【2024年最新情報】省エネ法について改正内容も含めて詳しく解説

ビジネス関連
2020年11月27日

日本では省エネ法を制定して、長きにわたり省エネへの取組を進めています。今回は省エネ法がどのような法律なのか、また、どのように改正されてきたのかなどについて2024年の最新情報も含めてお伝えします。

目次

【目次】

省エネ法とは

改正省エネ法の概要は

省エネルギーの判断基準と省エネ法の今後は

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※この記事は、2020年11月27日に公開した記事ですが、2022年5月26日、2023年6月30日と10月31日、2024年4月16日に文言やデータ、その他の部分も追記・更新して公開しました。

省エネ法とは

省エネ法の目的とは

省エネ法とは、1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下省エネ法)のことです。元々はオイルショックを契機として、工場、輸送機関等においてエネルギーを効率的に利用していく目的※で制定されました。

※目的の定義:内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置、電気の需要の平準化に関する所要の措置(2013年改正時に導入)その他のエネルギー使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与すること

(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)

省エネ法の対象となるエネルギーは

省エネ法においては、燃料、熱、電気の3つをエネルギーとしています。逆にそれらに該当しない廃棄物からの回収エネルギーや風力、太陽光等の非化石エネルギーは対象となりません。

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(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)

省エネ法で特定事業者の届出が必要な定期報告書とは

省エネ法がエネルギー使用者へ直接規制する事業分野としては、工場・事業場及び運輸分野があります。規制は、エネルギー使用者への直接規制と間接規制の2つがあり、直接規制の対象者の中には、更に省エネ取組の判断基準を達成するための努力義務を負う者と、一定規模以上の事業者には、エネルギー使用状況等の報告を義務付けています。
間接規制は機械器具等(自動車、家電製品や建材等)の製造又は輸入事業者を対象としており、機械器具等のエネルギー消費効率の目標を示して達成を求めています。直接規制、間接規制どちらの対象者にも、取組が不十分な場合には指導・助言や合理化計画の作成指示、勧告等を行っています。

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(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)

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改正省エネ法の概要は

省エネ法による原油換算5,030万klの削減目標 

省エネ法とは何か、その対象者等について説明しましたが、政府はどのような取組をしているのでしょうか。これまでの省エネ取組とこれからの政策の動向についてご紹介します。

オイルショック以降、2015年時点で日本の実質GDPは2.6倍になった一方最終エネルギー消費量は運輸、家庭、業務、産業全体で1.2倍に増加しました。経済成長と世界最高水準の省エネを同時に行ってきた国と言えるでしょう。
今後さらにエネルギー消費量を抑えつつ経済を成長させるべく、日本はエネルギーミックス(長期エネルギー供給見通し)における省エネ対策として、2030年度に最終エネルギー需要を対策前と比べて原油換算5,030万kl程度削減することを掲げました。この目標を達成するためには、オイルショック後並みのエネルギー消費効率の改善が求められます。

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2019年度時点では、全体のエネルギー需要は基準年である2013年度比で1,657万kl削減しており、進捗率は32.9%です。

また各部門別に見ると、産業部門や業務部門においてはLEDなどの導入が比較的進んでいるものの、大規模な投資を伴う省エネ設備の導入は遅れているのが現状です。

運輸部門では、乗用車の燃費が上がったことにより旅客輸送分野での省エネが大幅に進んでいますが、今後宅配貨物の増加や企業間取引における貨物輸送の少量・多頻度化等によって輸送量はより一層増える見込みがなされているため、取組を強化する必要があります。

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(出典:資源エネルギー庁 省エネ政策の動向)

(出典:資源エネルギー庁 省エネルギー政策の進捗と今後の方向性)

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改正省エネ法のポイントは

省エネ法は改正を重ねています。ここでは2023年4月に施行された改正省エネ法のポイントを見ていきます。

改正は、2020年10月に政府が宣言した「2050年カーボンニュートラル」と、2030年度までに2013年度と比べて温室効果ガスを46%削減する目標の実現に向け、政策を転換することを大きな目的にしています。あわせて、安定的なエネルギー供給を実現するための制度の整備などが盛り込まれました。

ポイントの1つは、省エネルギーの促進です。全てのエネルギーについて、使用の合理化を事業者に求めることになりました。規制と補助金などのインセンティブを組み合わせることで、省エネをさらに深掘りしていきたい考えです。もう1つは、非化石エネルギーへの転換を促進することです。工場などで使用するエネルギーについて、化石燃料を使用したエネルギーから非化石エネルギーへの転換を企業に求めています。また、一定規模以上の企業や事業者に対しては、非化石エネルギーへの転換に関する中長期的な計画の作成を求めています。

具体的には、工場などの設置者や、輸送事業者・荷主に対し、省エネの取り組みを実施する際の目安となるべき判断基準を示すとともに、一定規模以上の事業者にはエネルギーの使用状況などの報告を指示します。取り組みが不十分な場合には指導・助言や合理化計画の作成などを指示します。

報告が義務化されるのは、工場・事業場ではエネルギー使用量が年間1500kl以上の特定事業者です。運輸では、保有するトラックなどの車両が200台以上の特定貨物事業者と、旅客輸送事業者、それに年間輸送量が3000万トンキロ以上の特定荷主です。

取り組みの評価は、エネルギーの消費効率が年平均で1%以上改善されているかどうかです。取り組みが著しく不十分と判断された場合は、国による指導や立入検査、合理化計画の作成指示、公表、命令、罰金などが課されます。

2024年は改正建築物省エネ法が施行
 

また、建築物省エネルギー法も改正され、2022年6月17日に公布されました。正式には「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上等の一部を改正する法律」で、住宅や建築物の省エネルギー対策を強力に進めることが目的です。 
 
これまでは中規模と大規模の非住宅に省エネ基準適合を義務付けていましたが、改正によって小規模から大規模まで、非住宅から新築住宅まで全ての建物に省エネ基準適合を義務付けることになりました。中小工務店や審査をする側の体制整備などに配慮して、十分な準備期間を確保しつつ、2025年度までに施行されます。 
 
2024年4月1日からは、改正建築物省エネ法のうち、建築物の省エネ性能表示制度が新たに始まります。建築物の販売や賃貸を行う事業者は、新築建築物の販売や賃貸をするときに、定められたラベルで省エネ性能を表示することが努力義務になります。他にも、原則として全ての新築住宅と非住宅に省エネ基準適合を義務付けることなどが施行されます 

政府が2050年のカーボンニュートラルの実現を掲げていることで、今後も省エネ法の規制の見直しや強化が行われていくことが予想されます。

(出典:資源エネルギー庁|時代にあわせて変わっていく「省エネ法」)

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省エネルギーの判断基準と省エネ法の今後は

省エネの判断基準とランキング制度

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省エネコミュニケーション・ランキング制度とは、経済産業省・資源エネルギー庁が、全国の電力・ガス会社(都市ガス、LPガス)が一般消費者に対して行っている省エネ情報の発信の内容を調査し、評価する制度です。

この制度は、一般消費者が電力・ガス会社を選択する際の参考にでき、提供された省エネ情報をもとに、より一層省エネに取り組んでもらうこと、また、電力・ガス会社による更なる情報提供を促すことを目的としており、2021年から試験的に運用が開始され、2022年から本格運用されます。

評価基準は省エネに役立つ情報の「提供内容」と「提供方法」の2つがあります。

「提供内容」では、毎月の消費量の前年同月値や過去1年間の月別消費量及び料金、エネルギーのみえる化、類似世帯との比較などが対象になります。

「提供方法」では、「提供内容」の基礎点とされた内容の情報の閲覧率を高める工夫を行っているか、属性にあった情報を提供しているか、などが評価基準になります。

評価はひと目で分かるよう、星の数で表され、最終的な得点は、星の数5段階で評価され ます。

スライド2.JPG(出典:評価における配点の表 経済産業省 資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/ranking/

これらの項目を網羅するのは簡単なことではなく、2021年度は「1つ★」の事業者がもっとも多い結果となりました。最高評価の「5つ★」は小売電気事業者88社のうち11社、都市ガス小売事業者は70社のうち2社でした。

省エネ法と省エネポータルサイト

会社名と評価は、承諾を得た企業のみが経済産業省が運営する省エネポータルサイトに掲載されます。

会社名が確認できるのは主に4つ★以上の会社ですが、需要家は契約をしている、または契約を検討している電気・ガス会社が高評価かどうかすぐに確認することが可能です。

また、省エネコミュニケーション・ランキング制度の開始により、発信する情報内容の充実はもちろんのこと、属性に合う情報がわかりやすく届けられているかなど提供方法の検討も求められています。

省エネ法の今後は

日本は40年以上に渡り、省エネに取り組み続けるなかで常に進展を図ってきました。しかしながら、エネルギーミックスの目標を達成するためにはまだまだクリアすべき課題があります。

省エネ法は時代やその時の状況に応じて改正を重ねてきて、その流れは今後も続くことが予想されます。今後もより一層省エネの取組を進めていくために、事業者1人1人の引き続きの対応が求められます。

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