【目次】
炭素固定とは
炭素固定とは、大気中や排気ガスなどに含まれている「二酸化炭素(CO₂)」を何らかの方法で固定することです。
類義語には、「二酸化炭素固定」「炭酸固定」「炭素同化」「炭酸同化」などがあります。
炭素固定は、大きく分けて2種類あります。
ひとつめは自然の力によって起こるもの、もうひとつは人工的な方法によって起こるものです。
自然の力で起こる炭素固定
自然の力によって起こる炭素固定には、主に「植物」と「プランクトン」が関わっています。
それぞれの生物がどのようにして炭素固定を行っているのか確認していきましょう。
植物の力による炭素固定
植物は二酸化炭素と水を取り込み、代謝物として酸素を排出しています。
この働きを「光合成」といい、炭素固定の一種として大きな役割を果たしています。
また、植物によって吸収される炭素は「グリーンカーボン」と呼ばれています。
若い木は老木に比べて成長スピードが早く、光合成を活発に行っています。
そのため炭素固定を促進させようと、近年では成長の早い植物を植える活動などが実施されています。
プランクトンの力による炭素固定
プランクトンが増殖すると、海面では光合成が行われます。
二酸化炭素は有機炭素となって海底に沈んでいくため、二酸化炭素を固定化することが可能です。
海藻やプランクトンによって吸収される炭素を「ブルーカーボン」と呼びます。
ブルーカーボンの炭素吸収率は地上の植物よりも高く、有効な炭素固定として研究が進められています。
人工的に行う炭素固定の方法
続いて、人工的に行われる炭素固定の方法について確認していきましょう。
人工的な炭素固定は、主に「化学吸収」「物理吸着」「炭化」によって行われます。
化学吸収による炭素固定
化学吸収による炭素固定では、大気中の二酸化炭素をアルカリ性溶液に溶かし、固定化をはかっています。
アルカリ性溶液にはアミンや炭酸カリウムといった物質を使用するのが一般的です。
物理吸着による炭素固定
物理吸収による炭素固定では、排気ガスを吸着剤に接触させ、二酸化炭素を吸着し固定化をはかっています。
吸着剤にはゼオライトや活性炭、アルミナなどを使用するのが一般的です。
炭化による炭素固定
炭化による炭素固定では、木や竹などを燃焼し、炭にして固定化をはかっています。
二酸化炭素を固定した炭は、水質浄化や土壌改良などに役立てることも可能です。
「バイオ炭」とも呼ばれ、コンクリートに混ぜるなど実用化が目指されています。
なぜ炭素固定が注目されているのか
地球の二酸化炭素は、私たち人間の暮らしや産業活動によって増え続けています。
そして、二酸化炭素の増加は地球温暖化に悪影響を及ぼすため、異常気象が発生したり平均気温が上昇したりしているのです。
一方、炭素固定を行うことで空気中の二酸化炭素を削減することができ、温暖化を防ぐ一助になると考えられています。
科学技術が発展し、自然現象としてだけではなく、人工的な方法でも炭素固定が可能となったため、いま注目を集めているのです。
炭素固定の今後の課題
植物やプランクトンなど、自然の力を利用した炭素固定は、地球温暖化を防ぐには効果が小さく、今後も研究や植樹などの努力が求められます。
産業活動による森林伐採などを防ぎ、豊かな自然に目を向けることも大切です。
また、人工的な炭素固定はコストパフォーマンスが低く、実用化にはまだ時間を要する可能性があります。
炭素固定の研究や開発を進めながら、CO₂の排出量を削減する取り組みが必要となるでしょう。
地球環境を考えるなら、電力会社の切り替えもおすすめ
炭素固定は環境対策のひとつですが、私たちが暮らしの中で実用化するにはもう少し時間がかかりそうです。
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※ 300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※ 杉の木一本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)
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炭素固定を理解して、地球の未来を考えよう
今回は、炭素固定の方法や課題、私たちが地球環境を守るためにできることについてご紹介しました。
炭素固定は自然の力や人工的な技術によって行われており、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を削減することが可能です。
一方、炭素固定は研究や開発が発展途上であり、実用化にはもう少し時間を要する可能性があります。
そのため、炭素固定ばかりに頼るのではなく、さまざまな方法で地球環境を守っていくことが大切です。
地球にやさしい暮らしを実現するなら、電力会社の見直しを行うという方法もあります。
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