【目次】
経済のグリーン化を実現するために抑えておきたい4つのポイント
先進国の取り組みと日本の課題
気候変動対策は電力部門で将来有望な巨大市場になり得る
経済のグリーン化に向けた国内の動き
■カーボンプライシング
■環境金融
経済のグリーン化に対応するための企業ができる取組
■エコアクション21
■エコファースト制度
まとめ
※この記事は、2021年3月24日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記‧更新して2022年4月25日に再度公開しました。
経済のグリーン化とは
経済のグリーン化とは、簡潔に言うと「環境に優しい経済」のことです。経済活動によって地球温暖化をはじめとする環境問題に伴うリスクが増大したり、自然資源・生態系などが回復不能なほど損なわれることがないように、環境保全と経済成長の両立を図ることを意味しています。
経済活動において、自然資源を利用することは避けられません。しかし、これらの資源をむやみに利用することは、地球環境にとって大きなダメージとなり、ひいては人類にとっても、経済成長や生活そのものを脅かすことに繋がります。
このように経済のグリーン化を図ることは、持続可能な社会の実現に向けて不可欠な基盤であるといえます。
経済のグリーン化を実現するために抑えておきたい4つのポイント
経済のグリーン化を実現するためには、一部の事業者だけでなく経済活動に関わる、出来るだけ多くの人が環境意識を高め、経済活動を行うことが必要です。
例えば、低炭素、CO2を排出しない環境配慮型の製品・サービス、環境に配慮した事業活動などを自ら評価し、結果的に購買活動、金融取引などといった実際の経済行動に移すことが重要になります。
そしてこのような環境意識の向上・評価と、それによる経済行動の一連のプロセスが定着化するために、下記4つの流れを有効に機能させることが不可欠といわれています。
① 事業者による環境配慮経営の実践
② 環境負荷や環境配慮の取組について適切な情報公開
③ 他者による環境配慮経営の評価
④ 環境に配慮した消費や金融の実行
先進国の取り組みと日本の課題
京都議定書の締結以降、環境問題が世界共通の課題となり、日本を含む世界各国で脱炭素社会の実現に向けた取組が求められています。特に先進国においては、脱炭素化と経済成長を同時に実現すべく進んでいますが、日本は遅れをとっている状況です。
また、1995年から2015年までの20年間で、日本の炭素生産性(CO2排出量あたりのGDP)の国際的な順位は大幅に低下しました。
日本が、経済のグリーン化(脱炭素社会と経済成長の同時達成)を実現するためには、まず炭素生産性を大幅に向上させることが不可欠とされています。
気候変動対策は電力部門で将来有望な巨大市場になり得る
IEAによると、パリ協定で定められた2℃目標※において、電力部門を脱炭素するには、2016年から2050年にかけて、世界全体で約9兆USドル(日本円で約1,080兆円)の追加投資が必要との見方を示しています。また、運輸・建物・産業の3つの省エネを達成するには、約3兆USドル(日本円で約360兆円)の追加投資が必要だと試算しています。
このように、気候変動をはじめとする環境問題への対策は、将来的に有望な巨大市場へと成長する可能性が高く、経営のグリーン化においても押さえておくべきポイントです。
※2℃目標:世界全体の平均気温の上昇を2℃未満に抑えるというパリ協定で定められた目標
経済のグリーン化に向けた国内の動き
日本は、科学的な知見に基づき、経済のグリーン化に向けた中期・長期目標を掲げています。
中期目標(2030年度削減目標)では、2030年度において、2013年度比46%(2013年度比)のCO2排出削減を目指しており、長期目標では2050年カーボンニュートラルを掲げるなど地球温暖化防止に向けて率先的に取り組む姿勢を示しています。
また、「カーボンプライシングの検討」や「環境金融の促進」、エコアクション21等の「環境経営の推進」、「環境情報開示」のプロセスの構築・活用により、経済のグリーン化を進め、世界的な環境制約に対応することで、環境と経済両方の持続的成長を目指します。
■カーボンプライシング
カーボンプライシングとは、日本語では「炭素の価格付け」とも呼ばれ、その名の通り炭素の排出量に価格を付けることです。カーボンプライシングには「明示的カーボンプライシング」と「暗示的カーボンプライシング」があり、前者は、炭素税やキャップ&トレードによる排出枠価格など排出される炭素に対して1トンあたりの価格を明示的に付すもので、後者はその他、消費者や生産者に対し、間接的に排出削減の価格を課すものです。
90年代以降の国内の炭素生産性の推移を鑑みる限り、現行施策のままでは長期大幅削減は難しく、カーボンプライシングによる価格シグナルを社会全体に与えることで、イノベーションを促す効果が期待できます。また、カーボンプライシングの導入により、CO2排出削減のための設備投資など、投資機会を創出することで、経済・社会的課題との同時解決にも寄与することができます。
もっと詳しく
将来導入が検討されている「カーボンプライシング」について理解する
/column/corporation/20210614_35.html
■環境金融
世界では、30年ほど前から金融市場に環境配慮の要素を取りくむことを目的とした原則や、提言等が多数発信されています。代表的なものの一つが、2006年に打ち出されたESG投資です。
国内でも、ESG投資の活性化に向けて積極的に取り組みを進めていますが、PRI※(投資家等における国連責任投資原則)への署名数は欧米に比べて少ないのが現状です。(2017年時点)
政府は更なる促進に向けて、環境報告ガイドラインの改定、環境格付融資への利子補給等環境経営に取り組む企業に対して投融資を促す施策の実施や、環境情報と企業価値に関する検討会を設置しています。更には、地球温暖化対策などの環境事業に係る資金を調達するために発行される債券「グリーンボンド」の普及、グリーンボンド発行促進体制整備支援事業に力を入れるなど、取組を進めています。
※PRI:E(Environment)・S(Social)・G(Governance)の要素が運用ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるとの認識の下、主に機関投資家を対象に、投資決定にESG要素を組み込むことを求める原則。
経済のグリーン化に対応するための企業ができる取組
こうした経済のグリーン化に伴い自社を取り巻く環境は日々変化します。
こうした変化に対応できない場合、企業価値に影響したり様々なビジネスチャンスを取り逃がしてしまう可能性もあります。
ここでは、企業ができる経済のグリーン化に対応するための2つの取組についてご紹介します。
■エコアクション21
エコアクション21は2004年に環境省によって策定された、環境と経済の好循環を実現するため、環境経営を支援する日本独自の環境マネジメントシステムです。
PDCAに則った14の取組事項から構成されており、これらに取り組むことで環境配慮に対する様々な期待に応え得る組織体制の構築と運用が可能になり、企業価値の向上に繋がります。
エコアクション21は取組項目が明確で、中小事業者でも取り組みやすく、かつその取組結果を「環境経営レポート」として作成・公表することで、社会的信頼や透明性の向上を促すといった特徴があります。
エコアクション21について詳しくはこちら
■エコ・ファースト制度
エコ・ファースト制度とは、企業が環境大臣に対して地球温暖化対策やリサイクル対策など、自らの環境保全に関する取り組みを約束する制度です。
その企業が業界における環境先進企業であることを環境大臣が認定することで、企業の各業界における環境保全に関する自主的な取組を促進することを目的としています。
環境大臣から認定を受けた企業は、環境省制定の「エコ・ファースト・マーク」を使用することができ、これによって自社が環境への積極的な取組を行っている企業であることをPRできる効果があります。
まとめ
経済のグリーン化とは何か、経済のグリーン化を実現するポイント、気候変動対策の今後の市場動向、経済のグリーン化に向けた国内の取り組みや企業の取り組みについてご紹介しました。
これからの経営・運営に環境配慮の視点は必ず重要となるでしょう。既に取組を始めている企業もこれから始める予定の企業も、本コンテンツを参考にニューノーマルに対応できる事業運営の仕組みを構築していきましょう。
また、販売代理店の募集も随時行っております。
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毎日使うなら、環境に優しい方がいい。豊かな緑を子供たちに残そう。
エバーグリーン・マーケティングとエバーグリーン・リテイリングは、エネルギー事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。