※この記事は、2023年6月27日に公開した記事ですが、追記‧更新し、2023年11月29日に再度公開しました。
グリーンファイナンスの種類とメリットは
世界で拡大するグリーンファイナンスとは
グリーンファイナンスとは、地球温暖化対策や、再生可能エネルギーの活用など、環境分野への取り組みに特化した資金を調達する債権(グリーンボンド)や借入(グリーンローン)のことを指します。
グリーンファイナンスは世界で急拡大しています。英金融サービス業界団体の「ザ・シティーUK」とフランスの金融BNPパリバが2022年に実施した調査では、世界のグリーンファイナンスは2012年の52億ドルだったのに対し、2021年には5400億ドルまで拡大。約10年で100倍を超える伸びを見せています。
日本のグリーンファイナンスの現状とは
日本でもグリーンファイナンスは拡大しています。政府が2050年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げたことや、今後10年にかけて官民協調で約150兆円の脱炭素投資の実現を目指していることなどが背景にあります。
世界のESG資金や、国内の個人金融資産、それに企業の内部資金をイノベーションなどの脱炭素投資につなげるためにも、グリーンファイナンス機能の強化と充実は急務となっています。
グリーンファイナンスの主な種類とは
グリーンファイナンスの主な種類には、債権であるグリーンボンドとサステナビリティ・リンク・ボンド、それに借入のサステナビリティ・リンク・ローンがあります。
環境に優しい事業の資金を調達するグリーンボンドは、国内では2014年に初めて発行されました。2020年に年間発行額が初めて1兆円を突破。2022年には2兆円を超えるなど、拡大が続いています。
グリーンファイナンスのメリットとは
(図)環境省 グリーンファイナンスポータルより(2023年3月20日時点)
サステナビリティ・リンク・ボンドは、サステナビリティの目標に対する達成の度合いに応じて、金利が変動する債権のことです。サステナビリティボンドのメリットは、調達した資金の使途が限定されていないことです。
国内では件数はまだそれほど多くはないものの、2022年には年間発行総額が3000億円を超えました。
(図)環境省 グリーンファイナンスポータルより(2023年3月20日時点)
一方、サステナビリティ・リンク・ローンは、借り手が野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローンです。借り手が野心的なSPTsに向けて行動し、その改善度合いと融資条件が連動するローンです。
メリットとしては、調達資金の融資対象が、特定のプロジェクトに限定されないこと。また、融資後のレポーティングを通じて、透明性が確保されることなどが挙げられます。
国内で初めてサステナビリティ・リンク・ローンの融資が行われたのは2019年。ガイドラインが2020年に策定されたことから、2021年以降は融資件数が急増しています。
(図)環境省 グリーンファイナンスポータルより(2023年3月20日時点)
環境省による日本のグリーンファイナンスの枠組みと推進機構
環境省とグリーンファイナンス推進機構の関係とは
国内におけるグリーンファイナンスの拡大を目指して、環境省が促進体制整備を支援する様々な事業を実施しています。環境省から事業を受託し、運営してきたのが、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構です。
グリーンファイナンス支援機構は、低炭素社会の創出、生物多様性の保全、循環型社会の形成などのための金融を促進し、持続可能な社会形成に寄与することを目的に、2013年に設立されました。
グリーンファイナンスに関する情報収集と提供、相談への対応のほか、環境省の事業について、プラットフォームの役割を担いながら支援を行っています。
グリーンファイナンス推進機構と脱炭素化支援機構
グリーンファイナンス推進機構の設立から7年後の2020年10月、政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。この目標を実現するために、2022年10月に新たに設立されたのが、株式会社脱炭素化支援機構です。
脱炭素化支援機構は、国の財政投融資からの出資と、民間からの出資を原資に、ファンド事業を行う官民ファンドの会社です。2022年の設立時には国から200億円が出資されました。
脱炭素化支援機構の事業とグリーンファイナンス
主な事業は、脱炭素に資する多様な事業への呼び水となる、リスクマネーの供給を行うことです。脱炭素に必要な資金の流れを太く、速くして、経済社会の発展や地方創生、知見の集積や人材育成などに貢献することを目指しています。
脱炭素化支援機構の所在地は、グリーンファイナンス推進機構と同じです。グリーンファイナンス推進機構から体制を移行するとともに、ノウハウを継承。さらに民間企業から出資を受け、民間目線のガバナンスも取り入れることで、投資対象分野や規模などを拡大する方針です。
また、これらの体制によって、再生可能エネルギーの活用など地域の脱炭素化支援だけでなく、日本全体の脱炭素化の加速に貢献したい考えです。
グリーンファイナンスを活用するには?補助金や今後の課題
グリーンファイナンス発行を支援する補助金
環境省はグリーンファイナンス拡大に向けた市場基盤整備支援事業として、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金・地球環境保全対策費補助金の事業を実施しています。
この事業は、グリーンファイナンスの促進に向けて、通常の債券発行や融資などの資金調達手続きに加えて、必要な外部コストを支援するものです。具体的には外部レビューの付与や、グリーンボンドなどのコンサルティングを行う登録支援者に対して、その支援費用を補助します。
事業は公募によって行われています。2023年度は、5月30日から公募が始まりました。この事業については、一般社団法人環境パートナーシップ会議が執行団体として委託を受けています。
環境省のグリーンファイナンスポータルサイト
グリーンファイナンスについての情報を網羅しているのが、環境省のグリーンファイナンスポータルのサイトです。
(図)環境省 グリーンファイナンスポータル
環境省はグリーンファイナンスポータルと、グリーンボンド発行促進プラットフォームによって、グリーンポンドの発行支援を行う者の登録や公表、発行事例の情報共有を行っています。
また、ポータルではグリーンボンドや、サステナビリティ・リンク・ボンド、サステナビリティ・リンク・ローンについて詳細な情報発信をしています。グリーンファイナンスに関する情報が集約された内容になっています。
グリーンファイナンスの今後の課題とは
日本でもグリーンファイナンスは拡大しつつあるものの、グリーンボンドに関しては国内の社債市場に占める割合はまだ一部です。2022年3月末現在で、発行残高のシェアはグリーンボンドを含むESG債全体で、4%に過ぎません。
また、グリーンボンドの発行件数と金額はともに伸びているものの、初めて発行する事業体の数は伸び悩んでいます。つまり、グリーンファイナンスの活用は、現状では進んでいる層と進んでいない層が二極化しているといえます。進んでいない層をどう巻き込んでいくかが今後の課題です。
2030年までの持続可能な目標を定めたSDGsが、2015年に国連で採択されたこともあり、世界的に脱炭素化やサステナビリティに向けた社会や経済の変革が急速に進んでいます。グリーンファイナンスの活用をはじめとする脱炭素経営は、今後さらに重要になってくるのではないでしょうか。
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