蓄電池とは?活用方法についてご紹介します。

ビジネス関連
2020年8月17日

前回のコラムでは、卒FIT発電設備の活用方法として「電力会社へ売電」または「蓄電池を導入」という2つの方法をご説明しました。今回は、そのなかでも「蓄電池」に焦点をあてて蓄電池とは何か、活用方法についてご紹介します。

目次

【目次】

蓄電池とは

蓄電池の市場状況について

蓄電池の活用方法について

■余った電気を貯めておく

■電力系統の安定をはかる

■非常時の電源確保手段

■ピークカット・ピークシフトに役立てる

まとめ

蓄電池とは


蓄電池とは、1回限りではなく、充電を行うことで電気を蓄え、繰り返し使用することができる電池(二次電池)のことです。スマートフォンやノートPCなどに内蔵されているバッテリーもその一種です。蓄電池はその容量やサイズ、用途に応じて「家庭用蓄電池」と「産業用蓄電池」に分けられ、その中でも多種多様なスペックを持った蓄電池を、使用する環境や目的に合わせて選ぶことができます。また、昨今の環境問題への取り組みから需要が高まっている電気自動車(EV)も蓄電池を搭載しており、蓄電池の汎用性に注目が集まっています。

(出典:資源エネルギー庁)新規ウィンドウで開く

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蓄電池の市場状況について


蓄電池の需要は諸外国を中心に高まっています。
例えば米国では太陽光発電の大量導入に当たって調整力を確保するため蓄電池の導入補助金や市場取引制度などの施策に積極的です。
日本でも家庭用蓄電池に関しては長期の普及を図るため、補助金設計をkWhベースに変更を検討したり、自家消費促進のために必要な最適蓄電池コストについて分析が進んでいます。
IEA※によれば、2017年に世界で導入された蓄電システムは約120万kW(累積の場合、約350 万kW)でした。 国内においても、2018年度の出荷台数が7万台を超え、記録的出荷実績となりました。このうち、約9割は家庭用で、家庭の余剰電力の自家消費率向上に寄与することが期待されます。さらに、欧州では蓄電池の研究開発に関するプラットフォームが立ち上がるなど、世界的に蓄電システムの利用拡大を促進する動きが広がっています。

国内の定置用リチウム蓄電システムの出荷推移.jpg

※IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)

(出典:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000479.pdf)PDF

(出典:更なる再エネ拡大を実現するための
エネルギー需給革新の推進)
PDF

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蓄電池の活用方法について


先述したとおり、需要が年々高まっている蓄電池ですが、どのように活用すれば良いのでしょうか。例えば、以下のような活用方法があります。

■余った電気を貯めておく

火力発電や原子力発電の次に次世代エネルギーとして注目を集めている太陽光、風力などの再生可能エネルギーを需要以上に発電した際、使いきれない電気を蓄電池に貯めておくことで、必要な時に放電して利用することができます。また、再生可能エネルギーで発電した電気を固定価格で買い取る固定価格買取制度(FIT)の買取り期間終了後の「卒FIT」対策として、電力会社への売電の他に、蓄電池を使って自家消費として活用することもできます。

■電力系統の安定をはかる

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候によって出力が大きく変動するため、現在の電力系統※1に大量に導入された場合、電力系統に大きな負荷をかけてしまいます。
そのため、メガソーラー発電所に蓄電池を併設するなど、再エネの出力平準化に利用することができます。
電力系統を安定させるために、VPP※2やネガワット取引※3のように、家庭やオフィスの蓄電池を活用することもできます。

※1 発電や送電などに使う電力設備が構成するシステム全体のこと。
※2 バーチャルパワープラント(仮想発電所)といい、工場や家庭などが有する分散型の小規模なエネルギーリソースを、IoTを活用した高度なエネルギーマネジメント技術によりこれらを束ね、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用すること。
※3 需要家の節電により余った電力を、発電したことと同等にみなす考え方のこと。

■非常時の電源確保手段

蓄電池は災害時での非常用電源を確保するためにも活用できます。
中小企業庁の2019年度の資料によると、日本の自然災害の発生件数と被害はこの数十年増加傾向にあります。

自然災害発生件数及び被害額の推移.jpg

(出典:中小企業庁:2019年版「中小企業庁白書」)PDF

災害時にもっとも困るのは、電力の供給がストップすることです。
停電はもちろん、冷蔵庫、電子レンジ、パソコンなどの家電製品も稼働できなくなるほか、充電も出来なくなります。
そんな時に蓄電池の電気を貯蓄しておくと、安定した電力を供給することが出来ます。

また、環境省の2020年の資料によると、2016年に発生した熊本地震の経験を踏まえ、福祉施設に欠かせない「水」の確保を専用の蓄電池で実現した例もあります。この事業によって、年間53万円のエネルギーコストの削減に成功し、非常時における水と電力の確保はもちろん、停電・復帰の電力切り替えを自動化することで、従事する職員の負担を軽減し非常時の避難誘導などの業務に専念することができました。

(出典:環境省:「エネルギー対策特別会計補助事業わかりやすい活用事例集(抜粋版)」) PDF

■ピークカット・ピークシフトに役立てる

ピークカットとは、日単位または年単位電力需要のピークを低く抑えることです。
電力需要が減少する休日や夜間など、あまり電力を使わないときに蓄電池に電力を貯め、電量を多く使う時間帯に放電することで、購入電力の最大量(ピーク電力)を削減する「ピークシフト」にも役立てられます。

(出典:資源エネルギー庁 知っておきたいエネルギーの基礎用語 ) 新規ウィンドウで開く

まとめ


いかがでしたでしょうか。蓄電池はただ電気を貯めるだけでなく、緊急時の放電や卒FIT対策など様々な活用方法があります。環境省や資源エネルギー庁などでは蓄電池に関する最新の情報を発信しておりますので、定期的に確認することをおすすめします。

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