CDPとTCFDの違いとは
CDPとTCFDの組織とは
CDPとTCFDは、どちらも企業による気候変動対策の取り組みを評価する機関と言えます。ただ、それぞれの組織の形態や、成り立ちについては異なる点があります。
CDPは2000年にイギリスで設立された非政府組織(NGO)で、国際的な環境非営利団体です。設立当初の名称は「Carbon Disclosure Project」でした。日本では2005年から活動しています。
一方、TCFDの正式名称は「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」です。先進国のG7に新興国を加えた主要20の国と地域からなる国際会議のG20からの要請を受けて、金融安定理事会(FSB)により2015年に設立されました。
CDPとTCFDの取り組みとは
CDPもTCFDも、企業の気候変動対策などの取り組みを評価していますが、その切り口は異なります。
CDPは世界の主要企業が排出するCO2の量や、気候変動対策の取り組みに関する情報を収集し、開示しています。具体的にはオンライン回答システムを活用した質問書によって、気候変動、水セキュリティ、森林のセクターごとに調査します。
TCFDは複数の機関からの報告をもとに、企業の気候変動対策を多角的に評価します。2017年にTCFD提言を公表し、企業に対し次の4つの項目について開示することを推奨しています。
・ガバナンス(Governance)
どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。
・戦略(Strategy)
短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。またそれについてどう考えたか。
・リスクマネジメント(Risk Management)
気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか。
・指標と目標(Metrics and Targets)
リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか。
CDPとTCFDの関係は
CDP質問書とTCFD提言の関係
CDPの質問書は、投資家や企業、政府関係者など様々なステークホルダーからのフィードバックに基づいて、毎年改訂されています。
毎年1月頃に質問書とガイダンスが公開され、採点方法が公開されたのちに、4月頃にオンライン回答システムが立ち上がります。3か月あまりの回答期限を経て、年末頃に結果が発表されます。
CDPの質問書にも、TCFD提言が取り入れられています。CDPでは2018年からTCFD提言に対応する形で質問書の改訂を行っています。一方でTCFDも、CDPの調査結果の報告を受けて、企業を評価する際の参考にしています。
TCFDはCDP以外の機関からも報告
また、TCFDはCDP以外の機関からも報告を受けています。主な機関には、次のようなものがあります。
気候変動開示基準委員会のCDSB、サステナビリティに関する国際基準を策定するGRI、国際統合報告フレームワークを策定するIIRC、アメリカのサステナビリティ会計基準審議会のSASB、先進的な企業約200社が加盟する、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)などです。
TCFDへの賛同を表明した企業や機関はここ数年で急増しています。2015年の設立当初は約100機関でしたが、2023年6月15日時点では、世界全体で金融機関をはじめとする4564の企業・機関が賛同しています。
CDPとTCFDに評価を受けるメリットとは
企業がCDPやTCFDから評価を受けるために情報を開示するには、それなりの準備が必要になります。しかしながら、仮に低い評価を受けたとしても、労力を割くメリットはあると言えます。
CDPの場合はスコアで評価されます。ESG投資に関心を示す機関投資家は、さまざまな基準を参考にして投資先を決めています。高い評価が良いのはもちろんですが、低いスコアであったとしても、CDPに情報を開示していることで環境への姿勢が評価され、今後に期待される可能性があります。
また、TCFDの場合でも、まず賛同していることによって投資家からの評価が向上します。さらに、新規顧客の獲得や、認知度の向上、業界での差別化などのメリットを得られることもあります。TCFDに基づいた情報開示は国際的なスタンダードになっているので、海外からの投資を呼び込むことも期待できます。
日本企業とCDP・TCFD
CDPに署名する日本の機関と開示企業は
企業に対してCDPを通じた情報開示要請をするのは、CDPに署名している機関です。2023年は世界に700以上の署名機関があり、そのうち日本は金融機関など29社が署名しています。これらの署名機関が、2023年3月に世界中の1万5000社以上に対して環境情報の開示を求めました。
日本では2022年4月に東京証券取引所が再編されました。この再編に伴って、CDP質問書の対象がプライム市場に上場する企業全社にあたる1800社に拡大されました。質問書の回答は、約1100社から得られています。
2023年も、プライム市場上場企業を含む国内2000社以上にCDPから質問書が送付されていて、どれだけの企業が回答するのかが注目されています。
プライム市場上場企業に求められるTCFDの開示義務化
また、プライム市場の上場企業には、TCFDに基づいた情報開示が義務化されました。
プライム市場に対しては、気候変動に係るリスクなどが自社の事業に与える影響に関して、情報を開示することが実質的に義務となりました。その上で、TCFDの枠組みに基づいて、必要なデータの収集と分析を行うことで、開示情報の質と量を充実させていくことが上場企業に求められています。
このように、TCFDの開示は、プライム市場の上場企業には必須となっているのです。
CDPとTCFDをめぐる今後の展開は
CDPのシステムを通じた企業と自治体の環境情報開示は、毎年過去最高の数字を記録しています。これは、気候変動や環境危機に対する企業などの意識が、高まっていることを示しています。
また、TCFDに関しては、日本でも2023年6月15日現在で1344の企業と機関が賛同の意を示しています。TCFD提言が公表されたことを受けて、経済産業省では2018年に「TCFD研究会」を開催。研究会での議論を踏まえて、2019年5月には「TCFDコンソーシアム」が設立されました。
「TCFDコンソーシアム」では、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関などの適切な投資判断につなげるための取り組みについて議論が行われています。こうした流れの中で、CDPやTCFDに参加・賛同する企業や機関はさらに増えていくことが考えられます。
CDPやTCFDによる情報開示に取り組むことによって、事業を通じた気候変動対策や社会への貢献が可視化されます。企業の価値を高めていく上でも、CDPやTCFDに取り組むことが今後ますます重要になるのではないでしょうか。
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