暑さ指数とはどんなもの?
全国各地で猛暑日が増えている近年、「暑さ指数」という単語を耳にする機会が増えています。
「なんとなく聞いたことはあるけれど、意味は分からない……」という方も多いのではないでしょうか。まずは、暑さ指数の意味をご紹介します。
暑さ指数の意味
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)とは、熱中症予防を目的とした指標のことです。もともとは、1954年にアメリカで提案されました。
単位は気温と同じ摂氏度(℃)で表されますが、気温とは大きく意味が異なります。
気温が外の温度を表す数値である一方で、暑さ指数は人体と外気の熱収支に与える影響が大きい「湿度」「日射・輻射(ふくしゃ)などの周辺の熱環境」「気温」の三要素を取り入れた指標です。
暑さ指数の実況と予測値は、環境省の「熱中症予防情報サイト」で確認できます。
また、各都道府県内のどこかで暑さ指数の予測値が33(℃)以上になった場合は、前日17時・当日5時ごろに対象都道府県などに対し「熱中症警戒アラート」が発表されます。
各都道府県内の暑さ指数情報提供地点における指数が35(℃)に達すると予測された際には、前日の14時ごろに「熱中症特別警戒アラート」が発表されます。
熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートは、環境省と気象庁のWEBサイトで確認可能です。ほかにも、気象庁から報道機関や地方自治体に伝えられ、テレビ・ラジオ・天気予報サイト・防災無線などで熱中症警戒アラートの情報を受け取れます。
暑さ指数はいつから活用されている?
暑さ指数は、1954年にアメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練で、熱中症の危険を事前に判断するために開発されました。
1982年には労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)などにより、国際基準として規格化されています。
日本が暑さ指数を取り入れ始めたのは、1994年の(財)日本体育協会「熱中症予防の原則およびガイドライン」からです。
2013年には環境省により、暑さ指数のデータ提供や、日常生活での予測値の算出などを見られる「熱中症予防情報サイト」が作られるなど、私たちの生活にぐっと身近な存在となりました。
2020年からは、環境省と気象庁による暑さ指数の予測にもとづいた「熱中症警戒アラート」の試行が開始され、2021年には全国を対象に熱中症警戒アラートの本格運用が始まりました。
暑さ指数の計算方法
暑さ指数の算出式は、屋外・屋内によって異なります。
- 屋外の場合:暑さ指数=0.7×温球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
- 屋内の場合:暑さ指数=0.7×温球温度+0.3×黒球温度
※暑さ指数、湿球温度、黒球温度、乾球温度の単位は、摂氏度(℃)
暑さ指数は、以下の3つの測定装置による測定値をもとに算出されます。
- 黒球温度(GT:Globe Temperature):黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心に温度計を入れて観測するもの
- 温球温度(NWB:Natural Wet Bulb temperature):水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測するもの
- 乾球温度(NDB:Natural Dry Bulb temperature):通常の温度計を用いて、そのまま気温を測定するもの
上記の方法で算出された暑さ指数は、環境省の熱中症予防サイトにて公開されています。
注意すべき暑さ指数の目安
環境省「熱中症予防サイト」によると、暑さ指数が28(℃)=厳重警戒を超えると、熱中症のリスクが高まるといわれています。
暑さ指数が28(℃)以上になった際は、熱中症に特に注意しましょう。
危険な暑さ指数と注意すべき生活活動の目安は、以下のとおりです。
【日常生活の場合】
暑さ指数(WBGT) | 注意すべき生活活動の目安 | 注意事項 |
---|---|---|
危険(31℃以上) | すべての生活活動でおこる危険性 | 高齢者は安静状態でも熱中症発生のリスクあり。外出はなるべく避け、涼しい室内へ移動する |
厳重警戒(28℃以上31℃未満) | 外出時は炎天下を避け、室内では室温上昇に注意する | |
警戒(25℃以上28℃未満) | 中程度以上の生活活動でおこる危険性 | 運動や激しい作業をする際は定期的に充分な休息を取り入れる |
注意(25℃未満) | 強い生活活動でおこる危険性 | 一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時は発生する危険性がある |
【運動をする場合】
参考気温 | 暑さ指数(WBGT) | 熱中症予防運動指針 | |
---|---|---|---|
35℃以上 | 31℃以上 | 運動は原則中止 | 特別な場合を除き運動を中止する。 特に子どもの場合は中止すべき |
31℃以上35℃未満 | 28℃以上31℃未満 | 厳重警戒(激しい運動は中止) | 熱中症の危険性が高いため、激しい運動や持久走などの体温上昇しやすい運動は避ける。 10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。暑さに弱い人(※)は運動を軽減または中止 |
28℃以上 31℃未満 |
25以上 28未満 |
警戒(積極的に休憩) | 熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。 激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。 |
24℃以上28℃未満 | 21℃以上25℃未満 | 注意(積極的に水分補給) | 熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。 熱中症のサインに注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する |
24℃未満 | 21℃未満 | ほぼ安全(適宜水分補給) | 通常は熱中症の危険は少ないが、適宜水分・塩分の補給が必要 |
※暑さに弱い人とは、体力の低い人や肥満の人、暑さに慣れていない人のことを指します。
熱中症の原因や発生しやすい条件
熱中症が起こりやすい条件は、気温・湿度・強い日差しなどの環境条件のほか、暑さに慣れていないなどの身体の条件、長時間の屋外作業などの行動の条件の3つに分けられます。
特に注意したいのが、気温が高いときです。気温が高い日は身体の熱を外に逃がしにくくなり、熱中症の発生リスクが特に高まります。
2023年の日本の平均気温は、1991年~2020年の30年平均値から+1.29℃となっており、1898年の統計開始以降、最も高い値となりました。日本の平均気温は徐々に上昇しており、100年あたり1.35℃の割合で上昇しているのです。
日本の気温がここまで高くなったのは、地球温暖化が関係しています。地球温暖化は、CO₂などの二酸化炭素が大量に排出されて大気中の濃度が高まり、気温が上昇しているのが原因です。
二酸化炭素の濃度は1750年と比べて40%も増加しており、今後もさらに地球の気温が上昇すると予測されています。
地球温暖化を私たちが食い止めるには
熱中症の原因のひとつである気温上昇を食い止めるには、二酸化炭素の排出を減らすことが急務です。
世界各国が二酸化炭素の排出量を減らす取り組みを行っていますが、私たち一般家庭でも、工夫次第で普段の生活から二酸化炭素を減らせます。
例えば、エコな電気を選ぶことも、二酸化炭素の排出量を減らす行動の一つです。
電力自由化により、今では消費者が好きな電力会社を選べるようになっております。電力会社の選択肢も多く、環境に配慮した電気を取り扱っている会社も増えてきました。
どこの会社を選べばいいかわからないという人に知っていただきたいのが、新電力『エバーグリーン』です。エバーグリーンの電気は、電力使用によるCO₂がゼロになる点が特徴です。
エバーグリーンへの切り替えにより削減できる年間のCO₂排出量は、一般的な家庭で1,562kg-CO₂/年。これは、杉の木約112本が一年間に吸収する量に相当します。
※300kWh/月×12か月×0.434kg-CO₂/kWh(令和3年度全国平均係数)より算出
※杉の木一本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)
なぜ、切り替えだけでCO₂排出がゼロになるのかというと、FIT(※)電気に環境価値を持つ非化石証書を利用し、実質的に再生可能エネルギー100%での調達を実現しているからです。
※ FIT:再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社に再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけた制度。
エバーグリーンについて気になった方は、ぜひ公式サイトで詳細を確認してみてください。
暑さ指数を活用して熱中症を予防しよう
暑さ指数は、熱中症のリスクを数値で確認できる便利な指標です。熱中症が心配な季節は、なるべく暑さ指数をチェックして、熱中症予防に役立てましょう。
暑さ指数の詳細は、環境省「熱中症予防サイト」にて公開されています。お住まいの地域の暑さ指数をチェックしてみてください。
(出典)