ブルーカーボンとは?仕組みや企業の取り組み事例などをわかりやすく解説

ビジネス関連
2025年1月16日

ブルーカーボンは藻場などの海洋生態系に取り込まれた炭素のことで、地球温暖化防止に向けて活用が期待されています。ブルーカーボンの仕組みや、企業による取り組み事例などをわかりやすく解説します。

目次

ブルーカーボンとは?わかりやすく解説

ブルーカーボンの定義は

ブルーカーボンとは、沿岸や海洋の生態系が光合成によってCO₂を取り込み、その後、海底や深海に蓄積される炭素のことです。2009年に公表された国連環境計画(UNEP)の報告書「Blue Carbon」で紹介され、命名されました。

ブルーカーボンの主要な吸収源は大きく分けて4種類あります。1つ目は海草です。海草には、細長い葉のアマモやスガモなどがあります。2つ目は、胞子によって繁殖するコンブやワカメのなどの海藻。海草や海藻が育っている場所は、藻場と呼ばれています。

3つ目は、海岸にある湿地や干潟の塩性湿地です。ヨシなどが茂るほか、枯れた植物や動物の死骸が炭素となって貯留されます。4つ目はマングローブ林です。国内では沖縄などにあり、海底の泥の中に炭素などの有機物が堆積し続けます。

ブルーカーボンのCO₂吸収量はグリーンカーボンよりも多い

世界中の国がSDGsの目標達成や、カーボンニュートラルの達成を目指す中で、ブルーカーボンへの注目が急速に高まっています。その理由の一つは、陸上の森に吸収される炭素であるグリーンカーボンよりも、吸収している炭素の量が多いからです。

世界中で人間の活動によって排出されているCO₂の量は年間約96億トンとされています。そのうち、森の木々が19億トンを吸収しているのに対して、海中では藻場や干潟、マングローブ林などによって29億トンが吸収され、固定されています。

特に、海藻による吸収分は約10億トンに及ぶとみられていて、四方を海に囲まれている日本にとって、温暖化対策の新たな選択肢と見られているのがブルーカーボンです。

ブルーカーボンの仕組みとは

注目されているもう一つの理由は、炭素を固定する期間がグリーンカーボンよりも長いことです。木が炭素を吸収するのは、樹齢10年から30年の約20年間と言われています。ピーク時には1ヘクタールあたり5トンを毎日吸収するものの、木が倒れた後には分解され、炭素は空気中に戻ります。

これに対し、ブルーカーボンは次のような仕組みで炭素を固定します。まず、大気中のCO₂を光合成によって取り込みます。吸収量は、1ヘクタールあたり約5トンとみられ、そのまま貯留します。

CO₂を吸収した海藻などは流されたのち、海底に沈みます。炭素は数千年の単位で海の中に留まり続けることから、貯留効果が木よりも大きくなっています。これがブルーカーボンの仕組みです。

企業などによるブルーカーボンの取り組み事例

企業が実践するブルーカーボンの取り組み事例

ブルーカーボンへの注目が高まる中、ブルーカーボンを創出する取り組みを始めた企業があります。福岡県のトヨタ自動車九州は、「ブルーカーボン創出技術開発に向けた共同研究」を九州大学水産研究所とともに行っていて、藻場の再生や保全を進めています。

海藻の胞子を付着させるロープを、福岡県福津市周辺の海中に設置。海藻の繁茂状況や生育に適した条件を調査して、より多くの胞子が根付くロープの張り方や、メンテナンス頻度・方法などを探っています。

また、大阪湾の沖合5キロの場所を埋め立てて作られた関西国際空港では、護岸を活用して藻場を造成しています。空港島の周辺にはワカメやカジメなどの海藻が育っていて、大阪湾全域になる藻場のうち、約2割を占めるまでに拡大しました。

ブルーカーボン創出のため全国で進む藻場を守る取り組み

藻場の再生や保全の取り組みは、企業だけでなく、自治体や漁協などによって全国各地で行われています。その背景には、磯焼けなどによって、日本近海の藻場が減少していることがあります。

磯焼けの主な原因は、地球温暖化による海水温の上昇と言われています。海藻が育たなくなるほか、水温が下がらないためにウニが常に活発に活動して、芽吹いた海藻を食べ尽くすケースが全国で見られています。


このため、藻場を守るための活動として、藻場の再生だけなくウニの除去に取り組んでいる地域もあります。福岡県では漁協や県立水産高校の生徒らが共同でウニの除去を行うとともに、除去したウニの養殖に取り組んでいます。

ブルーカーボンの取り組みによるメリットとは

ブルーカーボンを創出する取り組みは、CO₂の吸収源を増やすこと以外にも、さまざまなメリットがあります。

ブルーカーボン生態系を守ることによって、水質が浄化されることが期待されます。藻場では魚の産卵が行われるほか、稚魚が育つなど、生物多様性を維持することや、水産資源を増やすことにもつながります。

また、干潟やマングローブ林は、教育やレジャーの場にもなります。ブルーカーボンの創出は、生活や文化にもプラスの影響を与えるのです。

ブルーカーボンのクレジット化と今後の課題は

ブルーカーボンクレジットとは

ブルーカーボンの活用方法として今後期待されているのが、ブルーカーボンクレジットです。これは、ブルーカーボン生態系が吸収したCO₂を定量化して、取引できる制度です。海外ではNGOなどの民間セクターが認証する、カーボンクレジットの仕組みが整備されてきています。

日本でもジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が、ブルーカーボンクレジットの「Jブルークレジット®」制度を創設して、2020年年度から運用しています。

企業や団体は第三者機関審査認証委員会が認証した炭素クレジットを購入することで、CO₂排出量を削減するカーボンオフセットを行うことができます。ただ、制度はまだ始まったばかりで、取引されたCO₂量は2021年度で64.5トンと少なく、平均単価も1トンあたり7万2816円と高いのが現状です。

ブルーカーボンの課題は

ブルーカーボンのクレジット化には課題もあります。それは、ブルーカーボンの評価の方法が現状では難しいことです。

クレジットを認定する機関は福岡市や横浜市などの自治体のほか、民間にもあるものの、海に潜って藻場の面積や海藻の量を測定するには、多額の費用がかかります。

この状況を改善するため、九州大学水産研究所などでは、現状よりも簡単に海藻の量や固定された炭素の量を算定できる技術の開発に取り組んでいます。

ブルーカーボンが地球温暖化防止の鍵に

ブルーカーボンにはまだまだ解決すべき課題は多いものの、今後活用が広がる可能性を秘めています。漁業者にとっては、藻場の再生による漁獲量の増加と、クレジット化による新たな収入源の確保が両立できることが期待されます。

一方で、CO₂排出量削減にカーボンオフセットを活用したい企業にとっても、海洋環境を守ることにもつながるブルーカーボンは、理想的なカーボンクレジットの一つと言えるでしょう。

藻場の再生は、今後日本全国でさらなる取り組みが進められるとみられていて、ブルーカーボンの活用は、日本が地球温暖化防止の取り組みを進める上で、大きな鍵を握りそうです。

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