カーボンフリーとは
カーボンフリーの定義とは
カーボンフリーは、企業など様々な活動において、二酸化炭素を含む温室効果ガスを全く排出しないことを指します。企業がカーボンフリーを実現するためには、化石燃料に依存しないエネルギーの利用や、省エネルギーの取り組み、電気自動車や水素燃料車などの車両に移行することなどが必要になります。
カーボンフリーという言葉が出てきたのは、気候変動問題と関係があります。温室効果ガスが大気中に大量に放出されていることで、地球全体の平均気温が上昇する地球温暖化を引き起こしていると考えられています。
2023年は世界の平均気温も、日本国内の平均気温も、観測史上最高を記録しました。2015年に締結されたパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2度よりも低く保ち、1.5度に抑えることが目標として掲げられていますが、2023年の世界平均気温はすでに1.45度前後上昇したことになります。
もちろん、現実的には全ての活動をカーボンフリーにするには、非常に高いハードルがあります。カーボンフリーは理想的な目標であると同時に、これ以上の地球温暖化を防ぐために必要な考え方となっています。
カーボンフリーとカーボンニュートラルの違いとは
カーボンフリーとよく似ている言葉に、カーボンニュートラルがあります。ただ、その意味は異なっています。カーボンニュートラルは簡単に言えば、温室効果ガスの排出量と吸収量が相殺された結果、排出量がゼロになる状態を指します。
具体的には、企業や人間の活動によって排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から、植林や森林の管理などによる吸収量を差し引いて、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする考え方です。
カーボンニュートラルは、カーボンフリーに比べると、より現実的な目標と言えます。実際に、多くの国と地域がカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいます。2050年までの実現を表明しているのは、2021年4月時点で日本を含む125か国と1地域にのぼります。世界で最も二酸化炭素を排出している中国は2060年までの達成を、インドは2070年までの達成を目指しています。
カーボンフリーエネルギーとは
燃料も水素も使用しないカーボンフリーエネルギーによる電力とは
カーボンフリーエネルギーは、発電をする際に二酸化炭素などを含む温室効果ガスを全く排出しないエネルギーです。化石燃料や水素などを使用せず、太陽光、風力、水力、地熱などの自然の力を利用した再生可能エネルギーが、カーボンフリーエネルギーにあたります。
カーボンフリーエネルギーによって生み出される電力について詳しく見てみます。太陽光発電は、太陽の光を太陽電池によって直接電力に変換する発電方式です。最大の特長は、エネルギー源が無尽蔵にあるので、クリーンな電力である点です。また、発電効率がほぼ一定で、設置する場所の広さに合わせて自由に規模を決めることができるのも大きなメリットです。
資源エネルギー庁によりますと、2021年度には日本の発電量に占める太陽光発電の割合は8.3%となっていて、発電量は中国とアメリカに次ぐ世界第3位の規模となっています。
太陽光発電に次いで、日本で導入率が高いのが水力発電です。水力発電は、河川などの高低差を利用して水を落下させて、そのエネルギーを使用して発電します。大規模な水力発電では、ダムを作って水を貯めて、一定の速さで落下させることで発電量を調整することができます。
このほか、まだ導入率は低いものの、今後の拡大が期待されているのが風力発電です。風力発電には陸上と洋上があり、日本ではこれまで陸上風力発電中心に導入が進められてきました。その一方で、洋上風力発電はヨーロッパを中心に拡大していて、日本でも2018年の国会で「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が可決されたことを受けて、全国各地で導入計画が策定されています。
また、地熱発電は地球の内部にある熱エネルギーを利用して電気を生み出します。火山の多い日本では地熱発電のポテンシャルが高いものの、開発コストの高さや、地域住民からの理解が必要になるなどハードルも高く、一部の地域以外では普及が進んでいない状況です。
カーボンフリーエネルギーによる電気の利用を進める企業
企業が事業で利用する電力を再生可能エネルギー100%にすることを目指す国際的なイニシアティブに、RE100があります。参加企業数は2014年から毎年拡大を続けていて、2023年9月現在では世界で419社が参加し、このうち日本企業は83社となっています。
RE100は脱炭素に取り組んでいる企業として、投資家や金融機関などへのアピールになることから、参加企業は増加傾向にあります。業種も幅広く、電気通信から小売、自動車製造までさまざまです。一定以上の電力量を消費していることが参加要件になっていて、各業種で世界的に影響力がある大企業が参加していることも大きな特徴です。
また、消費電力量などがRE100の参加要件に満たない中小企業が参加できる活動もあります。それが「再エネ100宣言 RE Action」です。参加企業や団体は2022年度に342まで増えていて、そのうち32%が2025年までの再生可能エネルギー100%化を目指しています。業種では製造業と建設業が過半数を占めています。
「再エネ100宣言 RE Action」に取り組む企業が、カーボンフリーエネルギーによる電気を利用する方法として、最も多いのが電力会社による再生可能エネルギー電力メニューの契約です。次いで、太陽光発電の自家発電となっています。また、複数の調達方法を併用している企業や団体が約6割を占めています。
カーボンフリーの現状は
カーボンフリーに取り組む企業
では、RE100に参加して、大規模にカーボンフリーを進めている日本企業の動向を見てみましょう。
キリンホールディングスは2040年までに使用電力の100%を再生可能エネルギーに転換する目標を掲げています。2024年1月からは全ての工場と全ての営業拠点で購入する電力を再生可能エネルギー100%にしました。その結果、キリンビール全工場と全営業拠点の購入電力由来の温室効果ガス排出量はゼロになっています。この取り組みによって、キリンビール全体の使用電力における再生可能エネルギーの比率は66%まで向上しました。キリンビールでは早期のRE100達成を目指しています。
オフィス関連機器メーカーのリコーは2024年3月、事業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーに移行する目標年度を、従来の2050年度から10年前倒しして、2040年度を目標達成年度に設定しました。すでに、東京都大田区の本社事業所や中国の拠点などで使用電力の100%再生可能エネルギー化を進めていて、カーボンフリーを加速させる方針です。
カーボンフリーの現状と課題とは
このように、使用する電力のカーボンフリーに取り組む企業が日本でも少しずつ増えつつあります。ただ、 カーボンフリー はカーボンニュートラルよりもさらにハードルが高く、容易ではないのが現状です。
資源エネルギー庁によりますと、2019年時点で日本が排出する温室効果ガスのうち、約9割が二酸化炭素でした。二酸化炭素の排出量のうち、約4割が電力部門、残りの約6割が産業や運輸、家庭などの非電力部門からの排出となっています。
国全体でカーボンフリーを目指すことは現実的ではないものの、企業単位であれば可能性はあります。取り組みたいと考えている企業は、使用する電力をカーボンフリーエネルギーに置き換えることから始めてみてはいかがでしょうか。
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