RE100とは?環境に優しい再エネ100%での電力調達を目指す

ビジネス関連
2023年4月24日

RE100は、企業や自治体などの団体が事業で用いる電力を、環境に優しい再生可能エネルギー100%で賄うことを目標に掲げるイニシアチブです。RE100とは何か、取り組むメリットや日本企業の参加状況、それに最新の改定状況についてお伝えします。

目次

【目次】

環境NGOが運営するRE100とは?わかりやすく解説

RE100に加盟する海外企業と日本企業

RE100の取り組みは環境にも企業価値にもプラス

※この記事は、2023年4月24日に公開した内容を追記‧更新し、2023年6月23日と12月20日に再度公開しました。

環境NGOが運営するRE100とは?わかりやすく解説

 

RE100の読み方と英語名

 
RE100とは世界の有力企業が事業で使用する電力を、再生可能エネルギー100%で調達することを目指す国際的イニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の略称です。

発足したのは2014年。気候対策問題の国際的な環境NGOのThe Climate Groupが、同じく国際的な環境NGOのCDPと連携して運営しています。

RE100で企業が使用する電力を再生可能エネルギーに<br><br>

RE100の目的は、地球規模で企業のエネルギー需要を再生可能エネルギーに切り替えていくことと、そのためにグローバルに展開する世界の主要な企業などをまとめていくことです。

RE100に取り組むメリットとは

 
企業がRE100に取り組むメリットはいくつかあります。まずは、化石燃料を使うことのリスクを回避できることです。

ロシアによるウクライナ侵攻などによって、化石燃料による発電はリスクだという認識が世界的に広がっています。再生可能エネルギーに切り替えることでそのリスクを回避しながら、気候変動対策に貢献することができます。

次に、経済への好循環を生むことです。RE100の取り組みが広がることで、再生可能エネルギーの市場規模が拡大し、再生可能エネルギーの供給を安価に受けられるようになります。

影響力が大きい企業が脱炭素の重要性を市場に届けることによって、投資を呼び込み、イノベーションを加速するといった効果も考えられます。企業にとってRE100に取り組むことは重要な戦略の1つと言えます。RE100に参加する企業は、発足した2014年度から年々増加を続けています。

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(図)環境省作成

環境省が作成した累計参加企業数のグラフによると、世界全体では2014年度の14社から、2021年度には356社まで増加しました。日本企業が初めて参加したのは2017年度の6社で、4年間に10倍以上に増えています。

さらに増加は続いていて、2023年1月10日の時点で世界全体の参加企業は397社まで拡大。そのうち日本企業は77社となっています。

RE100の加盟条件は、消費電力量が年間100GWh以上の企業であることと、自社の事業で使用する電力の100%再生可能エネルギー化に向けて、期限を切った目標を設定して公表すること。それに、企業がグループ全体で参加することなどとなっています。

RE100に参加している企業の業種は幅広く、多岐にわたります。世界的に最も参加企業が多い業種は金融業で、食料品、耐久消費財・雑貨、生地・アパレル・靴・高級品などが続きます。

すでに目標を達成した企業もあります。レゴブロックで有名なデンマークの玩具メーカーLEGO Groupは、全世界の拠点で消費する電力について100%再生可能エネルギーでまかなうことを、2017年に実現しました。LEGO Groupは風力発電所などに投資をしています。

またアメリカでは、大規模な太陽光発電所を運営する発電事業者から電力を調達する企業が増えています。

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RE100に加盟する日本企業

 
日本の企業の場合、RE100に加盟する条件は、消費電力量が年間100GWh以上ではなく50GWh以上となっています。再生可能エネルギーの電力市場は欧米などで先に活性化したものの、日本でも調達コストが減少傾向にあることなどから、今後RE100に参加する企業が増えることでさらなる活性化が期待されています。

RE100に参加している日本企業は、先に触れたとおり2023年1月10日時点で77社あります。環境省が作成した一覧は、次の図になります。日本企業では、建設業、電気機器、小売業が多くなっています。

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(図)環境省作成

RE100加盟の日本企業の主な取り組みとは

 
日本企業で最初にRE100に加盟したのはリコーです。太陽光パネルの導入やマイクロ水力発電の実用化、木質バイオマスエネルギーボイラーなどの導入に取り組んでいます。再生可能エネルギー100%の達成は2050年を目指していて、2020年の達成進捗率は18%です。

すでに100%を達成しているのが、城南信用金庫です。購入する電力を再生可能エネルギーの発電によるものに切り替えるとともに、非化石証書付きの電力を購入するなどして、2019年に100%を達成しています。

そのほか、2020年時点で達成進捗率が高い企業は、2025年に100%達成を目指している楽天の65%、2030年に100%の達成を目指している丸井グループなどとなっています。 

RE100の取り組みは環境にも企業価値にもプラス<br><br>

</span></strong></h2> <h3><strong><span class=”caps”>RE100の技術要件改定で非化石証書が追加

 
RE100では、加盟企業が調達する再生可能エネルギー電力の基準を規定しています。これを、RE100の技術要件(Technical Criteria)といいます。再生可能エネルギーの種類と、再生可能エネルギー電力の調達方法、それに調達に関する必要条件などの項目があります。

技術要件は逐次改定が行われています。2021年度の改定では、使用できる非化石証書の種類が追加されました。従来はトラッキング付き非化石証書しか使用できませんでしたが、現在は非FIT再エネ指定非化石証書も使えるようになっています。

また、2022年10月の改定では、加盟企業が購入する自然エネルギーの電力や証書を、運転開始から15年以内に限定することが決まりました。ただし、企業が電力事業者と長期にわたって再生可能エネルギーを購入する契約を結ぶコーポレートPPAや、自家発電は対象外になります。

この改定によって、新たな自然エネルギーの開発につながることや、コーポレートPPAや自家発電によって、企業はco2の排出削減を自主的に継続できるようになると期待されています。ほかにも2022年10月の改定では、再生可能エネルギーの電力を拡大するために、技術要件の各項目の見直しなども行っています。改定内容は加盟企業が2024年1月以降に使用する電力に適用されます。

RE100の中小企業版「再エネ100宣言RE Action

 
RE100は消費電力量の条件などがあるため、大企業が対象になります。一方で、日本国内では条件を取り払うことで参加しやすくなる、RE100の中小企業版とも言うべき取り組みがあります。それが「再エネ100宣言RE Action」です。

対象となっているのは企業、自治体、教育機関、医療機関などです。参加団体は、遅くとも2050年までに使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する目標を設定し、公表しているほか、消費電力量や再エネ率などの進捗を報告しています。 

中小企業版RE100に取り組むメリットとは

 
多くの中小企業の経営者は、RE100は大企業が取り組むものだと思っているかもしれません。しかし、中小企業でも100%再生可能エネルギーに取り組むメリットは少なくありません。

企業の信頼性が向上するとともに、企業価値が高まることで、他社との差別化を図ることができます。商談にもプラスになるほか、金融機関からの評価も高まります。また、環境への取り組みを進める企業という印象は、採用面でもプラスに働きます。100%再生可能エネルギーへの切り替えは、企業の規模に限らず今後も広がっていくのではないでしょうか。 

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