【2024年版】自己託送とは?自己託送制度やメリットなどについてわかりやすく解説

ビジネス関連
2024年10月19日

自己託送とは、企業などが離れた場所にある太陽光発電所などで発電した電気を、自社の事業所などに送電して利用する仕組みです。自己託送制度の現状やメリットなどについてわかりやすく解説します。

目次

【目次】

自己託送とは

自己託送のメリットとは

自己託送を検討する際の注意点とは

自己託送とは

自己託送制度とは


自己託送制度は、企業や団体などが事業所とは離れた場所に太陽光発電などの自家用発電設備を保有している場合、その設備で発電された電気を一般送配電事業者が保有する送配電ネットワークを使用して、自社の事業所や自社と密接な関係がある事業所や工場などに送電できる制度です。

自己託送は制度化される前は、電気事業法に基づかない一般電気事業者の自主的な取組として提供されていました。それが2011年に東日本大震災が発生した際に、電力需給が逼迫したことから、2013年に電気事業法が改正されたことで制度化されました。

制度化の大きな目的は、事業者が保有している自家用発電設備によってつくられた余剰電力を有効活用すること。そのことによって、電力系統全体における供給安定性を向上させることです。事業者にとっては、それまで事業所の敷地内でしか置くことができなかった自家発電設備を、離れた場所に設置することが可能になりました。

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自己託送に係る指針の概要は

 
経済産業省は、自己託送を円滑、かつ、適切に利用できる環境整備を図ろうと、自己託送に係る指針を定めて、随時改正しています。

自己託送を利用するためには、基本的には次の要件を満たすことが必要になります。まず、「自家用電気工作物等が非電気事業用電気工作物であること」。この要件は、自己託送はあくまで自社の事業所に電力を供給するものであるため、発電した電力を売電することはできないことを定めたものです。

また、「他社から譲渡又は貸与等を受けた非電気事業用電気工作物ではなく、自ら設置した非電気事業用電気工作物を維持し、及び運用していること」や、「電気の最終消費者の需要に対する供給であること」なども要件として定められています。

自己託送に係る指針の改正で自己託送制度が厳格化

要件の中で重要な点は、他にもあります。「非電気事業用電気工作物を維持し、及び運用する者と当該非電気事業用電気工作物で発電した電気を供給する地点の需要家との間に密接な関係を有すること」です。

従来は「維持し、及び運用する者」は、必ず所有者である必要はありませんでした。しかし、本来の自己託送の目的にそぐわない導入が行われている例が増加したため、2023年12月に要件厳格化の方針が決まり、2024年2月に改正された自己託送に係る指針によって、要件の厳格化が明示されました。その結果、他者が開発し、設置した発電設備の譲渡または貸与を受けることで、名義上の管理責任者となる場合は、自己託送の対象外になりました。

また、「電気を供給する地点の需要家との間に密接な関係を有すること」についても、要件が厳格化されています。「密接な関係」とは、従来はグループ会社や資本関係、生産工程に関係があることを指していました。2011年の規制緩和によって、自己託送を行っている事業者が追加で再生可能エネルギーによる発電設備を新設する場合にのみ、組合を設立することで他者でも自己託送ができるようになりました。

しかし、リース契約などで名義上は要件を満たしながら、実際には指針に定められた「密接な関係」にあたらない他者に電力を供給するケースもあったことが問題になりました。そのため、指針の厳格化後は、電気を使用する親会社が発電設備を保有するケースについては、完全子会社に限り設備の譲渡が認められることになっています。

自己託送のメリットとは


自己託送によって電気代削減が可能


自己託送を利用することによって考えられるメリットはいくつかあります。一つは、エネルギー価格の高騰等により電気料金が上昇するようなケースでは、自社の発電設備の電力を使うことで電気代の削減につながります。

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電気料金は、原油価格の高騰やロシアによるウクライナ侵攻など、あらゆる物事の影響を受けて、高くなり得ます。

このような電気料金値上げの影響を受けない自己託送は、電気代の削減や安定化が見込まれます。従来、自家発電は敷地内に発電設備を置くスペースがなければ導入できませんでしたが、敷地内にスペースがなくても導入できて、電気代の削減を図ることができるのが自己託送のメリットです。

自己託送では再エネ賦課金が不要


自己託送を利用することによる料金面でのメリットは、他にもあります。それは、小売電気事業者を介さないため、再エネ賦課金がかからないことです。

再エネ賦課金とは、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」のことで、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって、電力会社が買い取りに要した費用を、電気の使用量に応じて、電気料金の一部に上乗せして利用者から徴収するものです。

自己託送の本来の目的にそぐわない導入が増加したのは、この再エネ賦課金を逃れることを目的にしたケースが多かったとみられています。再エネ賦課金は2012年の導入以降、基本的に値上がり傾向にあり、2023年度は大きく値下がりしたものの、2024年度は過去最も高い3.49円/kWhになりました。再エネ賦課金が不要になるのは、自己託送の大きなメリットといえます。

自己託送によって脱炭素化を推進


自己託送で利用する発電設備として、太陽光などの再生可能エネルギーを利用することで、企業の場合は自社の脱炭素化を推進し、拡大することが可能になります。

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政府が2050年までのカーボンニュートラルを実現する目標を掲げているなか、自社でカーボンニュートラルを目指す企業も増えてきました。自己託送によって脱炭素化を大きく進めることができれば、投資家から評価され、企業価値が向上することにつながります。

また、複数の事業所で太陽光などの発電設備を設置している企業の場合、この事業所で余った電力を、別の事業所や本社などに自己託送することによって、グループ全体で電力の有効活用と脱炭素化を同時に進めることが可能です。

自己託送を検討する際の注意点とは

自己託送では自社で設備の導入とメンテナンスが必要


自己託送を検討する場合には、押さえておかなくてはならない注意点もいくつかあります。一つは、設備の導入費用がかかることと、メンテナンスの費用を自社で負担しなければならないことです。

発電設備が大きくなればなるほど、導入とメンテナンスの費用は大きくなります。費用がどれだけ必要になるのかは、計画段階で確認しておく必要があります。

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自己託送では電気需要と供給量の計画値を提出する必要


自己託送では、発電設備から電気を使う事業所などに送電する際、電線などの送配電ネットワークを使用することから、送配電事業者との契約が必要になります。

契約の際には、送配電事業者に電力の需給計画を提出しなければなりません。送電線には容量があるため、どれくらいの電気を作って、どれくらい送電するのか計画し、事前に報告することが義務付けられています。

さらに、「計画値同時同量制度」を守る必要があります。これは、電気の需要と供給量を30分単位で予測し、計画値を送配電事業者に報告するものです。計画値と実績値に不足のインバランス(差分)が生じた場合には、インバランス料金を精算しなければなりません。このため、インバランスを発生させないための運用体制を構築することが必要になります。

自己託送の託送料金を送配電事業者に支払う

また、送電する量に応じて、送配電事業者に託送料金を支払う必要もあります。託送料金は送配電事業者ごとに定められていて、ホームページなどで確認できます。

自己託送を検討する際には、導入やメンテナンス、それに託送料金など必要なコストを算出することが必要です。

自己託送が再エネ導入拡大を後押し


このように、自己託送を始めるには自己託送に係る指針を順守することや、一定のコスト、それに運用体制を整備することが必要になります。エバーグリーンでは、このような整備は一切不要で、電気を切り替えるだけで電気の利用によるCO₂排出量をゼロにする電力プランを提供しています。

自己託送までは難しくとも、さらに脱炭素化を進めたい企業にとっては有効な手段といえます。

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