トラッキング付き非化石証書とは
国の実証実験で始まったトラッキング付き非化石証書
非化石証書は、化石燃料を使わない再生可能エネルギーなどによって発電された電力について、環境価値の部分を証書化したものです。
再生可能エネルギーによる電力は、物理的な電気の価値と環境価値を持っています。この2つを切り分けて、環境価値だけを取引できるようにしたのが、非化石証書やグリーン電力証書、それにJ-クレジットです。
このうち、非化石証書の取引については、どこの発電所で発電された分なのかがわかるトラッキング情報を付与する実証実験が、国によって2021年度まで実施されていました。これがトラッキング付き非化石証書です。
トラッキング付き非化石証書には、再生可能エネルギーを電源として発電され、かつ、固定買取制度のFIT制度で買い取られた電力の環境価値であるFIT証書と、非FIT証書の2種類があります。
取引はオークションで行われ、2019年2月に先行して始まったFIT非化石証書のトラッキングは、回を重ねるごとに需要が増えていきました。
トラッキング付き非化石証書は有償化の方向
トラッキング付き非化石証書の需要が高まったことで、2022年度からは国が日本卸電力取引所に移管する形で取引が始まりました。
現在はトラッキング費用を国が負担していますが、さらに需要が伸びることが予想されるなかで、トラッキング費用の有償化が検討されています。
ただ、有償化に向けては、整理しなければならない論点がいくつかあります。1つは、誰が費用を負担するのかという点です。小売電気事業者や需要家など、証書を購入する側が負担するのかどうかが議論になっています。
もう1つは、費用のかけ方です。トラッキングの利用料に応じたかけ方にするのか、それとも一定の利用範囲ごとに階層的なかけ方を設定するのかなどが、これまでも経済産業省の制度検討作業部会で話し合われてきました。
有償化の開始時期については、2023年6月時点では明らかになっていませんが、有償化の方向で検討が進められていることは間違いありません。
非化石証書のトラッキングの仕組みとは
トラッキング付き非化石証書のポータルサイト
ここで、トラッキング付き非化石証書の取引の仕組みについて、もう少し詳しく見ていきます。
制度の運営については経済産業省資源エネルギー庁が行っています。取引市場を運営しているのは、前述の通り日本卸電力取引所です。
非化石証書のトラッキング情報の付与は、資源エネルギー庁から委託を受けたBIPROGYが担っています。また、売りに出る前の非化石証書のストックや再生可能エネルギー賦課金の管理は、電力広域的運営推進機関が担当するなど、さまざまな組織が関わっています。
事業者は、トラッキング関連の登録や申請を「非化石トラッキングポータルサイト」を通じて行うことになります。
非化石証書のトラッキングに関するスケジュールは
トラッキングのスケジュールについては、BIPROGYのホームページで確認できます。
直近では、第4回「FITトラッキング」の事業者登録と申請書提出期間が2023年4月12日から4月25日まで、第4回「非FITトラッキング」が4月24日から5月10日までの日程でした。
また、非化石証書などの再生可能エネルギーの価値のオークションは、2021年度は2021年11月、2022年2月、2022年5月の3回、2022年度は2022年8月と11月の2回実施されています。2023年度の初回オークションは、昨年と同様であれば2023年8月頃と見られています。
トラッキング付き非化石証書のメリットは
再エネクレジットの中では価格帯が安い非化石証書
非化石証書を購入するメリットは、その分の電力についてCO2排出量がゼロになることです。
また需要家にとってもメリットがあります。2021年11月に非化石証書取引の制度が見直されたことで、需要家は小売事業者経由で調達できるほか、直接購入することが可能になるなど、活用しやすくなりました。
同じ再生可能エネルギークレジットであるグリーン電力証書やJ-クレジットと比較すると、価格帯が安いことも非化石証書のメリットです。2021年11月の制度見直しでは、FIT非化石証書は最低価格が1.3円/kWhから0.3円/kWhに大幅に引き下げられました。
ただ、資源エネルギー庁は2022年12月に、2023年度の第1回オークションからFIT非化石証書の最低価格を0.1円引き上げて0.4円/kWhにすることを決定しています。
トラッキング付き非化石証書はRE100などに活用できる
脱炭素化の動きが進む中で、世界の企業や団体の参加が急増しているのが国際的イニシアチブのRE100です。「Renewable Energy 100%」の略で、世界の有力企業が事業で使用する電力を、再生可能エネルギー100%で調達することを目指しています。
RE100が発足したのは2014年。2023年1月10日の時点で世界全体の参加企業は397社まで拡大しました。そのうち、日本企業は77社となっています。RE100に参加する企業は今後も増えていくことが予想されます。
ただ、RE100に対応するためには電源を特定することが求められていて、従来の非化石証書ではRE100には対応していませんでした。そこで国が取り組んだのが、トラッキング付き非化石証書の制度創設です。
トラッキング付き非化石証書の取引が制度化されたことで、RE100に参加する企業は電気事業者を通じて購入するか、直接購入することによって、RE100の報告に活用できるようになりました。
また、世界の主要企業が排出するCO2の量や、気候変動対策の取り組みに関する情報を収集・開示する国際イニシアチブであるCDPへの報告にも、トラッキング付き非化石証書であれば対応できます。
今後の価格改定が若干影響する可能性はあるものの、今後もトラッキング付き非化石証書の需要は高まるのではないでしょうか。
エバーグリーン・マーケティングでは、RE100やCDPなどの国際的イニシアチブへの報告に活用可能なトラッキング付FIT非化石証書の調達を代行するサービスを2023年4月3日から開始しました。販売価格については、「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。
お問い合わせフォーム
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トラッキング付FIT非化石証書の購入代行サービス開始のお知らせ
/news/2023/0403_2.html
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