【目次】
需要が高まっている背景
太陽光発電導入のメリットと課題
太陽光発電設備設置に関する法制上の取り扱いについて
■出力50kW以上の太陽光発電設備の場合
■出力50kW以下の太陽光発電設備の場合
まとめ
太陽光発電とは
太陽光発電とは、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。
国内の導入率は、近年着実に伸びており、太陽光発電導入量の実績では、中国、アメリカに次ぐ世界3位となり、2017年実績で55,069GWhに達しました。
(出典:資源エネルギー庁|国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案)
太陽光発電の導入が高まっている背景
太陽光発電の導入が高まっている背景には、世界的な環境問題への取り組みの流れがあります。
2015年に採択された「パリ協定」によって、世界は脱炭素化社会の実現に向けて一気に走り始めました。金融分野では、環境(Enviroment)・社会(Social)・企業統治(Governance)を重視するESG投資 が拡大しました。
この流れを受けて産業界でもグローバル企業を筆頭にRE100 などに加盟し、積極的に再生可能エネルギー を導入、利用する企業が増加しています。
日本政府も、パリ協定への対応として、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)に基づく、地球温暖化対策計画を2016年に策定しました。
その中では、中期・長期的目標を設定しており、長期目標では、「我が国は、パリ協定を踏まえ、全ての主要排出国が参加する公平かつ実効性ある国際枠組みの下、主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むよう国際社会を主導し、地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す。このような大幅な排出削減は、従来の取組の延長では実現が困難である。したがって、抜本的排出削減を可能とする革新的技術の開発普及などイノベーションによる解決を最大限に追求するとともに、国内投資を促し、国際競争力を高め、国民に広く知恵を求めつつ、長期的・戦略的な取組の中で大幅な排出削減を目指し、また、世界全体での削減にも貢献していくこととする」としています。
これらの目標を達成するためには、「再生可能エネルギーの最大限の導入をはじめとする徹底した省エネルギーの推進が必要」とし、
太陽光発電は、風力発電や地熱発電等の他の再生可能エネルギーに比べ大きな発電設備を必要とせず、企業や家庭でも導入しやすいという利点から、エネルギー自給率の低い日本の国産エネルギーとして重要な位置づけを占める可能性があります。
(出典:環境省|平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書)
太陽光発電導入のメリットと課題
太陽光発電導入のメリットには以下のようなものがあります。
1) 他の再生可能エネルギーと比較して導入しやすい
エネルギー源が太陽光のため、基本的には設置する地域に制限がなく、導入しやすいシステムと言えます。
2) 用地を占有することなく発電することが可能
屋根、壁などの未利用スペースに設置する場合には、新たに用地を用意する必要がありません。
3) 遠隔地の電源として活用できる
送電設備のない山岳部や農地などの遠隔地での電源として活用することができます。
4) 非常用電源として
蓄電池などと組み合わせることにより、災害時などには、貴重な非常用電源として使用することができます。
上記のメリットの他に、これから解決すべき課題として、気候条件により発電出力が左右されることがある点、導入コスト、が挙げられます。
導入コストは次第に下がってはいるものの、今後の太陽光発電の更なる導入拡大のために、低コストに向けた技術開発が重要になります。
(出典:資源エネルギー庁|「平成29年度エネルギーに関する年次報告」 (エネルギー白書2018))
太陽光発電設備設置に関する法律上の取り扱いについて
では、実際に太陽光発電設備を導入するとなると何が必要なのでしょうか。
ここでは、出力50kW以上と出力50kW以下の各太陽電池発電設備を設置する上で留意すべきことをご紹介します。
■出力50kW以上の太陽光発電設備の場合
出力50kW以上の太陽電池発電設備は電気事業法上、発電用の電気工作物(発電所)となり、「自家用電気工作物」になります。(電力会社などの電気事業用のものは除く)
自家用電気工作物を設置する者には以下の義務が発生します。
1) 経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務。(法第39条)
2) 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めて届け出る義務。(法第42条)
3) 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務。(法第43条)
(その太陽電池発電設備が高圧以下で連系する出力2,000kW未満の場合は、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て自家用電気工作物に関する保安管理業務を外部に委託することもできます。)
4) その太陽電池発電設備が出力2,000kW以上の場合は、設置工事の30日前までに工事計画届出書を届け出る義務。(法第48条)
5) その太陽電池発電設備が出力500kW以上2,000kW未満の場合は、使用の開始前に技術基準に適合することを自ら確認し、その結果を届け出る義務。(法第51条の2)
■出力50kW以下の太陽光発電設備の場合
出力50kW以下の太陽光発電設備は、電気事業法上は小出力発電設備となり、「一般用電気工作物※」になります。
設置する際は電気工事士法に基づき電気工事士(第一種又は第二種)が工事を行う必要があります。
一般用電気工作物の場合、届出等の手続きは不要ですが、経済産業省令で定める技術基準をクリアする必要があります。
ただし、自家用電気工作物と太陽電池発電設備の間に電気的な接続がある場合は、太陽電池発電設備は自家用電気工作物※になります。
また、施設方法によっても自家用電気工作物となる場合があるため注意が必要です。
なお、自家用電気工作物として扱う場合は、設置に伴う電気工事について、電気工事士等(第一種又は認定電気工事従事者)が作業を行わなければなりません。また、電気工事にあたっては、電気工事業法に基づき、電気工事業法の登録等を行った工事業者が施工する必要があります。
※一般用電気工作物:600V以下の電圧で受電し、その受電場所と同一の構内で電気を使用する電気工作物です。一般的には、一般家屋、商店等の屋内配線設備などの電気工作物が該当します。 また、上記と同一の構内に設置される太陽光発電システム等の小出力発電設備(600V以下で出力が50kW未満の設備)も一般用電気工作物となります。(東京都の場合)
※自家用電気工作物:電気工事士法及び電気工事業法において、自家用電気工作物とは、電気事業法に規定する自家用電気工作物のうち、最大電力500kW未満の需要設備をいいます。一般的には、中小ビルの需要設備などの電気工作物が該当します。(東京都の場合)
※電気工事業法:電気工事業の業務の適正化に関する法律。
電気工事業を営もうとする者(自家用電気工作物に係る電気工事のみに係る電気工事業を 営もうとする者を除きます。)は、営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けな ければなりません。 なお、二以上の都道府県の区域内に営業所を設置して電気工事業を営もうとするときは、 経済産業大臣の登録を受けなければならないので、注意が必要です。(東京都の場合)
(出典:東京都環境局|これだけは知っておきたい!電気工事業を営む皆さんの手引き)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現状、日本の電源構成はまだまだ火力発電など再生可能エネルギー以外のエネルギーに依存している状況ですが、政府も2018年の「第5次エネルギー基本計画」で、2030年度までに火力発電の割合を56%に縮小する目標を掲げるなど、今後ますます太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの需要は高まっていくでしょう。
これから の企業活動について見直すきっかけになれば幸いです。
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