革新的な取り組み「カーボンリサイクル」
カーボンリサイクル とは
カーボンリサイクルとは、「CO₂を資源として捉え、これを分離・回収し、鉱物化や人工光合成、メタネーション※による素材燃料への再利用等とともに、大気中へのCO₂排出を抑制する取組です。CO₂を利用する方法としてCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)と呼ばれる分離・貯留したCO₂を利用する方法があり、例えばCO₂を利用して、ウレタンやポリカーボネートといった化学製品の製造、光合成をおこなう微細藻類を使ったバイオ燃料などに利用することが考えられています。
カーボンリサイクルは、地球温暖化をはじめとする環境問題の解決に向けて、再生可能エネルギー 、省エネルギー、CCS※などとともに、鍵となる取組の一つと期待されています。
※メタネーション:火力発電所などから排出され、分離・回収したCO₂と、水の電気分解などで生成される水素を、触媒を充填した反応容器内で反応させることで、メタンを合成する技術。
※CCS:「Carbon dioxide Capture and Storage」の略。発電所や化学工場などから排出されたCO₂を、ほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入する方法。
(出典:資源エネルギー庁|未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に)
(出典:資源エネルギー庁|知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」)
カーボンリサイクル製品の普及に向けた取り組み
CO₂の削減をさらに進めるための革新的な取組として注目されているカーボンリサイクルですが、排出源からCO₂だけを分離、回収する過程で大きなエネルギーを必要とするため、多大なコストが掛かります。また、CO₂は化学的にみると非常に安定しており、お互いの原子の結びつきが強いため、再利用するために「C」と「O」に分離したり、他の原子と結合させるなどの加工にもエネルギーやコストの他、高度な技術が必要になります。
こうした取り組みを国が率先して推進していくため、経済産業省では、省内に「カーボンリサイクル室」を設置しました。また、カーボンリサイクル製品の実用化に向けて「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を作成、2019年6月に正式に公表しました。
(出典:資源エネルギー庁|日本発の革新的なCO2削減対策を世界へ~「カーボンリサイクル産学官国際会議」)
カーボンリサイクルの技術ロードマップ とは
技術ロードマップ の3つのフェーズ
カーボンリサイクル技術ロードマップでは、「現状~2030年頃まで」「2030年~2050年頃まで」「2050年以降」と3つのフェーズに分けてそれぞれで行う取組が掲げられています。
2030年頃までのフェーズ1では、「カーボンリサイクルに役立つあらゆる技術について開発を進める」としています。
2030年以降、2050年頃までのフェーズ2では、CO₂利用の拡大にフォーカスしていきます。この頃は既にポリカーボネートや液体のバイオ燃料は普及しはじめ、コンクリート製品についても道路ブロックのような小さな製品は普及しはじめていると予想されています。しかし、これらの製品だけではCO₂の利用量はまだまだ限定的なため、特に需要の高い汎用品をつくる技術について、重点的に開発を進めるとしています。
またその一方で、CO₂を分離・回収する技術の低コスト化にも取り組む予定です。
2050年以降のフェーズ3では、技術開発の更なる低コスト化を目指しています。
具体的には、CO₂を分離・回収する技術は、コストを現状の4分の1以下まで下げることを目標としており、ポリカーボネートなどの既存の製品は消費が拡大し、一方でオレフィンやガス燃料、汎用品のコンクリート製品はこの頃から普及しはじめる予測が立てられています。
技術ロードマップ に求められる柔軟な対応
ロードマップについては、状況に応じて柔軟な対応が必要です。そのため、カーボンリサイクル産学官国際会議などを通じて得られた国際的な技術の状況や新しい提案を踏まえて柔軟に技術の追加を行うとともに、5年を目安として「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」の改訂等の動きを見ながら、必要に応じて見直されます。
(出典:資源エネルギー庁|未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に)
カーボンリサイクルの3Cイニシアティブとは
カーボンリサイクルを先進国や途上国と共有
カーボンリサイクルを先進国や途上国などにも共有し、普及・促進をはかる目的として、経済産業省とNEDO※による「第1回カーボンリサイクル産学国際会議」が2019年9月に開催されました。
日本発信で開催されたこの国際会議には、米国、オランダなどの先進国をはじめとする20の国・機関が参加しましたが、日本は、国内のカーボンリサイクルへの今後の取り組みについて、以下の3つのアクションを推進する「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」を発表しました。
カーボンリサイクル 3Cイニシアティブが推進するアクション
1) “C”aravan(相互交流の促進)
国際エネルギー機関(IEA)の開催する「CCUSに関する会合」など関係する国際会議に積極的に参加することなどを通じて、「カーボンリサイクル」の意義や重要性を国内外に普及、理解促進をはかる。また、実際の研究開発に携わる欧米やアジア各国の研究者などとネットワークを構築し、海外の研究者などが来日する機会に日本国内の研究拠点を訪問してもらうなどして、情報交換を促進する。
2) “C”enter of Research (実証研究拠点の整備)
これまで個々に行われていた研究開発を1か所に集中できるよう、実証研究の拠点を整備する。拠点は、高効率化された石炭火力発電により、CO₂の分離・回収の実証事業がおこなわれている広島県大崎上島に置く。
3) “C”ollaboration(国際共同研究の推進)
国際共同研究を推進し、パートナーとなりうる国との協力を強化する。
更に今回、3Cの「“C”ollaboration」推進の第1号として、オーストラリアと「カーボンリサイクルに関する協力覚書」を締結し、今後の共同研究の実施に向けた検討を行うこととしました。CO₂の再利用に関する二国間での共同開発プロジェクトは、これまでに例がなく、今回の取組によって、今後の研究開発が加速することが期待されています。
※NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
(出典:資源エネルギー庁|日本発の革新的なCO2削減対策を世界へ~「カーボンリサイクル産学官国際会議」)
カーボンリサイクルの技術促進に向けた課題
企業活動で実用化されるための課題は低コスト化
ロードマップで策定した目標を達成しつつ、実際にCO₂の利用を進めていくには、各領域の技術開発における様々な課題をクリアしなければなりません。
一つ目に、2030年に向けて各領域で共通の課題となっているのが、「低コスト化」です。例えば、化学製品においては、一部既に実用化されている技術もありますが、低コストかつ効率的な前処理技術、変換技術が課題として挙げられており、少なくとも既存のエネルギー製品と同等のコストにすることが直近の目標です。
カーボンリサイクルで期待されるメタン燃料やCO₂フリー水素
二つ目に、安価なCO₂フリー水素をつくることです。多くの技術において必要となる水素ですが、現在は主に天然ガスから生成しています。しかし、この生成にはもちろん、CO₂を分解、結合するのにも多大なエネルギーが必要になり、エネルギーをつくるためにCO₂を排出してしまっては本末転倒です。そのため、カーボンリサイクルではCO₂排出量が実質ゼロの電気「ゼロエミッション電源」を活用してCO₂フリーの水素をつくることを重要視しています。
(出典:資源エネルギー庁|未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に)
まとめ
いかがでしたでしょうか。今後の製品開発においてカーボンリサイクルを活用することはもちろんですが、既存の製品でもカーボンリサイクルの技術を用いた製品に置き換えることでCO₂の削減に貢献することができます。CCSの実証実験は、既に日本でも行われており、CCUSに関しても日米共同で研究開発を促進することが合意されています。
こうした取り組みは、今後ますますの注目が予想されますので、気になった方は是非ご自身でも調べてみてください。
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