可能に
- 環境省|ecojin