企業の再エネへの切替、導入どう進める?取り組み方法と事例

ビジネス関連
2020年10月26日

再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しない新たなエネルギーとして注目されています。環境に優しいだけでなく、導入することにより環境への取り組みをアピールできることで企業価値の向上にも繋がります。既に取組を始めている企業も多くありますが、今回は再生可能エネルギー導入の取組を証明する方法、実際の企業の取り組み事例をご紹介します 。

目次

【目次】

再生可能エネルギーとは

企業の再エネ導入を促進する方法

■環境イニシアチブへの参画

■環境規格の取得

■J-クレジット・非化石証書等の活用

再エネの導入に取り組む企業のCSR例

まとめ

※この記事は、2020年10月26日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記‧更新して2021年7月30日、2022年1月31日に再度公開しました。

再生可能エネルギーとは


再生可能エネルギー(以下、再エネ)とは、温室効果ガスを排出しない自然由来のエネルギー源のことです。
太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといったものがそれにあたります。

再エネは、温室効果ガスを排出しないといったメリットの他に、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与するエネルギー源といわれています。また、2016年に発効したパリ協定で合意された「2℃目標」や温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量のバランスを取ることの実現に貢献できるとして、注目が高まっています。

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再生可能エネルギーとは?企業のメリットと今後の課題

(出典:資源エネルギー庁 再生可能エネルギーとは)

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企業の再エネ導入を促進する方法


現在使用している電力を再エネに切り替えることで、パリ協定が掲げる目標の達成に貢献できるだけでなく、投資家や取引先企業への環境への取り組みをアピールできることで、企業価値の向上にも繋がります。ここでは、事業運営を再エネで行っていることを証明できる様々な方法についてご紹介します。

■環境イニシアチブへの参画

・RE100
RE100とは、2014年に結成した事業運営を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ(企業連合)です。We mean business※の一部として、CDP※とのパートナーシップのもと、国際非営利組織The Climate Groupが運営しています。

※We mean business:企業や投資家の温暖化対策を推進している国際機関やシンクタンク、NGO等が構成機関となって運営しているプラットフォーム。構成機関は、このプラットフォームを通じて連携しながら、ネットゼロ、エネルギー、都市、土地、産業、実現、回復力といった7つの領域において計12種の取組を広める活動を行っている。

※CDP:投資家、企業、国家等が自らの環境影響を管理する為の情報開示システムを運用し、環境問題の解決に向けて取り組む国際NGO

RE100への参加、認定には様々な要件をクリアする必要があり、例えば世界的に認知、信頼度が高い企業であること、電力消費量が年間50GWh 以上であること等があります。また、遅くとも2050年までに再エネ100%での事業運営を実現させること、目標達成までの中間目標を設けて毎年進捗報告を行うことが求められています。
日本では主に大企業が対象となり、リコー、富士通グループ、イオン等、2021年12月20日の時点で63社が参加しています。

もっと詳しく
RE100とは?加盟条件と再エネ100%を達成する方法、及び中小企業向けのRE Actionについてご紹介

(出典:東京都環境局 環境省・みずほ情報総研作成資料 RE100(再エネ100%目標)について)

・中小企業などを対象にした再エネ100宣言 RE Action
RE100は、主に大企業を対象にしているとお伝えしましたが、国内の約半数を占めているともいわれている中小企業はこのようなイニシアチブに参加できないのでしょうか。

こうしたRE100への参加が難しい企業のために2019年に誕生したのが「再エネ100宣言 RE action」(以下、RE action)です。RE actionは、RE100の日本窓口を務めるJCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)をはじめとする国内の大手4団体が共同で立ち上げた日本独自のイニシアチブです。RE actionは、参加対象を「電力消費量が年間50GWh未満の需要家」としており、RE100の基準を満たさない中小企業も参加できる仕組みになっています。また、RE actionは企業だけでなく、行政機関、教育機関などの地方自治体も参加することができます。2021年10月31日現在で、参加団体数は200団体となっており、今後も参加する企業、需要家は増えるでしょう。

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再生可能エネルギーへの取組に興味のある中小企業、地方自治体の事業者さまに知ってほしい「再エネ100宣言 RE action」とは?

(出典:再エネ100宣言 RE action HP)

・TCFD
TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、気候変動に関する企業の対応について情報開示をうながす「気候関連財務情報開示タスクフォース」のことです。

TCFDは、銀行、保険会社、資産管理会社、大手非金融企業、信用格付機関など世界中の経済、金融市場のメンバー32名によって構成された民間主導の組織で、金融システムの安定化を図る国際組織「金融安定理事会(FSB)」がG20から要請を受けて2015年に設置しました。

TCFDは、気候変動への企業の取り組みに関する情報開示について、2017年6月に提言をまとめた最終報告書を公表し、その中で企業に対し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4項目について、自社への財務的影響のある気候関連情報を開示するよう求めています。

TCFDに賛同することで、地球温暖化をはじめとする気候変動への取り組みを投資家などにアピールすることができます。また、もし非財務情報と財務情報を合わせた「統合報告書」等が既にある場合、それを情報開示媒体として活用することも可能です。
更にTCFDへの賛同企業には、「TCFDコンソーシアム」に参加する権利が与えられ、そこで他企業と情報交換を行うことができ、一種のビジネスネットワークとしても活用できます。

TCFDについて詳しくはこちら

■環境規格の取得

・ISO14001
ISOの国際規格は企業が作る製品の仕様や業務の基本的な手順を各国で統一し共通化することを目的に設立されました。そんなISO企画の内の一つであるISO14001は、環境マネジメントシステムの仕様を定めた国際規格です。規格に法的拘束力はありませんが、ISO14001のもと、組織や企業は継続的に環境対策を改善することが求められます。

ISO14001の基本的な構造は、PDCAサイクルに則り、環境マネジメントのレベルを継続的に改善していこうというものであり、その基本的な流れは、下の図のようになっています。また、方針の策定などに最高経営層の責任ある関与を求め、トップダウン型の管理を想定していることも特徴です。

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ISO14001を取得した組織や企業は、環境に配慮した活動を行っていることを国際的に認められ、自社のイメージアップに繋げることができます。

(出典:ISO14001|環境省)

・エコアクション21
エコアクション21とは、環境省によって策定された環境経営を支援し、企業価値を向上させる日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)です。
エコアクション21は、環境省によってガイドラインが明確に定められており、PDCAサイクルを基礎として、組織や事業者等が環境保全への取り組みを自主的に行うための方法を定めています。そのため、中小企業等であってもPDCAに則り、比較的容易に環境への総合的な取組がしやすい点が特徴の一つです。また、SDGsに向けた取組としても高く評価されています。

エコアクション21について詳しくはこちら

■J-クレジット・非化石証書等の活用

再エネ100%での事業運営を達成している企業の中には、J-クレジット制度や非化石証書等、環境価値を取引する制度を活用している企業も多数存在します。
Jクレジットや非化石証書は条件付きでRE100やSBT、CDPに対して再エネ調達量として報告できるからです。
また、こうしたイニシアチブへの活用の他に、温対法や省エネ法への活用、CO₂を削減しているという実績を得ることから、企業価値の向上に繋がるなど汎用的な活用が可能です。

もっと詳しく
環境価値を取引する3種類の証書(Jクレジット制度・非化石証書・グリーン電力証書)とは?活用方法についてご紹介します。

(出典:再エネ100宣言 RE action HP)
(出典:J-クレジット制度 |経済産業省 )
(出典:2018年5月から始まる「非化石証書」で、CO2フリーの電気も購入可能に? |資源エネルギー庁)

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再エネの導入に取り組む企業のCSR例


では、再エネの導入に取り組んでいる企業は具体的にどんなことを行っているのでしょうか。ここでは、いくつかの事例をご紹介します。

■山田建設株式会社:敷地内で発電し、自家消費する
・太陽光パネル4.9kWを社屋に導入し、太陽光発電 を実施
・自家消費後、電気自動車へ充電し余剰は売電
・V2H機器(車から家への充電)を導入しており、昼夜太陽光の電力を使用することにチャレンジ
・J-クレジット も活用し、事業所と建設現場の電力について、再エネ100%、脱炭素を実現

■杜陵高速印刷株式会社:再エネ主体の電力を購入
・トラッキング付非化石証書 を活用した再エネ100%プランを契約したことにより、従前の一般電気事業者よりも電気料金を安くできた
・コスト増加することなく、再エネの導入に成功

■エコワークス株式会社:再エネ主体の電力を購入
・事業所、モデルハウスについて、トラッキング付非化石証書を活用した再エネ100%プランを契約
・モデルハウスについては、太陽光パネルを設置し、FIT売電。売電終了後は、自家消費予定。
・再エネ電力切り替え前と同程度のコストで実現

関連コラムはこちら
電気は「自分でつくる時代へ」需要が高まる太陽光発電についてご紹介します

FIT制度とは?導入の背景と関連する再エネ賦課金について紹介

(出典:再エネ100へ【事例紹介】| 再エネ100宣言 RE Action協議会)

まとめ


今日は再エネの取組を証明する方法として4つの代表的なイニシアチブと、企業の実際の取組事例をご紹介しました。
2050年までにカーボンニュートラルの実現を掲げる日本において、再エネの需要は今後より一層高まると考えられます。
各環境イニシアチブ、環境規格の取得、Jクレジット等の活用、また実際の取り組み事例を参考に、今後の事業運営について考えてみてはいかがでしょうか。

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