【業種別】省エネ法の規制と対応方法について解説します

ビジネス関連
2021年7月16日

1979年に制定され、たびたび改正をしてきた省エネ法。実際にどの事業者が対象なのか、どんな規制があるのかご紹介いたします。

目次

【目次】

省エネ法とは(概要)

規制の対象となる事業者

■工事・事業場

■運輸分野

2030年エネルギーミックスにおける省エネ対策の進捗状況

各部門の対策

■産業部門

■業務部門


■運輸部門

まとめ

省エネ法とは(概要)


省エネ法とは、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下省エネ法)といい、1979年に制定されて以降、時代の変化に応じて何度も改正が重ねられてきました。現在は2018年に改正された改正省エネ法のもと、燃料や資源を有効に利用できるよう、エネルギー使用の合理化を図る目的で施行されています。

省エネ法については、こちらで詳しく解説しています。

今さら聞けない「省エネ法」について詳しく解説

(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)

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規制の対象となる事業者


省エネ法の規制には、エネルギー使用者への直接規制と間接規制の2種類があります。直接規制の事業分野は「工場・事業場」と「運輸」の2つを対象としており、間接規制は、機械器具等の製造又は輸入事業者を対象としています。
また、直接規制の対象事業者は、省エネ取組の判断基準を達成するための努力義務が課されており、一部事業者に対しては更にエネルギー使用状況等の報告義務も課されています。取組が不十分な場合には指導・助言や合理化計画の作成指示、勧告等を⾏います。

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では、具体的にどういった事業者が直接規制の対象となるのでしょうか。ここでは、直接規制の対象となっている「工事・事業場」「運輸」の事業分野について、詳しく解説します。

(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)

■工事・事業場

事業者全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500kℓ/年度以上である場合、事業者は国に対してエネルギー使用量を届け出て、国から特定事業者又は特定連鎖化事業者※の指定を受けなければなりません。ここでいう事業者は会社ごとに定められるため、子会社・関連会社・協力会社・特殊会社は別法人となり、別事業者として扱われます。
また、個別の工場や事業場ごとにエネルギー使用量が1,500kℓ/年度以上である場合は、各々がエネルギー指定管理工場等の指定を受ける場合があります。

事業者全体とエネルギー管理指定工場等に指定された工場・事業場等について課される義務はそれぞれ以下の通りです。課されます 。

<エネルギー使用量1,500kℓ/年度以上の事業者の義務>
・エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者の選任
・エネルギー使用状況届出書の提出(指定時のみ)
・エネルギー管理統括者等の選解任届出書の提出(選解任時のみ)
・定期報告書(毎年度)及び中長期計画書(原則毎年度)の提出

<すべての事業者の義務>
・管理標準の設定や省エネ措置など判断基準に定めた措置の実践
・燃料転換、稼働時間の変更等、指針に定めた措置の実践

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<エネルギー管理指定工場等としての義務>
➀年度間エネルギー使用量が3,000kl以上の場合
・エネルギー管理者、エネルギー管理員(第一種指定事業者の場合)の選任
・定期報告書の提出
➁年度間エネルギー使用量が1,500kl以上3,000kl未満の場合
・エネルギー管理員の選任
・定期報告書の提出

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※特定連鎖化事業者:フランチャイズチェーン事業等の本部とその加盟店との間の約款等の内容が、経済産業省令で定める条件に該当する場合は、その本部が連鎖化事業者となり、加盟店を含む事業全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500kl/年度以上の場合には、その使用量を本部が国に届け出て、本部が特定連鎖化事業者の指定を受ける必要があります。

(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)
(出典:資源エネルギー庁|工場・事業場の省エネ法規制)

■運輸分野

輸送に係る措置には、輸送事業者に係る措置と荷主に係る措置があります。

① 特定輸送事業者
特定輸送事業者とは国土交通大臣が指定し、 以下の輸送能力を有する事業者を指します。
・鉄道300両
・トラック200台
・バス200台
・タクシー350台
・船舶2万総トン(総船腹量)
・航空9,000トン(総最大離陸重量)

<特定輸送業者の義務>
・中長期計画の作成(原則年1回、国土交通大臣に提出)
※省エネ取組が優良な事業者は、一定の条件を満たせば提出が免除されます。
・定期の報告(年1回、国土交通大臣に提出)
・認定管理統括貨客輸送事業者の認定申請(任意の制度)
・貨客輸送連携省エネルギー計画の認定申請(任意の制度)
<行政によるチェック>
・特定輸送事業者は、提出された定期報告書等の内容に基づき、判断基準の遵守状況、エネルギー消費原単位の推移等について確認するため、「報告徴収」、「立入検査」等が行われる場合があります。
・エネルギーの使用の合理化の状況が判断基準に照らして著しく不十分であると認められた場合には「勧告」、「公表」、「命令」等が行われることがあります。

② 特定荷主
荷主とは、自らの事業に関して自らの貨物を継続して貨物輸送業者に輸送させる者を指しますが、年間の貨物輸送量(トンキロ)の合計が3,000万トンキロ以上である者は経済産業大臣によって特定荷主と指定されます 。
<特定荷主の義務>
・中長期計画の作成(原則年1回、主務大臣(経済産業大臣+事業所管大臣)に提出)
※省エネ取組が優良な事業者は、一定の条件を満たせば提出が免除されます。
・定期の報告(年1回、主務大臣(経済産業大臣+事業所管大臣)に提出)
・認定管理統括荷主の認定申請(任意の制度)
・荷主連携省エネルギー計画の認定申請(任意の制度)
<行政によるチェック>
・特定荷主は、提出された定期報告書等の内容に基づき、判断基準の遵守状況、エネルギー消費原単位の推移等について確認するため、「報告徴収」、「立入検査」等が行われる場合があります。
・エネルギーの使用の合理化の状況が判断基準に照らして著しく不十分であると認められた場合には「勧告」、「公表」、「命令」等が行われることがあります。

また、荷主の定義に関しては省エネ法の改正法第百五条第一号で定められている第一号荷主、同じく第百五条第二号で定められている二号荷主があります。

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(出典:資源エネルギー庁|省エネ法の概要)
(出典:資源エネルギー庁|輸送の省エネ法規制)

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2030年エネルギーミックスにおける省エネ対策の進捗状況


資源エネルギー庁はエネルギーミックスにおける省エネ目標として、「1.7%の経済成長を前提として想定した2030年度の最終エネルギー需要に対し、5,030万kl程度の削減を見込んでいる。」としています。
2019年度の実績としては、平均経済成長率1.7%の想定に対して14-19年の平均経済成長率が0.7%の結果となりました。これによりエネルギー需要は想定よりも下振れとなりましたが、それを度外視しても2019年度時点で1,657万klの省エネを達成しており、省エネの進捗率としては32.9%となりました。

(出典:2030年エネルギーミックスにおける省エネ対策の進捗状況)

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各部門の対策


2019年度の実績やカーボンニュートラルに向けたさらなる取り組みを見据えた対策として、各部門の目標、省エネ対策の見直しが行われています。ここでは、産業部門と運輸部門で見直しがされた主な対策を紹介します。

■産業部門


産業部門では目標値に対して進捗の良い取組に関しては省エネ目標量を引き上げるとともに、追加の対策としてバイオマス由来のプラスチックをはじめとするバイオ由来製品の導入を促進し、化石資源由来プラスチック等を代替することによって、化石資源の使用量を削減を検討しています。また産業部門全体として、省エネ量の目標を1,042万kℓから1,200万kℓ程度に引き上げる事を検討しています。
産業部門の対策については、以下の通りです。

【鉄鋼】(検討中※2021年4月時点)
・マクロフレームの見直しに伴い、粗鋼生産量の見直し中。
・省エネ設備増強や革新的製鉄プロセス等の対策へも影響。
【化学】
進捗が低調であった革新的な製造技術の導入に係る対策見直し。
特定の省エネ技術に限定せず、幅広い技術の導入を見込むように、対策を統廃合。部門全体で省エネ量を引き上げ。人工光合成は基金活用による技術進展を見込み省エネ量引き上げを検討。
【窯業・土石】
代替廃棄物の利用状況を踏まえ、省エネ量引き上げの検討が可能。
【紙・パルプ】
高効率古紙パルプ製造については導入に向け、省エネ量堅持。
【業種横断】
低炭素工業炉・業種間連携省エネについて足下の進捗が好調であることと政策的支援による更なる進展を見込み、省エネ量を引き上げを検討

■業務部門

業務部門では、サーバーやストレージなどのトップランナー機器について、トップランナー基準を見直して省エネ量の増加分を見直しに反映させています。部門全体としては1,227万kℓから1,300万kℓ程度に目標値を引き上げる事を検討しています。
省エネ量を見直した主な対策は以下の通りです。

【トップランナー制度等による機器の省エネ性能向上】
・サーバー、ストレージ等について、前回目標策定時以降の基準値見直し状況の反映により省エネ目標値を引き上げ。
【建築物の省エネ化】(検討中※2021年4月時点)
・省エネ対策の強化に向けた検討を実施。新たな省エネ量の目標値は今後の議論の結果を踏まえて提示される。

■運輸部門

トラック輸送の効率化の進展やエコドライブの推進、カーシェアリングなども進捗がよいことから、省エネ量を引き上げが検討されています。また、自動車単体や内航船などについてはカーボンニュートラルに向けた対策を検討中です。
見直しのある対策は以下の通りです。

【トラック輸送の効率化】
足下の進捗が好調であることに加え、政策的支援による更なる進展を見込み、省エネ量の引き上げが検討されている。
【エコドライブ、カーシェアリング等】
足下の進捗が好調であること等を踏まえ、省エネ量の引き上げを検討
【自動車単体、内航船の効率向上等】
カーボンニュートラルに向けた対策を検討中。

(出典:2030年エネルギーミックスにおける省エネ対策の進捗状況)
(出典:2030年エネルギーミックスにおける省エネ対策見直し事務局試算結果(暫定)|資源エネルギー庁)

まとめ


2050年までの脱炭素社会実現には、2030年までの取り組みが非常に重要とされています。
省エネ法では、特定の事業者以外でも省エネへの努力義務があります。すべての事業者が省エネに対しての取り組みを行い、エネルギーミックスの目標を達成することが期待されています。

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