【目次】
再生可能エネルギーの特徴
再エネへの取り組みはなぜ企業にとって重要なのか
■2050カーボンニュートラル
■再エネ政策の動向
■再生可能エネルギー市場の拡大
再生可能エネルギー導入のメリット
■企業価値の向上に繋がる
■ビジネス機会の創出
■地震、災害等非常時のエネルギー確保
■多種多様な環境イニシアティブ
再生可能エネルギーの課題
■発電コストが高い
■天候などによって発電量が左右される
まとめ
※この記事は、2020年6月22日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記・更新して2021年5月28日、2022年5月26日に再度公開しました。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・中小水力・バイオマス等といった温室効果ガスを排出せず、エネルギー源として永久使用することができる、つまり資源が無くならないと認められているエネルギーのことです。 再生可能エネルギーはパリ協定で掲げられている目標の実現に向けた取組の中でも代表的なものの一つで、日本を含む世界中の企業で導入が急速に進んでいます。
※再生可能エネルギーの定義:2009年7月1日に制定された「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)」においては、再生可能エネルギーについて、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永久的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。また政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存在する熱・バイオマスがそれに定められています。
再生可能エネルギーの特徴
再エネの特徴としては、主に以下の3つが挙げられます。
①エネルギー源が枯渇しない
前項でも述べた通り、再エネは資源が永久に枯渇しないことを条件の一つとして法律で定められています。
原油や石炭などといった化石エネルギーは限りある資源のため、勿論再エネではありません。
また、非化石エネルギー源に分類される原子力も、発電にはウランを必要とするため、再エネには該当しません。再エネには主に、太陽光、水力、風力、バイオマスといった自然をエネルギー源にしているものが定められています。
②温室効果ガスを排出しない
原油や石炭といった化石エネルギー源で発電する場合、燃料を焼却するために大量の温室効果ガスが発生します。それに対し、太陽光・風力・地熱・水力といった再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しません。
バイオマス発電※2についても、光合成によりCO2を吸収して成長する資源を燃料としているため、「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされています。
③様々な立地でエネルギー源を調達できる
前述したとおり、再エネは主に太陽や水、風といった自然のエネルギーに由来しています。
そのため、日本の豊かな自然や地形に合っており、日本のエネルギー自給率を高めるためにも重要です。
なぜ企業にとって再エネへの取り組みは重要なのか
国際機関の分析によると、2020年実績で日本の再生可能エネルギー発電導入容量は、中国、アメリカ、ブラジル等に次いで世界第6位です。(132GW)
また、そのうち太陽光発電の導入容量は、中国、アメリカに次いで第3位(72GW)となっており 、 全体の導入容量は未だ欧米諸国に遅れをとるものの、国内の再生可能エネルギーへの関心は着実に高まっています。
その背景には、電力使用や抑制においてIoT技術を活用する開発が進められていることや、中小企業による省エネ技術の開発が挙げられます。
また、政府によって補助金の交付や税制面での優遇措置、事業活動のための融資など支援制度が拡大していることも理由の一つです。
ではなぜ、再エネへの取組は企業にとって重要なのでしょうか。
■2050カーボンニュートラル
世界では日本を含む144以上の国と地域が、温室効果ガスの排出が実質ゼロの状態を目指すカーボンニュートラルを表明しています。
日本では、2020年10月に行われた菅総理の所信表明で、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言し話題を集めました。
カーボンニュートラルの実現は地球温暖化への対応となるだけでなく、ESG投資が加速しているビジネスシーンの潮流の変化も関係しています。
実際に日本では、地球温暖化計画の見直し、温対法の改正、カーボンプライシングの検討、再生可能エネルギー主力電源化の徹底などが行われており、官民が一体となっての取り組みが期待されています。
■再エネ政策の動向
2050年を見据え政府は、今までの発想にとどまらない大胆な政策的措置や方向性を示そうとしています。徹底した省エネ追求のほか、分散型エネルギーリソースの有効活用や再生可能エネルギーの主力電源化などがあげられます。
中でも期待されているのが再生可能エネルギーの主力電源化で、再生可能エネルギーの電力量の伸びは2012年以降約3倍に増加しており、世界平均を大きく上回っています。
まだコスト高な再生可能エネルギーですが、国民負担を抑えるため具体的には、地域と共生する形での適地確保や事業実施、コスト低減、系統制約の克服、規制の合理化、研究開発などを着実に進められています。
政府は、再生可能エネルギーのコストを他のエネルギーと比較して競争力のある水準まで低減させ、電力市場への統合を積極的に図っています。
■再生可能エネルギー市場の拡大
世界の再生可能エネルギー市場は年々拡大しており、将来の成長市場として期待されています。近年では先進国のみならず新興国の導入量も拡大しており、都市開発時のインフラの一つの要素として再生可能エネルギー導入が検討されるなど、今後ますます需要は高まる見込みです。
再生可能エネルギー導入のメリット
再生可能エネルギー導入のメリットには以下のようなものがあります。
■企業価値の向上に繋がる
再生可能エネルギーの導入は世界的な脱炭素化移行の流れに対する大きなアピールポイントとなり、しいては企業価値の向上に繋がります。後項でお伝えするRE100等のイニシアチブへの加盟は、その取り組みを裏付ける根拠として付加価値にもなります。
■ビジネス機会の創出
再生可能エネルギーは一つのビジネスとしても導入ポテンシャルが高く、企業は新規ビジネス機会の創出や既存のビジネスの幅を広げることができます。
例えば太陽光発電であれば、顧客のイニシャルコスト及び保守・管理作業を不要とする新たなビジネス形態を確立する企業や、小水力発電であれば、農業用水の未利用ポテンシャルを活用し発電事業を創出することで、電気代の負担軽減等に繋がった事例があります。
■地震、災害等非常時のエネルギー確保
近年の地震や台風等の大型災害の多発によって、再生可能エネルギーの導入は緊急用の電源としても注目されています。特に太陽光発電システムは、企業や一般住宅でも比較的簡単に設置できるため、蓄電池と組み合わせることで万が一のケースに備えて導入率も高まっています。
■多種多様な環境イニシアティブ
上でご紹介した通り再生可能エネルギーの導入は企業に様々なメリットをもたらします。特に対外的なアピールという点においては、環境イニシアティブに参加し、他企業と共に自社が環境問題に積極的に取り組んでいる姿勢をアピールする事も有用です。この記事では再生可能エネルギーの推進を掲げている環境イニシアティブを4つご紹介します。
●RE100
環境NGOのThe Climate Group(TCG) とCDPが主催する国際イニシアチブで、企業が事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットすることを目的としています。パリ協定以降、脱炭素化は国家だけでなく企業にとっても大きな課題となっています。
脱炭素化への取り組み自体が、企業価値に直結しており、投資家の判断材料の一つとしても重視されています。
再生可能エネルギーの導入は、まさしく脱炭素化への取り組みそのものであり、RE100への加盟はそうした取り組みの姿勢をアピールできる絶好の機会ともいえるでしょう。
(出典:RE100アクションミーティング ~RE100宣言企業・電気事業者とともに~|東京都環境局)
(出典:低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言(平成24年3月)| 環境省)
●RE Action
使用する電力の再生可能エネルギー100%化を宣言することはRE100と同じですが、違いは参加要件にあります。
RE100は大企業しか参加できませんが、RE Actionは中小企業も参加可能です。
そしてRE Actionの参加要件に「自社のHPで再エネについて宣言をすること」という要件があります。自社が環境問題に真剣に取り組んでいるアピールに繋がり、ESGの視点でみてもメリットがあります。
●TCFD
気候変動に関する企業の対応について情報開示をうながす「気候関連財務情報開示タスクフォース」(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)を指します。
銀行、保険会社など金融市場32名のメンバーで構成された民間主導の組織です。
2015年12月、G20の要請を受け金融安定理事会によって設置され、提言の賛同を表明した企業・機関数は全世界で2400を超えています。
賛同すると、気候変動が長期的に企業に及ぼす影響にどう対処していくのか適切な見直しができるほか、投資家へのアピールにもなります。
日本では、キリンホールディングスや三菱商事、環境省、金融庁も賛同しています。
●SBT
企業の環境問題への取り組みを示す目標設定のひとつで、2015年パリ協定で誕生しました。WWF、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアティブです。
気温上昇を2℃未満に抑える国際目標に整合し、長期的な目標設定が求められます。
日本のSBT認定企業は約164社で、アメリカ、イギリスに次ぐ3位です。
(出典:低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言(平成24年3月)| 環境省)
再生可能エネルギーの課題
これに対し、再生可能エネルギーには今後解決すべき以下のような課題があります
■発電コストが高い
太陽光発電や風力発電は、燃料費がかからない代わりに、工事費用や発電システムの基材調達などに費用が掛かります。また、平地が少ない日本ならではの問題として、広大な土地が必要なことも導入を進める上で課題となっています。
バイオマス発電に関しては、例えば木質バイオマス発電がありますが、木材を効率よく燃焼させるために乾燥させ、小さくチップ化する必要があります。また、木材を山から搬出する手間、搬出した木材を運び、チップに加工し、発電所まで輸送する手間など、木材自体の値段以外でも様々な部分でコストがかかります。
民間調査機関のデータによると、現状の発電コストは事業用太陽光発電で2019年13.1円/kWh、風力発電で2019年11.1円/kWh程度となっていますが、今後2030年に向けて事業用太陽光発電で5.8円/kWh、風力発電で6.6円/kWh程度まで下げる見通しが示されています。
(出典:国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案|資源エネルギー庁)
■天候などによって発電量が左右される
繰り返しになりますが、再生可能エネルギーは太陽光や風力など、自然のエネルギーを活用するため、天気や季節などによっては十分な発電量の安定供給ができない可能性があります。
電力の安定供給には需要量と供給量を一致させる必要があります。電力の需要と供給のバランスが崩れると、大規模な停電などに繋がるリスクも高まります。当面は、発電量の調整がしやすい火力発電等によって対応しますが、電力システム全体の改革によって、より強固な安定供給の確保を進めていく必要があります。
(出典:2019—日本が抱えているエネルギー問題(後編)|資源エネルギー庁)
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
再生可能エネルギーはビジネスにおいても既に重要なトピックスとして認識されており、今後ますます影響力を高めていくでしょう。今後、発電効率が向上すれば、化石燃料に代わる主要エネルギーになる可能性も十分にあります。再生可能エネルギー導入を検討している企業、未だ導入は考えていなかった企業も是非、参考にしてみてください。
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