カーボンニュートラルの実現に向けて企業や個人でできることは

ビジネス関連
2023年4月24日

日本は2050年までに、温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量が均衡な状態になるカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのためには企業と個人それぞれの取り組みが欠かせません。目標達成に向けて企業や個人ができることを考えてみます。

目次

【目次】

カーボンニュートラルを目指す背景は

カーボンニュートラルのために企業ができること

カーボンニュートラルのために個人ができること

カーボンニュートラルに取り組む企業への支援は

カーボンニュートラルを目指す背景は


カーボンニュートラルとは

世界の平均気温は1850年から1900年頃までの工業化以前の時期と比べると、2020年時点で約1.1度上昇したことがわかっています。このままの状況が続けば、さらに気温が上昇することが予測されます。

その結果として懸念されるのが、気象現象によって生じる災害です。自然の生態系や人間の健康に加えて、経済活動などにも大きな影響を及ぼすことが指摘されています。

気温上昇を抑える取り組みの一つが、カーボンニュートラルを目指すことです。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引くことで、排出量の合計を実質的にゼロにすることです。

達成するためには、温室効果ガスの排出量の削減に取り組むと同時に、温室効果ガスを吸収する作用がある森林などの保全を今以上に進めていく必要があります。

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世界全体でカーボンニュートラルを目指す枠組み

カーボンニュートラルは、世界の多くの国々が実現を目指して取り組んでいます。その大きなきっかけとなったのは、2015年のパリ協定です。

パリ協定は2015年に開催された、温室効果ガス削減に関する国際的な取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」で採択されました。

世界共通の長期目標として、「世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」と、「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」などについて合意しています。

この目標を達成するためには、2050年頃までにカーボンニュートラルを実現することが必要と報告されました。2021年1月時点では120以上の国と地域が2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しています。

また、世界最大の二酸化炭素排出国である中国は、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを2020年9月に表明しました。中国を含めると、カーボンニュートラル実現を表明した国と地域の二酸化炭素排出量は世界の約3分の2を占めていて、目標が達成できれば排出量が大幅に削減されることになります。

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日本の「2050年カーボンニュートラル」宣言

日本は2020年10月に、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すと表明しました。また、2030年度に温室効果ガスを2013年度と比べて46%削減することも目標に掲げています。

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実現に向けて、具体的な取り組みも動き始めています。脱炭素事業を支援する機関の設立や、「経済と環境の好循環」を目指す産業政策、脱炭素に取り組む地方公共団体などへの支援が、国によって進められています。

もちろん、企業や個人でもカーボンニュートラル実現のためにできることは数多くあります。企業と個人それぞれでできる代表的な取り組みについて見ていきます。

カーボンニュートラルのために企業ができること


温室効果ガスの排出量の大部分は企業が占める

環境省によると、パリ協定が締結された2015年の時点では日本の温室効果ガス、特に二酸化炭素
の排出量の約8割を、企業と工業部門が占めていました。

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環境省作成の資料より

内訳を見ると、製造業、建設業、鉱業、農林水産業といった産業によるエネルギー消費が34%と最も割合が高く、次いで商業・サービス・事業所などでの業務が22%、運輸が11%となっています。日常的な企業活動によって、二酸化炭素が多く排出されていることがわかります。

その後も企業からの排出が大部分を占める状況は変わっていませんが、近年では運輸の部門の割合が上昇していると見られています。カーボンニュートラルの実現には、企業による取り組みが欠かせないのです。

カーボンニュートラルに向けた取り組みで企業ができること

企業ができる取り組みの代表的なことをいくつか挙げてみます。最初のステップは、自社の温室効果ガス排出量を把握することです。

国は地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて、温室効果ガスを相当程度多く排出する特定排出者に対し、排出量を報告することを2006年に義務付けました。

また2021年には、企業の排出量を原則として電子システムで報告し、開示請求をしなくても情報を閲覧できるようにする法改正を行っています。報告義務がない企業でも、まずは排出量を把握することが出発点になります。

排出量削減に向けて、すぐに取り組めるのは省エネです。生産ラインの適切な運用管理から、OA機器についてスリープモードや省エネモードの活用、空調設備の高効率化、照明をLEDに変更するなど、部門ごとに省エネを図ることが可能です。

省エネについては、専門家による診断を受ける方法があります。中小企業の省エネをサポートする地域密着型の省エネ支援団体に「省エネお助け隊」があり、現状把握から改善までサポートを受けることが可能です。

大きな削減効果が得られる取り組みに、再生可能エネルギーの活用があります。太陽光、風力、地熱、中規模・小規模の水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せずに電力を作ることができます。

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省エネと再生可能エネルギーの導入以外に、「環境価値」を購入する方法もあります。再生可能エネルギーによって作られた電力は、「電気や熱そのものの価値」の他に、二酸化炭素を排出しないという「環境価値」を持っています。

この「環境価値」を証書の形にしたものが「グリーン電力証書」です。第三者から認証を受けた「グリーン電力証書」は売買が可能になり、証書を購入すれば、排出量と相殺することができます。

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット

以上のような取り組みを行うことによって、企業にはメリットが生まれます。1つ目は、省エネによるコスト削減です。エネルギーの使用量を把握して計画的に取り組むことで、エネルギーコストを削減することが可能になります。

2つ目は、資金調達の手段が得られることです。金融機関は環境・社会・ガバナンスに配慮した企業に投資を行うESG投資を推進していて、地球温暖化対策に取り組んでいることで、融資条件の優遇などを受けられる機会が広がります。

3つ目は、競争力の向上です。カーボンニュートラルに取り組んでいることで、取引先企業との強固な関係性が築けるとともに、新規の取引先の開拓にもつながります。製品単位で排出量削減を示すことができれば、製品の差別化も可能です。

このように、カーボンニュートラルに取り組むことによって、省エネによるコスト削減や資金調達手段の獲得が可能になることに加えて、企業や製品の競争力が向上し、経営力の強化につながるのです。

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カーボンニュートラルのために個人ができること


エネルギー関連でカーボンニュートラルのためにできること

もちろん個人レベルでも、カーボンニュートラルのためにできることがあります。エネルギー関連ですぐに取り組めるのは節電です。

家庭内で消費されている電力の約3割を占めているのが、照明器具、テレビ、エアコンなどの使用です。使っていない電気を消す、テレビのつけっぱなしをやめる、エアコンの利用を工夫することなどによって、無駄な電気の利用を減らすことができます。

また、エアコンなどの家電製品は、新しいものほどエネルギーの消費量が少なくなっています。LED電球と同様に、買い換えも一つの方法です。

日々の生活の中でカーボンニュートラルのためにできること

自家用車を使わずにできるだけ公共交通機関を利用することも、二酸化炭素の排出量を減らすことに貢献できます。徒歩や自転車での移動であれば、排出することはありません。

ごみを減らすことでも排出量削減に貢献できます。紙類やプラスチックなどについてはリサイクルされますが、そうではないごみの多くは焼却されます。

すでに実践している人も多いと思いますが、買い物の際にマイバックを持参し、プラスチック製のレジ袋をもらわないことで、二酸化炭素の排出削減や海洋プラスチックごみの問題への貢献にもつながります。

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意識を変えることでカーボンニュートラルのためにできること

2050年にカーボンニュートラルを達成するという目標はハードルが高く、これまでと同じような企業活動や、消費活動を行っていれば、実現は難しくなります。

「自分たちだけが取り組んでも何も変わらない」と思って何もしないのではなく、企業でも、家庭でも意識を変えて、取り組んでいくことが必要ではないでしょうか。

カーボンニュートラルに取り組む企業への支援は

 
経済産業省では、カーボンニュートラルに向けて取り組む企業に対する支援策を用意しています。

設備投資では、省エネ設備に投資する企業への補助金のほか、温室効果ガス排出量削減に資する製品やサービスの開発などを行う企業を対象にした「ものづくり補助金グリーン枠」を2022年から新設するなど、支援を拡充しています。

また、中小企業に対しても、「中小企業等事業再構築促進事業」にグリーン成長枠を設けて、グリーン分野での事業再構築を目指す中小企業に最大1億円、中堅企業に最大1億5000万円を補助します。

もちろん、設備投資や事業再構築などについては、中・長期的な視点が必要です。投資も必要なく、カーボンニュートラルに向けた取り組みができるのが、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーによる電力を使用することです。

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