高圧電力取引価格の市場連動の仕組みと動向を解説

ビジネス関連
2023年4月24日

発電用の化石燃料の供給不足や、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響により、2022年は日本卸電力取引所「JEPX」の電力取引価格が高騰した年でした。今回は、事業者向けとなる高圧電力取引価格について、市場連動の仕組みと動向などを解説します。

目次

【目次】

卸電力取引所とは

高圧の市場連動の特徴は

高圧の市場連動の今後は

卸電力取引所とは

 
卸電力取引所「JEPX」の歴史と役割は

 
日本卸電力取引所「JEPX(Japan Electric Power Exchange)」は、日本で唯一卸電力を扱う取引所です。2000年に始まった電力の小売自由化の流れを受けて、2003年に設立。2005年に電力取引を開始し、公正で透明性の高い電気の価格指標を迅速に形成して、国内の卸電力取引を担っています。

当初は総需要に対して卸電力取引が占める割合は小さく、2016年4月に電気の小売業への参入が全面自由化された時点でも、わずか2%でした。その後、電力システム改革の進展に伴って、2022年時点では30%を超える水準になりました。JEPXでは、発電事業者や小売電気事業者などが電力の売買を行っています。

卸電力市場の動向は

 
JPEXの取引価格は、2021年9月頃までは1kWhあたり10円未満で推移していましたが、2022年に入ってからは1日平均で20円を超える日が当たり前になるなど高騰しました。

取引価格の高騰は、新型コロナウイルス禍からの世界的な経済回復や、ロシアによるウクライナ侵攻などによって、液化天然ガスのLNGや石炭などの燃料価格が上昇したことが大きな要因です。

しかし、2022年12月頃から2023年4月現在まで電力市場は過去2年と打って変わって価格が下落し比較的に安定しています。

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電気料金への影響は

 
電力会社が電力を調達する主な方法は主に3つあり、1つが自前の発電所を所有すること、2つ目が他社の発電所から電気を調達する事、そして3つ目がJEPXで購入することです。

取引価格が10円未満だったのが20円以上に高騰しているため、JEPXから調達する電力会社にとっての電力調達コストは倍以上になっている事を意味しています。そのため、JEPX価格が高くなると電気料金のプランの値上げの実施、サービスの停止、電力事業撤退などをする新電力も相次ぎました。

高圧の市場連動の特徴は

 
高圧の市場連動とJEPX価格

 
ここからは企業向けの電力料金と、市場連動との関係を見ていきます。ビルや工場といった電力消費の大きい施設の電力需要には、50kW~2000kWの高圧や、2000kW以上の特別高圧があります。

JEPXの取引は30分単位で行われています。つまり電気料金プランを市場連動プランにしている場合、30分単位で電気料金が変動する為、市況の影響を受けやすくなります。価格が急騰するリスクを、デメリットと考える場合もあるでしょう。

 高圧の市場連動のメリットは

 
その一方で、市場連動のメリットもあります。太陽光発電が活発に稼働する昼間の時間帯には、JEPXの取引価格が安くなる傾向があり日中の取引価格が1kWhあたり0,01円となる日もあります。特に、太陽光発電の影響が大きい九州では、より強くこのような傾向にあります。

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つまり、昼間を中心に稼働する企業にとっては、市場連動型を契約することによって、電気料金を安くなる可能性があります。高圧の市場連動型でメリットを出すには、電気の使い方を見直すことが必要と言えます。

多種多様な市場連動

 
一般的に市場連動と呼ばれるプランは先ほどご紹介したようなプランです。その一方で、JEPXの取引価格と完全に連動するものではなく、一定期間の平均価格を参照するプランも存在しています。そのメリットは、30分単位でJEPX価格と連動せずに平均化されるため、価格が急騰しても影響は受けづらくなることです。

一方のデメリットは、平均化された価格になるために、電気の使う時間帯を見直す事によって電気料金を変えられない点です。

高圧の市場連動の今後は

新電力の撤退や新規受付停止の影響

 
企業向けに新電力が販売していた電力料金は、以前は1kWhあたりで10円台後半程度と見られていました。ところが、JEPX価格が値上がりしたことで、JEPXからの調達に依存していた電力会社の一部は逆ざやに陥りました。

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帝国データバンクが2023年3月29日に発表した、新電力会社の事業撤退動向調査によりますと、2021年4月までに登録のあった新電力会社706社のうち、2023年3月24日時点で27.6%にあたる195社が倒産や廃業、または電力事業の契約停止や撤退などを行ったことがわかりました。

燃料価格の高騰やJEPXの高騰の影響は新電力だけにとどまらず、大手電力会社にも影響を与えています。大手電力会社が提供している「標準メニュー」と呼ばれる電気料金プランも受付を停止していたのです。このため、需要家は新旧問わず、電力会社との契約継続が困難となり、いわゆる「電力難民」となる企業が相次ぎました。電力・ガス取引監視等委員会によりますと、「電力難民」となって送配電事業者からセーフティネットとして電力供給を受ける最終保障供給の契約件数が急増し、2022年10月には4万5000件以上まで増加しました。2023年3月時点では3万7800件あまりに減少しているものの、依然として高い水準となっています。 

最終保障供給も市場連動に

 
ただ、最終保障供給は、大手電力会社が提供している標準プランの1.2倍という高い料金に設定されていました。さらに、2022年9月以降は、最低保障供給の料金が市場連動型になりました。

市場連動型になったことで、電力量料金に新たに市場価格調整額が上乗せされました。その結果、最低保障供給の料金は大幅に値上がりしています。

また、最低保障供給の契約期間は、基本的に1年以内とされています。契約期間満了までに新たな小売電力事業者と契約する必要があるため、高圧に関しては市場連動型のプランも選択肢の一つとなります。

エバーグリーンの高圧電気プラン

 
エバーグリーンでは、高圧と特別高圧のお客様向けに多種多様なプランを設けており標準メニューと同じ体系の「固定プラン」や、先ほどご紹介した30分ごとにJEPX価格と連動する「市場連動型プラン」等の受付も随時行っております。

市場価格の先を予測する事は困難な為、2023年冬にみられるような市場価格低下、また一般的に日中の時間帯の使用比率が高いお客さまなどには市場連動型プランをおすすめいたします。その一方で、先々の電気料金が分からないというお客さまには、基本料金・従量料金単価が固定の「固定プラン」がお勧めです。

さらに、エバーグリーンの電気では、オプションで環境価値を付加する事が可能です。環境価値を持つ非化石証書を組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギーを提供し、CO2排出係数をゼロにするプランで、RE100※1 やCDP※2への報告にも活用可能です。

高圧と特別高圧につきましてはオーダーメイドになります。先ずは是非、無料のお見積もりをお試し下さい。

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※1 RE100 (Renewable Energy 100%)……企業の事業活動で使用する電力をを100%再生可能エネルギーで賄うことをめざす国際的なイニシアチブ

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