企業が脱炭素の取り組みを進める背景
世界で広がる脱炭素の取り組み
脱炭素とは、CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出量を、実質ゼロにすることを目指すことです。脱炭素が重要視されている背景には、世界各地で巨大台風や洪水、大規模な山火事などの自然災害が頻発していて、その主な原因が地球温暖化による気候変動と指摘されていることがあります。
脱炭素は国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)で、加盟国が取り組む枠組みが決められてきました。1997年に京都で開催されたCOP3では、地球温暖化防止に関する施策を義務化した「京都議定書」が採択され、その後継となる「パリ協定」が2015年のCOP21で合意されています。
パリ協定では、産業革命以後の世界の平均気温の上昇を2℃以下に抑えることを目標に、可能な限り1.5℃以下に抑える努力をするよう定められました。このパリ協定には、国連気候変動枠組条約に加盟する196カ国すべてが参加しています。
日本における脱炭素の取り組み
日本では、政府が2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることです。排出量をゼロにすることは難しいため、排出量から吸収、または除去した量を差し引いて、全体としてプラスマイナスでゼロにする考え方です。
この2050年カーボンニュートラルを実現するため、政府は2030年度までに温室効果ガスの46%削減を打ち出しました。この目標を実現するため、さまざまな政策を打ち出しているところです。
日本の企業による脱炭素の取り組みの現状
ただ、現状では目標達成は難しい状況です。というのも、日本で排出されている温室効果ガスの多くが、企業によるものとされていて、全体としてはまだ削減が進んでいないからです。
NPO法人気候ネットワークが2018年度に政府が公表したデータを分析したところ、日本の温室効果ガス排出量の50%は超大口事業所から排出されていることがわかりました。一方で中小企業と家庭からの排出は28.9%でした。
中小企業と家庭が排出ゼロを実現しても、産業界が抜本的な取り組みをしない限り、2030年度までの46%削減を実現できないことが指摘されています。企業による脱炭素の取り組みは急務なのです。
企業の脱炭素の取り組みを評価する枠組み
企業の脱炭素の取り組みを評価する仕組みは、世界規模で作られています。そのひとつがRE100です。これは「Renewable Energy 100%」の略で、世界の有力企業が事業で使用する電力を、再生可能エネルギー100%で調達することを目指す国際的イニシアチブです。
気候対策問題に取り組む国際的な環境NGOのThe Climate Groupが、同じく国際的な環境NGOのCDP都連携して運営しています。企業がRE100に加盟することで、地球規模で企業のエネルギー需要を再生可能エネルギーに切り替えていく動きが進むことが期待されています。
世界と比較した日本企業による脱炭素の取り組みの事例
環境省ホームページより
世界中でRE100に参加する企業は、発足した2014年度から年々増加を続けています。環境省によると、2023年1月10日現在の参加企業は、世界全体で356社あります。
環境省ホームページより
また、国別企業数でみると、日本はアメリカの99社に次ぐ、77社が参加しています。
加盟する日本企業の中には、再生可能エネルギー100%の達成を目指して取り組んでいるところがあります。日本企業で最初に加盟したリコーは、太陽光パネルの導入やマイクロ水力発電の実用化、木質バイオマスボイラーなどの導入に取り組んでいます。
日本企業のユニークな脱炭素の取り組みの事例
小売企業セブン&アイホールディングスの脱炭素の取り組み
リコーのほかにも、RE100に加盟する日本企業の中には、ユニークな取り組みを進めている事例があります。セブン&アイホールディングスは、店舗運営に伴うCO₂排出量の大幅な削減を進めています。
排出量の削減は、2013年度と比べて2030年度までに50%、2050年までに実質ゼロを目標に掲げています。大規模な太陽光発電を導入した店舗や、水素ステーションを併設する店舗、CO₂排出量の大幅削減を目指す実証実験店舗など、新しい取り組みを次々と打ち出しています。
アパレル企業・ユニクロの脱炭素の取り組み
RE100に加盟していなくても、脱炭素のユニークな取り組みをしている企業があります。それは、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングです。2050年に温室効果ガス排出ゼロを目指し、2030年までに店舗やオフィスでの排出量を2019年に比べて90%削減することを目標としています。
2023年5月には、消費電力を40%カットした新店舗を群馬県前橋市にオープンしました。この店舗では環境に配慮したさまざまな取り組みをしていているほか、外壁の断熱材にはユニクロの服をリサイクルしたものを使用しています。同様の店舗を今後グローバルで増やしていく方針です。
企業が脱炭素の取り組みを始めるには
企業による脱炭素の取り組みの手法
企業が脱炭素に取り組むには、さまざまな手法があります。代表的なものに、太陽光発電の導入があります。太陽光は再生可能エネルギーで、かつ、電力を自社で供給できる利点があります。災害時には非常用電源として使えるため、 BCP(事業継続計画)に役立てることもできます。
省エネルギーの推進は、比較的容易にできる方法です。旧型の設備を最新の省エネ型設備に更新すれば、大きな効果が得られます。また、同じく容易に脱炭素に取り組むことができる手法に、電力契約を再生可能エネルギーや非化石証書などを活用した電力に切り替える方法もあります。取り組みやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。
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エバーグリーンでは、お客様の電力利用によるCO₂排出量がゼロになる、CO₂フリープランを用意しています。再生可能エネルギーによって発電された電気に、環境価値を持つ非化石証書を利用して、実質的に再生可能エネルギーでの調達を実現しています。RE100やCDPへの報告にも活用できます。ぜひこちらをご覧ください。
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